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20 対抗演習

予言局の一件から一週間ほどが経ったが、その間に目立った進展は得られていない。

もともと、予言の手紙以外にこれといった兆候がなかったのだから、それも当然といえば当然なのだが。

手紙の届け先だった第四騎士団についても、特に怪しい動きは見られなかった。

こうなった以上、前回のように多少のリスクを覚悟してでも探りを入れる必要があるのではないか――

そんな考えが、俺の頭の片隅に居座っていた。



「……アランはどうすんだよ?」

唐突に名前を呼ばれ、意識が現実に引き戻される。

「悪い、聞いてなかった」

スバル、アカネ、それにフランと一緒に昼食を取っている最中だった。

「おいおい、困るぜ。対抗演習、もう来週なんだぞ?何とか俺が死ななくて済む作戦、考えないと!!!」

「死ぬって、大げさだろ。それに、楽しそうじゃん、あれ」

「言葉には気を付けろよ」

スバルは冷たい目を向けてくる。

「楽しいわけがないだろ、あんなもん」

隣のフランも、それに同調するように懸命にうなずいていた。


対抗演習。

年に一度、その世代の学生が一堂に会し、それぞれの力を競い合う実技演習だ。

二日間開催され、一日目は学生、二日目は軍人による合同演習が行われる。

学生にとっては実力を示す絶好の機会であり、また実際に軍のレベルを認識することができる。

軍側にとっても、若い世代の兵士が腕を競い合う姿を見ることで、将来の配属を考えるうえでの重要な場でもある。


「まあ、最高学年だし、緊張はするよね」

アカネもそう言った。

確かに、去年まではどこか祭りのような空気もあったが、今年はそうもいかないのだろう。

「アカネはともかく、お前ら戦闘なんてからきしなんだから、適当に流すか楽な種目選べばいいだけじゃん」

「分かってねぇな……」

スバルは深くため息をついた。


例年、すでに軍に所属している俺は演習への参加を見送っていた。

――少なくとも、これまでは。

「あんたも参加するのよ」

作戦室で、レイナはそう告げた。

「は?」

「対抗演習。うちも参加するらしいし」

「なんでだよ。うちは戦闘しない部署だろ。去年みたいに会場警備とかで――」

「今年は若い奴は全員参加らしいわよ」


「……それに、そんなことしてる余裕あんのか?」

残された時間はもう一年もない。

「まあ、焦ったって解決するもんじゃないし」

レイナは肩をすくめる。

「よその部隊や人間を知るには、いい機会じゃない?」


俺たちのような裏方の部隊にもお声がかかる。それはきたる戦争に備え、本格的に動き出す第一歩――そんなところなのだろう。

若い兵士がいきなり前線に投入されることは少ないとはいえ、魔力を用いた戦闘では、場数や経験が結果を大きく左右することは、俺も十分に理解している。


「学生と違って、活躍したら賞金も出るみたいだし。頑張りなさいよ」

やる気の出ない俺にレイナが言った。

「賞金って言ってもな……この前の任務の褒賞金、えげつなかったし」

「そんなに?」

「そんなに」

「じゃあ今度、なんか奢んなさいよ」

「嫌だよ。全部貯金すんだ」

「ほんと、つまんないガキね」

「うるせぇ」

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