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兆兆発止  作者: ぱんろう
最終決戦編
116/150

116話:しぶとい白猫

「久蔵、ちょっと離れてて。」

「智子、お前何を…?」

智子は体を無理に起こしていた。久蔵は心配していたが、お構いなしだ。

(まだよ…こんなとこで倒れてたまらない…!)

猫は、立ち上がろうとしている智子に再び雷を落とそうとする。

「ごろにゃ...にゃっ!?」

しかし、菊千代のダーツに邪魔をされる。

「あなたには、二度と落雷させないわよ。」

菊千代は手に数本のダーツの矢を持っていた。猫が落雷させようとしたときに、ダーツの矢を投げて止めるという考えだ。それは、確実に猫の動きを限定させることに成功させていた。すると、猫は菊千代のもとに向かっていく。しかし、恐竜、ケラトサウルスがそれを邪魔した。

「!」

「こっちは3人いるんだ!もうお前の思う通りにはさせないぞ!」


挿絵(By みてみん)


「『側』!」

智子は、①側を銃弾のように発射することで猫に攻撃しようとした。

(大丈夫…側は加減ができる…)

「にゃー!」

猫は前足にオーラを纏わせて、飛んできた①側を破壊しようとした。それをケラトサウルスに妨げられる。①側は、そのまま猫に命中した。

「ふにゃあああ!」

猫は吹き飛ばされ、壁に衝突した。しかし、すぐに体勢を立て直した。

「おいおい!なんて耐久力だよ!」

「にゃあああああああああああ!」

猫は鬼のような形相で鳴いていた。そのとき、荒れていた天候がさらに荒れ始めた。雨は強く降り、雷が猫の意思に関係なく落ちている。風はあちらから吹いたり、こちらから吹いたりしている。

「な、何よ!これ!」

「ぐっ!激しい嵐だ!」


風雷雨荒(ふうらいうこう)大迷惑(だいめいわく)


天候を暴走させるΕ(イプシロン)技。この技を使ってしまえば、もはや猫でも天候を操ることはできない。数多の雷が落ちる中、猫もそれをジャンプしながら回避していた。

「これじゃあ、動けないわ!」

そんな菊千代に雷が落ちようとしていた。

「!ケラトサウルス!」

ケラトサウルスは、久蔵の声を聞いて、菊千代の方に向かう。雷は、菊千代ではなくケラトサウルスに命中した。そして、そのまま消滅していった。

「久蔵君!ありがとうね!あっ!これはケラトサウルスちゃんにも言っておいてね!」

「!…わかってるよ…んなこと...」

久蔵は照れながら返事した。

(とはいえ、困ったな。これで、手元に残った恐竜のカードは一枚…そのカードは…)

久蔵が手に持っていたカード。それはディノニクスが描かれたカードであった。久蔵が召喚できる恐竜の中でも、スピードと攻撃力が優秀なのは間違いない。しかし、久蔵の言うことを聞かず、敵味方関係なく手あたり次第に相手を攻撃する。その結果、仲間を窮地に立たせたのは記憶に新しい。

(それでも、ないよりはましだ!)

久蔵はカードを掲げた。

智子は、「永」の振り回し、打撃攻撃ができる⑤策をぶつけようとした。猫も自身の発生させた天候をかわすのに精いっぱいで、そこをついた智子が猫に接近できていたのだ。

(打撃技・策なら、加減ができて、命を奪うことなく相手を気絶させることができる!猫ちゃん、これで倒れて!)

智子はあれだけやられておきながら、まだ猫に対する情が残っていた。そんな智子は何者かによってダメージを受けた。それは、雨でも、風でも、雷や猫そのものによるものではなかった。ディノニクスがその鋭い爪で攻撃してきたのである。

(!こいつ!空気の読めない奴!)

ディノニクスが智子に攻撃しようとしたとき、久蔵が立ちはだかった。智子を庇おうとしたのだ。

「!あんた...!」

「攻撃する相手はこいつじゃない!こいつは仲間だ!」

すると、ディノニクスは動きを止めた。

(!止まった…?今までは止まらなかったのに…!)

智子は、困惑したものの、猫の方に目を向けようとする。しかし、猫は既に離れた位置にいた。目の前には雷が落ち、いつ自身に命中してもおかしくない。それでも、智子は雨に打たれ、強風に吹かれながらも猫の方に向かっていこうとする。そのとき、智子の頭上がぴかっと光った。

(まずい!雷が落ちようとしている!)

智子は目をつむった。雷が落ちた…はずなのだが、智子には落ちていない様子だった。

ディノニクスが盾となったのだ。

「!あんた!」

智子はディノニクスを心配する。

(珍しい!何もかもが!なぜ…言うことを聞かないあいつが、あんなに協力的に…!)

久蔵が一番驚いていた。ディノニクスは久蔵の方を見た。

「!お前…!」

ヴェロキラプトルは穏やかな表情をしていた。少なくとも、久蔵にはそう見えた。

(今までそんな顔、俺には見せなかったろう...)

久蔵はその理由をすぐには理解できなかった。以前は攻撃対象であった智子を後押ししているのを見ていて、ただ呆気にとられていた。


(どうした、指図するのが、お前の役目だろ?)


「!」


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