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ゲーム攻略が拷問と化す世界 〜目覚めたら昔作った中二病全開の自作ゲーム内だった〜  作者: チームつちのこ
五章 地下に潜む希望

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24話 エクリプス

 それはモモがまだ王城にいた頃。

 その日は青い空が一面に広がる雲一つない快晴だった。


 爽やかな風が吹くこの国は、日々の平和を満喫していた。

 ……だが、日が高くなって来た頃に異変が起きる。


 そろそろお昼になりつつある王城で、午前中の雑務を終えたモモが自室に戻るとその異変に気付く。


「……空が、暗い?」

 そう呟き、窓の外から空を見上げるモモ。


 天気が良く、暖かい風が吹いていた筈の外の様子が一変していた。

 いつもなら眩しくて直視出来ない太陽を見ることが出来る。

 暖かく照らしてくれていた太陽の輝きが暗く陰っているのである。


「……太陽が?」

 その異変に気付いたモモは駆け出し、父さまと母さまの居る玉座へと向かった。




 バタン!

 普段ならおしとやかに開ける扉を慌てて開ける。


「父さま!母さま!」

「太陽が!」

 モモがそう叫び、国王である父さまの元へ駆け寄る。


「モモか、ぁあ私も見た」

 国王であるが故に慌てる素振りを見せない様に落ち着いて喋る。



「あれは……皆既日食(エクリプス)、と呼ばれる現象の様です」

 傍にいた魔導師団の副団長ミアが説明してくれる。


「大丈夫なのですか?この様な空、私は初めてで……」

 モモが心配そうに問いかける。



「数百年に一度起こると言われている現象であると」

「文献で聞き及んだ事はあります」

「部分的な小規模の日食であれば、問題の無い自然現象……なのですが」

 ミアはそこまで言って顔を曇らせ、



「太陽が陰に覆われると同時に、周囲の魔力反応が増大しています」

「恐らく、これはただの皆既日食ではありません」

 真剣な眼差しで説明を続けた。




「この空、あの伝承の事なのでしょうか……?」

 モモは王国に伝わるとある伝承を思い出す。


「世界が闇に包まれる……という伝承ですね」

 ミアはモモを見つめ、そう答えた。


「……はい」

 モモも真剣な眼差しでミアを見つめる。




 バタバタ


 バタン!



