142話:絶望の炎
「ぐ!」
秀助は塵を集めて自身を守ろうとする。残骸は、なんとか塵で防ぐことができた。そんなところに、オーベルハウザーが急接近してくる。
(近づいてきただと?)
「近寄るな!」
秀助は全力のパンチをぶつけようとする。オーベルハウザーは容易にかわした。
「やはり、最近の若者は近接に弱い。」
「うるさいな…」
「!」
秀助は右足を高く蹴り上げた。ハイキックである。それはオーベルハウザーの下あごに命中した。
「ぐはあ!」
「そのうるさい口を塞いでやったぜ。」
「このガキ…!」
「そのまんま舌を噛んでくれれば、もっと静かになったろうに。」
「偉そうな口を利くな!」
(今だ!)
オーベルハウザーは秀助にパンチをぶつけようとする。秀助はそれを受け止めた。
「今度こそ燃えてもらうぞ。」
「!まさか!」
オーベルハウザーは振り返る。すると、燃えている紙屑やガラス瓶がこちらに向かってくるのが見えた。
(こいつ!私の手を封じて、ワンウェイ・リユースで攻撃してきたか!)
オーベルハウザーは秀助の腹部に蹴りを入れる。しかし、それでも秀助は動かない。
「無駄だ。俺はお前を殺すためなら、どんな痛みにも耐えてやるさ。」
「ならば、これにもかな?」
突然、オーベルハウザーの手が発火した。
「!」
秀助はつい手を放してしまった。
(こいつ!俺の手についていた塵に「意味」を付与したな!)
オーベルハウザーは秀助に目をやりながら、飛んできたゴミをかわす。
(こいつには…何をやっても無駄なのか…?)
「何をやっても無駄。」
「!」
秀助は、自身の心が読まれたと思い、驚きを隠せなかった。
「そう思っているんじゃないかな?だとしたら、全くその通りだ。」
正直、秀助は打つ手を思いつかなかった。だが、レベルΖのやり方がわからない以上、それ以外で戦わざるをえない。手づまり状態となったのだ。
「どうした?今度は何をやるかな?」
オーベルハウザーは、秀助の胸ぐらを掴んだ。
「!放せ!」
「…いい制服だ。綺麗に手入れされている。塵がついているのが気になるがね。」
そのとき、秀助の制服が激しく燃え始めた。
「!うわああああ!」
秀助は苦しみ悶える。そこに、オーベルハウザーの強烈な正拳突きが炸裂した。壹極畢僉状態の強烈な拳は秀助の腹部に命中し、遥か後方に吹き飛ばしていった。
「がはあ!」
秀助は城壁に叩きつけられ、そのまま倒れる。意識はあるものの、制服が燃えており、熱さに苦しんでいた。
「うあああああ!」
「熱いだろう?温度は、あえて60℃に設定した。すぐに燃えるのではなく、苦しみながら燃えるだろう。燃えるゴミに相応しい。」
秀助は制服を破ってでも脱ごうとするが、脱げない。
「そうそう、せっかくいい制服を着ているんだ。脱げないようにしておいた。着心地はどうかな?」
「ああああああ!」
秀助は苦しみ続ける。その場でじたばたするのであった。
クリントンはとにかく銃を撃っていた。しかし、全てかわされるか防御される。
「なんて野郎だ…」
フェルナンド伯爵は、クリントンの背後に回ってきた。
「後ろ!」
クリントンは銃口だけを後ろに向けて発砲する。しかし、手応えがない。
「どうだ!」
クリントンは振り返る。そこで目にしたのは…
(!こいつ!防弾チョッキを念写したのか!)
防弾チョッキを身につけた、フェルナンド伯爵だ。
「卑怯だな。伯爵。」
フェルナンド伯爵の腕が、クリントンの体を貫いた。
「ごほっ!」
フェルナンド伯爵は、クリントンの体から手を引っこ抜く。
「ぐはあっ!」
急所こそ外したが、致命傷を負った。クリントンは動けなくなる。そこに、フェルナンド伯爵はトドメを刺そうとした。しかし、できなかった。フェルナンド伯爵は何者かによって吹き飛ばされたのである。
「お、お前は!」
クリントンは、フェルナンド伯爵を吹き飛ばした人物を知っていた。
「お久しぶりですね。兆能力ファイトクラブ以来ですか?」
そこには、善俊が立っていたのである。




