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3 ギルバート

昼食を済ませ少し話していたらすぐに昼休みは終わりを迎えた。

俺は二人と別れて戦闘訓練の準備を始める。

「めんどくせぇよな」

先に準備を済ませていたスバルがそう話しかけてくる。

「まぁな」

「まぁなってお前はいいだろ もう所属決まってんだから」 

「雑用部隊だけどな」

「げ、まだ怒ってんのかよ 悪かったって」

そう思われていたほうがこちらとしてはありがたいのだが。

 

「でも正直、羨ましいと思ってんだぜ」スバルはフォローするようにそう付け加える

「どうせ個室もらって女連れ込みたいとかそんなとこだろ」

「ばれた?」

なんて話していると

「ドベ2人で作戦会議か?」

と話しかけてきたのはルカだった。

「ドベじゃねぇし 女子も入れたら」

負けじとスバルは言い返す。言い返せているのかは置いておいて。

「だからそれがドベだって言ってんだよ それに女子入れても下の方なのは変わんねぇだろ」

「やめろ。反論しても事実と向き合うことになるだけだ」

俺はそう言ってスバルをとめる。まったく、無駄に恥かいたぜ。

「それにしても、俺を差し置いてこんなのが入隊できるなんて軍のお偉方も見る目がないな」

「いやー案外光るもんがあったのかもしれないぜ」

とスバル。こいつ、案外友達思いじゃないか。

「こいつにか?」

ルカがそう言うと

「まぁないな」

スバルは即座に折れた。

「おい」


「何やってる 行くぞルカ」

と、さらにもう一人大柄な男が話しかけてくる。

「悪いギル」

「ったく、こんな奴らの相手して俺を待たせんじゃねぇよ」

そう言い残しルカは去っていった。


「お前の幼馴染、相変わらずおっかねぇな」

「昔からの知り合いって感じだけどな」

ギルバート・アレキサンダー 俺とはこの学校に入る前からのなじみで、昔はフランと3人でよく遊んだりもしたのだが、ここに入学すると同時に疎遠になっていた。

昔はあんなに小さくて可愛げがあったのに、あんなに立派になって。まぁ、立派というよりはむしろおっかないけど。

ちなみに子供の頃のあだ名、ギル坊は今となっては直接言えるのはフランだけとなってしまった。間違えて俺がそう呼ぼうものなら半殺しにされるだろう。


グラウンドへ出て俺達は戦闘訓練を受ける。グラウンドの片側では女子たちも同じように訓練を受けていた。

戦闘訓練はそっち方面への所属を希望する者にとっては点数の比重がでかく、熱心に取り組む奴が多い。一方で、スバルみたいに戦闘なんてはなから眼中にないような奴はいかに適当に過ごすかにしか興味はない。もちろん俺も所属はもう関係ないので、スバルたちとクラスメイトで賭けを行うのが慣例になっていた。

やはり頭1つ抜けているのはギルで最近は力だけではなく技術も洗礼されてきている。複数人で相手をしても止められなくなってきていることからもその圧倒的な強さが伺える。

俺と同じでギルも所属は既に決まっているので真剣に取り組む理由はないのだが、まぁあいつ負けず嫌いだからな。

先程俺達に話しかけてきたルカは、あんな事を言うだけはあって常に次点での最強候補に名前が挙がるぐらいには実力がある。

1クラス男子が50人程度、そのうちのほとんどが戦闘系を志望することを考えるとかなりの上澄みと言えるだろう。


「今日こそは打倒ギル 頑張ってくれよ」

俺はちょうど隣にいたルカに話しかける。

「勘弁してくれ 無理に決まってんだろ」

「おいおい、お前がやんなきゃ誰がやるんだよ オッズとんでもないことになってんだぞ」

「外野だからって無茶いいやがってよ」

「そこ 静かにしろ」

うるさくしすぎたのか担当の教師に注意される。教師は続けて、

「今日はじき行われる所属決定試験の予行を行う。お前らもそろそろ意識し始めてる頃だろう。」

「マジかよー」 

一部から不満の声が上がる。まぁ戦闘訓練と違って簡単な運動能力の測定が中心で退屈に感じる者も多いだろう。それに、適当に流せるものでもないから、俺達のような非戦闘組にとってもめんどくさいことこの上ない。

「文句を言うな。 とりあえず所属の決まってないものはこちらに並べ。ギルバートとアレンはすまないが適当に過ごしていてくれ。」

ラッキー、久しぶりにギル坊と喋ってやるかー

そう思ってギルに話しかける。

「よかったな、適当に時間つぶそうぜ お前誰に賭けるよ」

「とっとと構えろ」

「え?」

「魔力の使用は一切禁止だ。それでいいな?」

「いや、いいもなにも」

「早くしろ 俺はいつでも構わない。」

こいつ、まだ子供の頃の感覚でいやがる。俺とお前がやりあったらどうなるかなんてわかったもんじゃないだろ。

「おい、ギルとアレンがやるみたいだぞ」

外からスバルの声が上がる。

「うぉー!!いいぞやってやれ!」

「根性みせろ」

「打倒ギルだいけー!」

「殺さないようになー」

あいつら外野だからって好き放題言いやがって。

「おい待てよ お前と俺じゃ勝負にならないって」

そう説得を試みるが

「いいんだな こちらから行くぞ」

だめだこいつ話にならない

仕方なく両手を上げて構えてみせる。


軽めの攻撃を受けてリタイアしよう。そう心に固く決めギルに向かい合う。

一呼吸の後、大地を蹴り一瞬で距離を詰めたギルは力強く握りしめた右の拳を繰り出してくる。

 速いな 

受ければただでは済まないだろう。そう判断するととっさに上体をひねり、すんでの所で何とかその拳をよける。初撃を交わされたギルはすぐさま身を捩り反撃警戒しつつ追撃として回し蹴りを繰り出した。体勢を乱しつつの蹴りは先ほどの一撃程ではないにせよ十分な威力を感じさせた。

初撃を躱すため無茶な体勢を取っていた俺はその追撃をかわす術はなく、辛うじてガードのため伸ばした腕への衝撃を覚悟する。

が、そこには覚悟していた鈍痛は無い。

直前でギルは蹴りを止めていた。

「もういい」 

淡々とギルはそう告げる。

「どうなったんだ」 

「大丈夫か」

外野のそんな声をよそに


「まだ、遠いな」

立ち去るギルがそう呟くのをかろうじて俺は聞いた。

 強いよ お前は 恐ろしいほどの速度で強くなってる。

心の中で俺はそう呟いた。

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