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6 作戦開始

翌日、俺は錆びれた酒屋のドアを通る。もうすっかり人の気がなくなった酒場。

俺たちが作戦室と呼んでいる場所はそこの2階にある。昨日の今日で急だが、手紙が敵の本部へ着く前に叩く必要があるので、今日は学校を休み作戦を叩き込んだ。


必要な魔道具を身に着け準備を終えると

「23時42分きっかり、目標の200m上空に門開けるから」

レイナがそう告げる。

今回のミッションは空からの侵入で、目標の手紙は現在、山奥のとある宿の一室。目立たないように少数での警備が敷かれているとのこと。


「それじゃ行ってくる」

「「気をつけて」」

2人に見送られながら俺は床に描かれた方陣に向かい足を一歩踏み出す。

瞬間、視界は一気に闇に包まれ、冷たい空気を肌で感じる。束の間の浮遊感のあと、俺は真下に向かいただ落下した。


魔力探知に引っかかる前に日陰者を発動する。

すごい速度で宿の屋根に着地したわりには大きな音は出ない。

日陰者の効果で、俺から発せられる痕跡は微小なものになる。

ただ、誤差程度の痕跡が残りはするため、ネズミ一匹通さないような厳しい警備が敷かれていれば即バレるだろう。


ひとまず、こちらも相手の全貌がわからないと話にならないので魔力探知を開始する。

宿のなかには計5人、1つの部屋に3人が固まり、その両脇の部屋に1人ずつ。屋敷の外にあと2人が確認できる。

「首尾はどう?」

耳につけた魔道具からレイナの声がする。

「予定通り」

「オッケーじゃあ5分後に門開けるから」


通信を終え、早速仕事に取り掛かる。

空からの降りてくるときに振りまいた魔力粉末がそろそろ敵の索敵圏内に侵入するだろう。

警備が厳重な部屋のベランダに降り、窓から中の様子を伺う。

中の様子は以外にも落ち着いており隙がない。ただ、空の仕掛けが利いているようで緊張感は刻一刻と高まっていくのを感じる。

 良い感じだ

さすがに腕の立つ兵士が担当しているようで異変があるからと言ってすぐに警備を乱すようなことはしない。だが、

3,2,1

バンッ!バンッ!!

屋上に仕掛けた火薬兵器が大きな音を立て爆発する。威力はそれほどではないのだが音と光は非常に派手になっている。

訓練されているとはいえ警戒心の高まった中での爆音に兵士の意識は一瞬、しかし確実に屋上へと向かう。

その一瞬のスキを突き、音もなく内側へ侵入する。

気づかれる前に麻酔弾を手前の2人に打ち込む。打たれた兵士は痙攣一つ起こすことなく床に倒れこむ。残ったもう一人の兵士が振り返り、声を上げようとするが、それがはっきりとした音になる前に俺は麻酔弾を撃ち込んだ。


「上、確認してきます」

隣の部屋からそう確認の声がする。


手紙は部屋の中央、机の上に置かれていた。

こういう手紙に施されている封印は2つ、魔力干渉と物理干渉の阻害である。

今はとりあえずは物理干渉のみ解除すればいい。

ひとまず、レイナが調整した封印解除の魔道具を使用する。

手にすっぽりと収まる程度の大きさの黒いつやのある細長い円柱の形をしたシンプルなデザイン。手紙に近づけると自動で術式を展開し、細い枝が先から手紙に向かい伸びてくる。

10秒ほどで物理干渉疎外の封印を突破し、後はこれを持ち帰るのみ。物理とは違い魔力阻害の解除には結構な時間はかかるので、距離をとって魔力阻害を解除する。

それが出来れば門を使って帰るのみ。


以外にもあっさり終わりそうで少し拍子抜けだな。なんてことを考えてベランダから外に出ようとしたちょうどその時、

「挨拶もなしで帰宅なんて、照れ屋なのかな?」

後ろからそう声が聞こえる。

他の兵士とは違う、背後から感じる驚異的な圧力に生命の危機を感じる。

「少し町に出ていた隙にこれでは、団長に顔が立たないな。せっかくイイ子と遊んでたのにさぁ。アラートつけといて良かったよ。」

町まで何キロあると思ってる、潜入開始から2分もたってないぞ。

ゆっくりと振り返る。

「顔が見えた」

逃げるそぶりを一瞬でも見せようものなら即殺されていただろう。


「上級騎士 ルル・マグゼル」

「知ってくれてるんだ 良かったよ」

魔導国に100人いる上級騎士の一人、厄介な奴が来たもんだ。

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