31話 遺跡トラップ
リナが驚いたその先には、こういう遺跡トラップでは定番の通路を塞ぐ様に転がる丸い石。
「ぇぇぇえ!」
「モモ、クルミ!逃げるわよ!」
リナが急いで二人の方を見るが……居ない。
「って、居ない!?」
予想外の展開にリナが慌てふためく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
そうこうしている間にも通路を塞ぐ様に転がる丸い石がリナに向かって来る。
「ちょ〜〜〜、どうすんのよ!これ!」
リナが面白い位に動揺していて微笑ましい。
明らかに緊急事態なのに、のんびりリナの痴態を眺めて楽しんでいる僕はというと……
通路の端に2畳程の謎の空間があり、そそくさとモモとクルミを連れてそこに退避していた。
まるでここに入って転がる丸い石を回避して下さいと言わんばかりのこのスペース。
昔の僕が作ったゲームなので知っていて当然である。
「ぉ〜い、こっちこっち」
慌てふためくリナを生暖かい目で見ながら、手を振る。
「リナ、こっちです!」
「……こっち」
モモとクルミも一緒にリナを呼ぶ。
「なんで!ちょうど良く!そんな!場所が!あるのよ!!」
ツッコミで忙しそうなリナが急いで退避スペースに駆け込む。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
リナが滑り込むと通路を塞ぐ様に転がる丸い石が通り過ぎて行く。
ゴゴゴゴゴゴ……
音が静かになった辺りで退避スペースから顔を出し、安全を確認する。
「もう大丈夫みたいだね」
そう言って僕達は退避スペースから出てくる。
「……ってか、こんなスペースあるなら先に教えなさいよ!」
そう言ってリナがキレ散らかす。
「だって〜、言う前にリナがトラップ踏んじゃったから(笑」
僕はニヤニヤしながらリナに説明する。
「でも、ちょうど良くスペースがあって助かりました」
モモはポジティブに微笑んでくれる。
「まったくもう!気をつけてよね!」
リナが僕に向かってツンドラする。
いや、それはリナの事でしょ……と思ったがツッコまないでおいた。
「……それより」
そう言ってクルミが静かにリナの後ろを指差す。
「へ?」
リナが変な声を出しながら後ろを振り向くと、そこには、
「ミイラ!」
「ミイラ男が三匹!三人?」
砂漠の遺跡に出てくる敵と言えば、ミイラ男。
「数え方は三体じゃないかな」
リナに軽くツッコミながら僕達は戦闘態勢に入る。
ミイラ男は以外と動きが遅くて、まるでゾンビみたいだ。
「いや、ゾンビでしょ!」
「違う!アンデッド!」
心の声が口に出ていた様で、直ぐ様リナにツッコミを入れられる。
「とにかくなんとかするわよ!」
リナがそう叫び、僕達は襲いかかって来るミイラ男を迎え撃つ。
「……ふぅ」
「なんなのよもう」
なんやかんやで割とアッサリとミイラ男を撃退したリナと僕達。
安堵している皆に向かって僕は、
「ここから先は何が出るか分からないから」
「気を引き締めて行こう」
地下通路に入る前にリナが言った台詞をそっくりそのまま言う。
「うっさいわね!わかってるわよ!」
開始早々トラップを踏んだリナがキレ散らかしていた。
そんなリナをみてモモと僕は微笑みながら生暖かい目で見守る。
こうして僕達は地下通路を進んで行った。
途中で落とし穴に落ちそうになったり、宝箱を開けたらミミックだったりと定番の遺跡トラップが続く。
うろ覚えながら大体のトラップを知っていた僕は、落とし穴に落ちそうなリナを助けたりミミックから救い出したりと罠を回避?していた。
「ここは……小部屋みたいね」
六畳位の広さの部屋に入る僕達。
ゴゴゴゴゴゴ!
