8話 ヴァンパイア
海の魔物リヴァイアサンを倒したものの、そのリヴァイアサンを召喚したというヴァンパイアが現れた。
リヴァイアサン戦からの連戦で多少疲れが見えるものの、まだまだ元気アピールするリナ。
「あんたがこの海の魔物騒動の黒幕ね!」
「この騎士団団長のリナが退治してあげるわ!」
そう言って手に持った剣をヴァンパイアに向かって突き立てるリナ。
「そう簡単にはやられませんよ、フッフッフ」
不敵に微笑むヴァンパイア。
ヴァンパイアがバサッとマントをひるがえすと、何匹ものコウモリが飛び出し襲いかかって来た。
キィー!!、キィー!
叫び声を上げながら襲いかかって来るコウモリ。
「くっ!」
リナが向かって来るコウモリに剣を振る、が空振る。
「くそっ!当たりなさいっ!」
何度も剣を振るが、コウモリは見事に避ける。
そんなリナを見ながら僕は思う。
確かコウモリは超音波で障害物を回避するから普通の攻撃は全然当たらなかったはず、と。
「も〜なによ!当たりなさい!」
リナが一所懸命、ブンブン剣を振り回すもコウモリには当たらない。
「なら、本体を」
クルミが機転をきかせて本体であるヴァンパイアに向かって構える。
「凍刃」
クルミが素早く詠唱し、ヴァンパイアに氷の刃を飛ばす。
「おっと!」
ヴァンパイアはその氷の刃をヒラリとかわす。
まぁ、ヴァンパイアもコウモリよろしく回避重視だったのでなかなか当たらない……と思う。
「くっ!」
「くぁっ!」
リナの振り回す剣は当たらず、コウモリの噛みつきや翼にある爪攻撃はリナを傷付けてゆく。
「うーん、マズイよねこのままだと」
僕は冷静に状況を分析して呟く。
「永太様!どうしましょう!」
モモが心配そうに僕に声をかける。
「ぅ〜ん、普通にリナを助けるとまた後でドヤされそうだし……」
僕は少し考えた後、モモに告げる。
「モモ」
「聖なる光」
「あの塔を浄化したやつって今出せる?」
そうモモに問いかけると
「ぁ、はい大丈夫です」
モモがそう答える。
本来は浄化演出の為だけの光だったんだけれど、多分コウモリとかヴァンパイアの闇属性っぽいのには効くはず。
なによりモモがリナを助けたほうが後々揉めなくて済みそうだ。
「じゃあ、あのコウモリに向かってお願い出来るかな?」
僕はモモにそうお願いする。
「わかりました!」
モモは素直に僕の提案を受け入れる。
うん、素直なのってイイね〜。
「くうっ!」
「うあぁっ!」
コウモリにめっちゃ攻撃されているリナを見る僕。
「いきます!」
「聖なる光よ、その光をもって黒き闇を打ち払いたまえ!」
モモが叫ぶと、まばゆい光が走りコウモリ達を照らす。
「キシャァァァァアア!!」
その光を浴びたコウモリ達は苦悶の声を上げる。
「今だ!リナ!」
コウモリが怯んだ瞬間、僕はリナに向かって叫ぶ。
「うっさい!わかってるわよ!」
さっきまでやられっぱなしだったリナが元気な声を上げ、剣を構える。
ズバァ!!
ズシャァア!!
聖なる光に怯んで動きの鈍くなったコウモリを剣で切り裂く。
「ふぅ〜」
リナの周りを飛んでいたコウモリを全て切り捨て、一息つくリナ。
「さぁ、あとはあんただけよ!」
コウモリでボロボロになったリナがヴァンパイアに向かって叫ぶ。
「くっ!」
そのヴァンパイアはクルミと睨みあっていた。
「モモ!もう一回お願い!」
剣を構えてヴァンパイアに向かいながらリナはモモに告げる。
「わかりました!」
「聖なる光よ、その光をもって黒き闇を打ち払いたまえ!」
再びモモが叫ぶと、まばゆい光が走りヴァンパイアを照らす。
「くっ!しまった!」
ヴァンパイアがモモの出した聖なる光を浴びて怯む。
「くらいなさいぃい!!」
リナがさっきまでのフラストレーションを発散するかの様に思いっ切りヴァンパイアに向かって剣を振り下ろす。
ズシャァア!!!!
リナの剣がヴァンパイアを捕らえ、真っ二つに切り裂く。
「ヴ、ヴァァァァァアア!!」
ヴァンパイアが絶叫をあげる。
「ァァァァアア……」
真っ二つに切り裂かれたヴァンパイアは、黒い霧か灰なのかわからない物となって消えていく。
「……ふぅ」
「やったわね……」
消えてゆくヴァンパイアを見て安堵するリナ。
「ァァァァアア!まだだ!」
ほぼほぼ消えかかっているヴァンパイアが叫ぶ。
「ふぇ!?」
コウモリにズタボロにされて満身創痍のリナが変な声を上げる。
「……私の最後の力を使って、貴様らを……」
「出でよ!!」
「ファヴニール!!」
ヴァンパイアが消える瞬間、魔法陣が現れ召喚らしき物が始まった。
「ええ〜っ!まだ出るの?」
ボロボロのリナが召喚魔法陣を見て叫ぶ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
召喚魔法陣が強く光ったと思うと、目の前に巨大な竜が現れた。
「ぇ、まじ?」
目の前に現れた巨大な竜に愕然とするリナ。
「この竜って……?」
リナは僕に向かって問いかけた。
「ぁ、うん」
「ファヴニールだよ」
そんなリナに向かって僕は冷静に返す。
うん、また【ヴ】がつくモンスターだね。