「た、大変です!」

 王国兵が慌てた様子で玉座のある広間の扉を開けて入ってきた。



「何か分かったのか」

 状況を把握しようと色々と手配していたのであろう、魔導師団副団長であるミアが王国兵に問いかける。



「はい、北北東の湿地帯に巨大な魔力反応があり確認した所……」

「魔王軍が突如現れたとの事です!」

 王国兵は動揺しつつもはっきりとした口調で報告する。



「……なん……だと!」

 国王は玉座から立ち上がり、王国兵とミアを見つめる。

「北にある死の大地に住む魔王が、何故……」




「……」

 ミアが少し考えた後、口を開く。

「恐らく、皆既日食を利用した大規模な転移魔術……と思われます」

「大軍を丸ごと転移させるなど、本来あり得ません……が」

「数百年に一度起きる皆既日食に合わせこの国を覆った魔力を利用し、わが国に侵攻するチャンスを伺っていた……のだと」

 ミアはなるべく心を落ち着かせようと心がけながら話す。



「北北東の湿地帯……となると数日もあれば王都に辿り着く……か」

 国王が瞬時に状況を把握する。



「こちらから撃って出て対抗するか……」

「王都の防護を固めて、籠城戦をするか……」

「どちらにしろ、緊急厄災対応をする必要がある!」

「各方面に伝達!各団長、師団長を招集するのだ!」

 赤いマントを翻し、国王は叫ぶ。



「父さま!」

 そんな国王である父さまを見てモモが叫ぶ。


「モモ、安心しなさい」

「この国は私が護る」

 安心させる様に優しい目でモモを見つめる国王。



「私も出来ることを……」

 そう言い一瞬考えた後、

「私が!勇者様を探して来ます!」

 モモが叫ぶ。



「……勇者を?」

 国王がモモの提案に一瞬戸惑う。



「はい、伝承通りなら」

「世界が闇に覆われても、また」

「勇者様が輝きを取り戻してくれます」

 真っ直ぐな目で国王である父さまを見つめるモモ。


【勇者の伝承】

世界が闇に包まれし時、

竜の炎を纏いて昏き太陽が西から昇る、

その太陽はやがて大きくなり闇を祓い、

世界は再び輝きを取り戻すだろう。



「伝承……か」

「だが、魔王軍への対応を控えているこの状況では、大規模な勇者探索隊の編成は……」

 モモの真っ直ぐな目を見ながら葛藤する国王。



「……なら」

「私が行きます」

 玉座に入って来てそう言い放ったのは、騎士団長であるリナだった。



「リナ!」

 モモがちょっぴり嬉しそうに駆け寄る。



「この状況下では探索に大量の人員は割けない」

「なら、私一人でモモの護衛をします」

 リナもモモと同様に真っ直ぐな目で話す。



「騎士団の事なら私より優秀な副団長が居ますから」

「あと、モモは言い出したら聞かないし」


「それに……」

「何か当てがあるんでしょう」

 そう言ってモモを優しい目で見つめるリナ。



「……はい」

 モモがそう言って静かに口を開く。


「空が陰ると同時にこの国を覆った魔力の渦、聖女の力を持つ私にも感じ取れました」

「暗く重いこの魔力ですが、西の方角にその魔力とは違う暖かな揺らぎを感じるのです」

「伝承にも昏き太陽が西から昇る、とあります」

「それがきっと勇者様です。」

「私は西へ向かいます」

 モモははっきりとした口調でみんなに説明した。


「ふむ……アンズはどう思う?」

 国王は傍らで静かに話を聞いていたアンズ王妃に問いかける。


「はい、前聖女である私にも感じ取れました」

「西でも何かが起きているのは間違いありません」

 アンズ王妃は真剣な面持ちで答える。



「事は一刻を争います」

「私は直ぐに西へと立ちます」

 モモも真剣な面持ちで国王へと進言する。



「……わかった」

「リナ、モモの事を頼む」

 国王は少し思案した後、モモとリナに向かいそう言った。



「はい、必ずモモ姫様をお護り致します」 

 リナが国王に向かい手を胸に当てる。


「必ず勇者様を見つけ、戻って参ります」

「行きましょう、リナ」

 そう言ってモモとリナは玉座のある広間から駆け出して行った。



「頼んだ、モモ」

「私も出来ることを、しなければな」

 モモとリナを見送った国王は決意の眼差しで暗く陰った空を見つめた。



 ……という映像が僕の脳内を流れる。



 これ、あれですね!

 回想シーンとかいうやつ!


 国王様の説明を聞いていると、何故かその状況が脳内再生される。

 回想シーンってこんな感じなのか〜と感懐にふける僕。

 さらに僕の設定していないゲーム開始以前の状況が見えてとても分かりやすい。

 

 昔の僕はそんな所まで考えていなかったのにちゃんとそれっぽい理由で補完されているのが、なんというか……ちゃんとしてる!



 特に皆既日食(エクリプス)って所がカッコイイよね〜とちょっぴりニヤけていると、ちゃんと話聞いているの?といった顔でリナに睨まれる。


 大丈夫です、聞いてますよ〜と顔で合図するも……キモッという顔をされた。


「そうです、そうして私達は西に向かい」

「勇者である永太様を見つけたのです」

 モモがそう言って回想シーンを締める。



「ですが、その合間に王城が……」

 そして少し哀しげな顔をするモモ。



「そうだな、ではここからが本題だ」

 イケオジな国王がさらにイケオジになり、話し始める。

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― 新着の感想 ―
皆既日食(エクリプス)カッコイイです❢❢
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