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ゲーム攻略が拷問と化す世界 〜目覚めたら昔作った中二病全開の自作ゲーム内だった〜  作者: チームつちのこ
五章 地下に潜む希望

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22話 野薔薇

「はい!お父様とお母様が」

「このミーカワに来ているんです!」

 僕に向かって嬉しそうに叫ぶモモ。



「ぉお〜、そうなんだ」

 なんとなく分かってはいたものの、ちゃんとリアクションを取る僕。



「気を付けてねモモ、本当かどうかまだ分からないんだから」

 後ろからリナがいつも通りのツンツン具合で登場する。



「でも、これお父様の字です」

「大丈夫です、きっと」

 モモはそう言いながら手紙らしき物を握りしめている。



「大丈夫だよ」

 僕もモモに合わせてリナにそう言う。



「なんであんたが分かるのよ!」

 条件反射的にリナが直ぐ様僕にツンドラしてくる。



「シャドウは僕達に危害を加えた事、無いし」

「ヴァルハラの洞窟でも道案内してくれていたし」

「案外いい奴かもよ」

 ツンツンしているリナにそう言って説得する。


「ぅ〜ん、確かに」

「そう考えてみれば……そうね」

 リナがちょっと納得しかかっている。



「ってか、あれ?」

「手紙をシャドウから受け取ったって」

「私、言ったっけ?」

 リナが鋭いツッコミを入れてくる。



「……ぁ、そう!」

「さっきモモがそう言っていた……気がする!」

 実際は言っていない。

 ただ僕がメインシナリオの流れを知っていたから、口が先走って言ってしまっただけである。

 僕は慌てて上手いこと流してうやむやにしようとする。



「ぇ、あ〜」

「言った、かも?です」

 モモがそう呟く。


「ホントに〜?」

 モモでは無く僕に向かって疑いの眼差しを向ける。

 まぁ、これで疑いがシャドウでは無く僕に向かった事でうやむやに出来た!と違う意味で安心する僕だった。



「……行ってみる価値は、あると思う」

 クルミがしらっと会話に参加する。



「まぁ、確かに……」

 リナが何となく納得し始めている。


「それで、なんて書いてあったの?その手紙」

 僕はリナが納得した事にして話題を手紙の方に振りなおす。



「そうです、父さまと母さまの無事と」

「場所が指定されていて」

「あとは……合言葉?が書かれていたんです」

 モモがいつもよりテンション高めで話す。



「魔王軍が攻めて来た時、私が伝承の勇者様を探す為に王城から離れてしまい」

「その後、王城が魔王城となった事を聞き、父さまと母さまの身がどうなったのか心配だったのですが」

「……良かった、です」

 手紙を握りしめ、喜びを噛みしめるモモ。


「そうね、絶対勇者様を見つけて戻って来るって」

「モモはそう言ってたものね」

 リナが当時を思い出す様に話す。



「……まずは行ってみる」

 手紙を渡した張本人のシャドウ、もといクルミがそう言う。



「そうね、準備しましょう」

 リナがそう言うな否や、自分の部屋へ戻り準備を始める。


「はい」

 モモも一緒に部屋へ戻る。



 僕の部屋にクルミだけが残ったタイミングでボソリと呟く。

「大丈夫?バレなかった?」



「……細心の注意を払っているから……大丈夫」

 もはや僕にシャドウバレしている前提で話してくれる。

 ちょっと嬉しい。


「まぁ、あの二人にならバレても大丈夫だと思うけどね」

 クルミを安心させる様に僕は呟く。



「……そうかも、しれない」

「……けど」

「……まだ無理」

 それだけ言うとクルミは自分の部屋に戻って行った。



 この世界のクルミが自分の能力でどんな目に合っていたのか僕は知らない。

 なので、クルミが自分で言える様になるまでは黙っておこうと改めて思った。




「さぁ、行くわよ!」

 身支度を整えた僕達はリナの仕切りで手紙に指定された場所へと向かった。



 そこは街の外れの日当たりの悪い細道にあった。

 ミーカワの街は人が多い、だが大通りの喧騒とは違いその細道は人通りも無く静まり返っている。

 周りに建物があり陰に隠れるように建っている古ぼけた小屋。


 僕達はその小屋の扉の前に立つ。

 窓らしき物には板が打ち付けられ、中の様子は伺えない。


「見るからに怪しいわね」

 小屋の様子を見てリナが呟く。


「ノック……してみます」

 神妙な顔で僕達の顔を見回した後、手を扉の前に持って来るモモ。



 カチャ

 腰に携えた剣に手を掛けて身構えるリナ。


「……いきます」

 モモがそう言って扉を叩く。



 コンコン


 コンコン


 

