表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兆兆発止  作者: ぱんろう
最終決戦編
138/150

138話:封印

「宗平!」

十兵衛は宗平のもとに駆け寄る。

(ドアノブを強く…!そういえば!)

十兵衛は少し前のことを思い出していた。というのも、ある人質が部屋から出ようとしていたのだ。宗平はそれをテレパシーで知り、部屋から出ないように、ドアノブを強く握りしめていた。そこを狙われてしまった。それでも宗平は、人質を守ることを優先したのだ。

(…俺のせいだ…)

十兵衛はその場で跪き、涙を流す。

「俺が最初っからテレパシーを使わなければ、こんなことには!」


その日のことは、十兵衛に大きな傷を残すことになった。それでもまだ、十兵衛はテレパシーを隠しはしなかった。ただ、使うタイミングを気にするようになる。それでも、多くの部下を失い続けた。眼鏡をかけた生真面目な女性、天真爛漫元気一杯の男性、とにかくよく食べる健啖家な女性…全てテレパシーを発動したことが原因で亡くなった。次第に十兵衛は、テレパシーの使用を避けるようになる。

(テレパシーさえ使わなければ…あるいはテレパシーのことを隠せば…)

そう考えた十兵衛は、自身の兆能力がテレパシーであることを隠すようになり、多くを語らないようになった。そうすることで、無理をする部下が減ると考えたのだ。十兵衛は部下のみならず同僚や上司も多く失っていった。つまり、十兵衛の兆能力を知る者が減っていったのである。ついには、十兵衛の兆能力を知る者が一切いなくなった。

その頃には、首都警総監となっていた。十兵衛本人も思っていることだが、はっきり言って、トップに立てるほどの者でもなかった。だが、他の適任者が存在していなかったし、実力的には文句なしではあった。こうして、説明を極端に省略する―それはときに、部下を追い詰める―や、部下思いである、現在の十兵衛に至ったのだ。


(そうか…そうだったんだな…じーさん…)

(!覗かれてしまったか…誰にも知られたくなかったんだがな。)

十兵衛はついつい秀助に過去を共有してしまったようだ。秀助は頭を押さえていた。

(そういうわけだ。秀助。お前さんはそこで見ていろ。奴は、この私が確実に仕留める!)

十兵衛は自身の左胸を突き刺そうとする。

(死ぬぞ!やめろおおお!)

そのとき、十兵衛の腕が吹き飛んだ。

「!ぐああ!」

「ぐがあああ!」

十兵衛とオーベルハウザーの2人が悶え苦しむ。

(何が起きた!馬鹿貴族は俺が止めていたはずだ!)

秀助が見回すと、見覚えのない人影が複数見えた。そのうちの何人かは、大砲の側に立っていた。

「こ、これは…」

「ふふ、フェルナンド伯爵が念写した城には専属の兵士がいる。」

オーベルハウザーは、苦しみながらも、笑っていた。

(前のときはこんなにいなかった!それに、大砲まで…まさかとは思うが…)

嫌な予感がした。そして、それは的中する。城の一部が崩壊し、巨大なドラゴンが現れた。

「ミスター・リード、攻撃をやめるんだな。」

十兵衛は残っていた方の腕で再び自身に攻撃しようとする。しかし、銃を持っていた兵士の一人が十兵衛の足に発砲した。

「があああ!」

「あああ!やめろと言っているだろう!」

十兵衛は振り絞るように叫んだ。

「好きなだけ攻撃しろ!俺はどうなろうと構わない!そして、お前も道連れだ!」

オーベルハウザーは傷を押さえながらも、冷淡に言った。


「おい、あのガキを殺せ。」


「!させるか!」

兵士は攻撃の対象を秀助に変えようとする。それを十兵衛が止めようとする。手負いでありながら秀助のもとに向かっていく。

「俺のことは気にするな!自分でなんとかできる!」

秀助の言葉に耳を貸さず、十兵衛は近づいてくる。そんなとき、オーベルハウザーは兵士に命令した。

「私の足を撃て。」

兵士は躊躇うことなくオーベルハウザーの足を撃った。

「ぐっ!」

「!」

十兵衛は足に痛みをおぼえ、そのまま倒れてしまう。

「よし!ガキを撃て!」

兵士は一斉に、秀助に射撃した。銃弾や砲弾が秀助を狙う。

(大魔塵で守る!)

秀助は大魔塵ダイアモンド・ダストを発動し、自身を守った。しかし、銃弾や砲弾は確実に塵を破壊し、いつ秀助に命中してもおかしくなかった。ついに塵のほとんどが破壊され、銃弾が飛んできているのが見えた。もはやこれまで、と思った秀助は目をつむる。

しかし、痛みがない。恐る恐る目を開けると、目の前には十兵衛が立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