114話:墓守
「中原!あなたレベルΖが…!」
七郎次は困惑していた。
「レベルΖ…?」
中原は、困惑している七郎次をよそに、オーラをさらに肥大させた。
『破邪の墓守』
すると、どこからともなく墓守が出現した。墓守とは言うが、むしろ死神の風貌に近い。黒い衣装を身に纏い、鎌を手にしている。
「破邪の墓守は、あらゆる手を使い、相手を棺に入れる。お前がどれだけすばしっこいとしても、この墓守からは逃れられない。」
墓守はジョージのゾンビに向かっていく。ジョージはそれから逃げるように距離をとった。しかし、墓守は彼の後ろに瞬間移動していた。
「!」
ジョージのゾンビは振り返る。墓守がジョージに手をかけようとする。そこで、彼は応戦しようとした。手にオーラを纏わせ、壱極集中のチョップを墓守にぶつけようとする。しかし、そのチョップは墓守の体をすり抜けた。
「無駄だ。破邪の墓守に狙われた以上、行きつく先は棺だけだ。」
墓守は不気味に笑いながら、改めてジョージに手をかけようとする。そのとき、ジョージの前に誰かが立ってきた。
トレイシーである。
「やめて!」
「!何考えてんだ!トレイシー!」
中原が怒鳴り散らす。それでもトレイシーはジョージをかばい続けた。
「やっと会えたと思ったら、ゾンビになってるなんて…あんまりだわ!」
トレイシーはジョージに強く言った。しかし、ジョージはゾンビ、反応することはなかった。
「そう、わかってるのよ…ジョージはもう死んでいる…だから、どうしてあげることもできない…」
トレイシーは下を向く。そして、すぐにジョージを見上げた。
「だからせめて、私がとどめを!」
トレイシーは大きな声で言った。さっきまでゾンビのうめき声でうるさかった通路に響き渡るぐらいに。
「!…そうか、わかった。」
中原は、トレイシーの発言に一瞬驚いたが、それを承諾した。墓守を消滅させたのだ。しかし、それを許そうとしなかった者がいた。テンニャースである。
「そうはさせるかぁぁぁ!」
テンニャースは、拳にオーラを纏わせていた。七郎次がそれを止めようとするも、
「あいつも私に任せて!」
と、トレイシーが抑えた。
「止めるってどうやって!」
トレイシーは、向かってくるテンニャース相手に微動だもしない。
「諦めたかにゃ!?」
テンニャースは壱極集中のパンチをトレイシーの顔にぶつける。
「その綺麗な顔を、粉々だにゃ!…!」
テンニャースは、確かにパンチをぶつけた。しかし、手応えがない。
「それが…なんだっていうのよ…!」
「!馬鹿にゃ!?」
攻撃を気にも留めなかったトレイシーは、パンチしてきたテンニャースの腕を掴んだ。
「にゃ!?」
「あなたは…私に触れられた…この意味がわかるかしら?私の傷心者は、直接触れることによって、心拍をより急激に下げることができる!」
トレイシーは、テンニャースの腕を強く握りしめる。すると、テンニャースが苦しみ始めた。
「にゃああああ!」
ついに、テンニャースはその場で倒れた。心拍が急激に低下したことで、失神したのだ。トレイシーは、ジョージの方を見る。テンニャースが意識を失ったことにより、ジョージは動かなくなっていった。
「ジョージ…」
トレイシーは、ジョージを強く抱きしめる。すると、不思議なことにジョージも抱き返した。
「!」
トレイシーが驚いて、ジョージの顔を見ると、笑っていた。ゾンビがである。それを見たトレイシーは、涙を流しながら、ジョージの胸に顔を埋めるのであった。
「トレイシー、空気が読めなくてすまないが、いずれ猫女は爆発する。そうなると、そのゾンビも消えてしまうだろう…巻き込まれないように、先に進まなければならない…」
トレイシーとジョージをじっと見守っていた中原だが、ばつが悪そうに口を開いた。トレイシーは頷き、全く動かなくなったジョージのゾンビにキスをした後、その場から去るのであった。
しばらく走っていると、後ろから強烈な爆発音が聞こえてきた。トレイシーは再び涙を流していたが、振り返ることはしなかった。