 手紙に指定された通りに扉を二回、二度叩くと暫く間が開いた後に中から微かに声がした。

「……合言葉は?」

 


「……」

 手紙を改めて確認し、モモは合言葉を呟く。

「のばら」



 カチャリ

 暫く間が空いた後、ゆっくりと扉が開いた。


「……入って」

 扉を開けた人物は、周りを警戒する様にそっと呟く。



 言われるがまま僕達は静かに小屋の中へと入る。


 カチャ

 扉をそっと閉めて再び鍵を閉めたその人は奥を指差す。

「……奥へ、どうぞ」



 緊張感のある会話に、いつも騒がしいリナも静かにしている。

 扉を開けた人物は僕達について来ること無く、扉の横にある椅子に座った。


 指定された奥の部屋へ進むと、先程とは違う人が椅子に座っている。


 無言で僕達を一瞥すると、床に手をかける。



 カチャリ

 音と共に床の一部が開き、下へ降りるハシゴが現れた。


「……どうぞ」

 何の説明も無いがリナもモモも疑う事無く黙ってハシゴを使い降りてゆく。


 ハシゴを降りると下水道の様な地下道になっていた。

 このミーカワ、大きな都市なので下水道が整備されているのだ。


 都市の地下にある下水道を歩く……うーん中二病心がくすぐられるシチュエーションだ。

 下水道とはいえ、さほど臭く無いのは魔法的な整備がされているのかな?なんて僕は考えていた。


 地下にある下水道なのにうっすらと明るく、周りの様子が分かるのは魔法なのかヒカリゴケとかなのか。

 まぁ、ヴァルハラの洞窟でも同じ様な感じだったし、そういうものなんだろうと深く考えない事にした。


 ハシゴを降りた位置にも人が居て、僕達を案内してくれる。


 暫く下水道を歩くと横道の様なものがあり、そこに入ると扉が見えて来た。


「……こちらです」

 先程から案内してくれている人達、モモをチラ見すると敬語になってる。


 扉の前に僕達が立つと、案内してくれた人は一礼して再びハシゴの方へ戻って行った。



「……この奥みたいね」

 今まで静かだったリナがようやく口を開いた。


「……あの人達」

 僕がそこまで言いかけた所で、リナが被せるように喋る。


「王国兵ね、あの人達」

 騎士団長をしているからか、身なりや態度で瞬時に理解した様だ。

 どおりでいつも騒がしいリナが妙に静かだったのね。


 僕がそんな事を考えながら、静かなリナに新鮮さを覚えちょっぴりニヤけていると、


「……なによ」

 リナが直ぐに察して僕に絡んで来る。


「……なんでも、無いよ」

 さすが騎士団長、鋭いなぁ〜なんて思う僕。



「ってか、なんで合言葉が【のばら】?」

 王国兵と分かった上で合言葉に疑問を持つリナ。



「何故でしょう、きっと深い意味があるのですね」

 モモがリナの疑問に相槌を打つ。



 うん、ごめん。

 昔の僕が設定した合言葉だから。

 合言葉と言えば【のばら】

 だって薔薇って漢字カッコイイよね!

 うん、自分では書けないけどね!

 

 などと恥ずかしさを誤魔化す為に、脳内で言い訳しまくる僕であった。



「……じゃあ、開けるわよ」

 案内してくれたのが王国兵な感じでも警戒心を怠らず、モモを護る様にリナは扉を開ける。



 ギィイイイィィィィ


 ゆっくりと扉が開き、やがて中の様子が目に入って来る。



 その扉を開くと広間になっており、下水道とは比べ物にならない位に明るい。

 広さは、結構広くて体育館位といった所だ。

 天井の一部がガラス張りなのか、光が差し込んでいる。


 僕が広間を確認しようと奥に目をやると同時に、


「父さま!母さま!」

 モモがそう叫んで広間の奥へと駆け出して行った。

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― 新着の感想 ―
薔薇って漢字は確かにカッコイイですね(笑)
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