「!?」
出入り口が塞がれ、なにやら部屋全体から音がする。
「またトラップ!?」
散々トラップに掛かってウンザリしてきたリナが叫ぶ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ここまではなんとなく思い出してトラップを回避していたのだが、この部屋はあまり記憶に無い。
どんなトラップだったかな?と考え、
「こういう閉じ込め系遺跡トラップの定番と言えば……」
「水責めか、天井もしくは壁が迫るやつか?」
昔の僕が思いつきそうな罠を予想し、周囲を確認する僕。
水が出てきている様子も無いし、壁も動いていない。
だとすると……
「天井か!」
僕はそう叫び上を見ると、天井が鈍い音を立てながらジリジリと迫ってきていた。
「本当です、天井が下がって来ている?」
モモも一緒に天井を見上げながら叫ぶ。
「ちょっと!どうすんのよ!」
天井を見ながらリナが慌てふためいて叫ぶ。
ぇと、この部屋のトラップが記憶に無いって事は……トラップの対処法もわからないって事になる!
ジリジリと天井は下がって来ているので、悠長に考えている時間は無さそうだ。
「ぇと〜、こうなったらあの剣の技でで天井ごと吹っ飛ばすか?」
あの剣とは光輝闇暗炎竜剣。
その剣で使える技邪王暗黒流次元断層剣零式改。
あの技の威力ならこのトラップごと吹き飛ばせるかな?なんて思っていると、
「この地下でそんなの使ったら、確実に生き埋めでしょうが!」
リナが相変わらず素早いツッコミをしてくれる。
「ぁ、そうか此処は地下だったか」
「さっすがリナ、頭イイネ!」
そう呟き僕は思い留まる。
「ぅ、うっさいわね!」
「早くどうにかしないとペチャコンよ!」
頭イイと褒められてちょっと照れているリナが叫ぶ。
「えと、じゃあどうしようかな……」
なんて僕が思っていると、
「……あそこ」
こんな状況下でも冷静でクールなクルミが壁を指差す。
「壁?」
僕はクルミに問いかける。
「なにか……一箇所だけ壁の色が違う?」
モモがその壁を見て何かに気付く。
さすがモモ。
「……そう、それ」
相変わらずクールなクルミが答える。
僕は直ぐ様壁に近づき、十センチ四方の色の違う壁に触る……と、
ガコン
その部分が凹みスイッチになっていた。
ゴゴゴゴゴゴ!
すると足元に段ボール箱程度の小さい出口が現れる。
「早くこっちに!」
みんなに叫ぶとモモ、クルミ、リナの順番でその小さい出口に飛び込む。
三人が脱出したのを確認して、僕も小さな出口にヘッドスライディング。
ズザザザッ
ゴゴゴゴゴゴ!ズガガガガ!
間一髪の所で下がってくる天井トラップの部屋から脱出した。
「……ふぅ」
「なんとか助かった〜」
僕がそう呟くと、
「……ふがっ!」
「いつまで乗っかっているのよ!」
リナが叫ぶ。
「へ?」
急いで脱出したからか、モモとクルミ、リナと僕の四人は折り重なるように倒れていた。
で、一番最後の僕が一番上になっているというわけで……
ゴスッ
「ぅぼぁ」
リナに蹴り飛ばされて転がる僕。
「まったく、もぉ」
パンパンと体の埃を払いながらリナが呟く。
「……あれ」
クルミが指を差して呟く。
指差した先には登りの階段が見える。
「上に行けそうです」
モモが階段を見てそう言う。
トラップ部屋から抜け出した僕達は、その通路の先にある階段を登った。
階段を登ると南の塔で見た様な広間に出る。
「東の塔……に入った様ですね」
周囲を見渡しながらモモが呟く。
「……クックック」
どこからか不敵な笑い声が聞こえる。
うん、定番だねこのパターン。
「この声は……暗黒四天王?」
リナが叫び声のする方向を睨みつける。
その声の主は広間の真ん中で不敵に笑っていた。
「どうやってここまで来たのかは知らないが、ここで会ったが百年目!この暗黒四天王のゴブゾウが砂漠の塵にしてくれるわ〜」
なんか安っぽい悪役みたいなダサい台詞を喋っている。
まぁ、そのダサい台詞は昔の僕が入力したんたけどね!




