111話:壱極集中応用
他の皆も十兵衛の言葉に動かされていた。猫と対峙している3人、とにかく走っているアダムスと五郎兵衛、建物内部を捜索している川路兄弟、休憩していた雄康と伊里、ゾンビと戦う中原や七郎次、トレイシー。
そして、倒れていたみつねも、鼓舞されていた。
(そうだ!こんなところで倒れるわけにはいかない!)
爆発から少し経ち、クリントンは再びみつねに銃口を向けた。クリントンが銃の引き金を引こうとしたとき、みつねはぼそっと呟いた。
「撃てない。」
クリントンは怒鳴った。
「くどいぞ!」
「違う。私が言いたいのは、撃ったところで、私に当たらない…という意味。」
「!」
みつねは、両足にオーラを纏わせていた。
「それは…!」
両足にオーラを纏ったみつねは、そのまま埃を発生させて、消え去った。
「両足にオーラだと…!?」
(そう、両足にオーラを纏わせて、速度を急上昇させる…『弐極集中』…今では弾丸が止まって見える。)
みつねは飛び交う弾丸をかわしながら、クリントンの方に向かっていく。クリントンは困惑して辺りを見回していた。すると、みつねが姿を現した。クリントンはそれに気がつくも、対応できそうにない。なんとか顔だけをみつねの方に向ける。そのみつねは、拳にオーラを纏わせていた。
「!」
(両足のオーラを腕に移動させたのか!!刹那の間に!)
みつねは壱極集中のパンチをクリントンの腹部にぶつける。
「ぐぼぁっ!」
クリントンは勢いよく吹き飛ばされた。
「ふっ。結局俺の負けか…甘いな…俺も…」
壁に衝突したクリントンは、そのまま意識を失った。この時点で、みつねの勝利は確定したが、みつねは止まらない。
(弐極集中のデメリット、それは止まれないこと!)
「止まってぇぇぇ!」
みつねはとにかく止まろうとする。それでも、減速する気配がない。
(こうなったら!)
みつねは壁に急接近する。みつねはとんでもない勢いで壁に衝突する。それによって、なんとか止まることができた。が、
「痛いぃぃぃぃ!」
みつねは壁に衝突した痛みに悶絶していた。
しばらくすると痛みが引いたので、意識を失ったクリントンのもとに歩み寄る。
「…やはり撃てなかった…いくらでも私を殺すチャンスがあったのに…」
みつねはそう言うと、秀助が走っていった方向に向け、擦りむいた足で移動を始めるのであった。
中原たちはNo.8が操るゾンビたちと戦っていた。
「くそっ!減らないな!」
「ええ、これじゃあ、きりがありません!」
中原と七郎次は既に疲労困憊である。そんなとき、No.8が言った。
「うーん、女の兆能力を知りたいところだけど、やっちゃうか。」
No.8はゾンビたちに叫んだ。
「第二編成:ゴールデンアイ!」
No.8が叫んだのを聞いて、ゾンビたちが隊列を崩す。そして、2つの塊に分かれた。
「?隊列を崩した?」
2つの塊に分かれたゾンビは、それぞれ中原と七郎次の方に向かう。最初に仕掛けたのは七郎次の方に向かっていたゾンビだ。ゾンビの一体が兆能力を発動し、水を放射したのである。
「何!?兆能力を使えるのか!」
七郎次は蹴極足裂破でそれを相殺する。今度は、他のゾンビが針を飛ばしてきた。
「うわぁぁぁ!俺の苦手な奴だ!」
七郎次は防御の姿勢をとる。中原が棺を出現させて、七郎次の身を守った。
「ありがとうございます!」
「かなり厄介な相手だぞ!俺たちの兆能力に合わせて、ゾンビどもが分けられている!」
中原の方には、テレポートを使用するゾンビなどがいた。棺に入れるのが難しい相手ばかりが中原の方に向かってきていたのだ。
「そう。第二の編成・ゴールデンアイは、相手の兆能力に合わせて編成される!さあ、ゾンビども!テンニャースがNo.1に頭をなでなでされるためにも、あいつらを殺すにゃ!」
ゾンビたちは2人に向かっていく。中原は棺を多めに出現させながら、ゾンビたちの攻撃を受け止めていた。一方の七郎次は、やはりゾンビたちに苦戦を強いられていた。中原は、七郎次を助けようにも自身の身を守るのに精いっぱいである。フォローができなかった。トレイシーが傷心者で対応しようとするが、相手はゾンビだ。心拍を操る攻撃で倒すことなどできるのだろうか。
(効くのかしら…心拍を下げることが…ゾンビとやらに…!)
躊躇っているトレイシーを見て、七郎次は、決心する。
「熱くなれ!俺の足!」
七郎次の足が次第に赤くなっていく。
「その足…」
トレイシーが七郎次の足を見ている。
「トレイシーさんは、あの猫耳を倒すことだけに集中してください!」
『体寒足熱』
七郎次の体寒足熱は、体中の体温を足に集中する技である。これにより、キックの攻撃力上昇に加え、相手にやけどを負わせることもできる。
「覚悟しやがれ!ゾンビども!」
七郎次はゾンビに牽制していた。それでも、ゾンビは攻撃をやめない。




