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「屋敷の中で騒ぎを起こて、魔力探知を敵に使わせる。その時に盗み取った魔力を用いて侵入するってのはわかった、そのうえで、もう一回ズラしを入れよう」

「ズラし?」俺の提案に対しクラウスは興味を持つ。

「敵の情報処理にゴールを与える。そのうえで、侵入には魔力が必要だっていう前提をひっくり返す。」

クラウスは眉をひそめる。

「魔力は鍵だ。それがないと侵入は絶対に無理。だからこそ、こうして魔力を手に入れようとしてるんだろ。鍵の方から出てきてもらえば、あとは侵入するのみだしな」


「もう一つあるじゃねぇか、上と下がつながるタイミングが」

俺の発言を聞きクラウスは一瞬考え、即座に答えを出す。

「……下りか」

「そう、上から騎士を誘い出しす。その瞬間、俺が侵入すればいい」

「そう上手く行くか?」

「必要なのは2つ、焦りと緩和。」

俺は続ける。

「ただでさえ懸念の多い点検の日、小出しにしたヒントで敵の緊張と不安を極限まで高める。そこに突如として現れる1つの答えとして見るからに怪しい男。つまり、あんただ。」

「……俺が囮になるってことか」

「その隙に、日陰者で存在を薄めた俺が侵入する。扉が一度閉じる前なら、部屋はまだ繋がったままだ」


****


扉が勢いよく開き、突如としてマイロが部屋に入ってくる。

部屋の中央、じっと敵を見据えるクラウスとようやく捉えた敵の姿をじっと観察するマイロをよそに俺は扉の脇、ちょうど死角となった場所から一気に扉を抜ける。


「案外何とかなったな」

この作戦の肝は、散々引き上げた相手の警戒心。そのはけ口がしっかり用意されていることだ。

自分が出した案がこうも綺麗にに決まるとなかなか気分がいいもんだ。なんて考えながら、俺はようやく目的地にたどり着いた。


予言局・記録室

これまでになされた予言が保管されている場所。大半は取るに足らない内容だ。

俺はさっそく目的のものを探し始める。

時間はさほど残されていない。クラウスも正体を隠しながら敵を引き付けているが、限界は近い。

5分が一つの目標になっていた。


最近の予言を中心に閉じられた分厚いファイルを広げ中を確認する。翌日の天気から来年の体重変化なんてなんの役にも立たなそうな予言もあれば、小さくはあるが災害、飢饉などの情報もちらほら書いてある。


と、そこでが手が止まる。

―――これだ。

一目見てそう判断する。


記録日12/4

預言者 レイブン・ハートランド

備考:

予言の内容より、最上位騎士2名の判断で、レベル3の機密事項に指定。予言の封印措置を伴わない持ち出しを禁ずる。また、その内容より第4騎士団団長へ通達済み。

予言内容:

以下に予言の原文を記す。


凶星は産み落とされ、そのすべてを薙ぎ払う。成すすべはもう残されていない。

眠ければ、歌を歌うといいだろう。眠れないのであれば、歌を聴くといいだろう。

1年、あらゆる守護を巡らせろ。たゆまぬ努力など、私の意には介さない。


記録:シル・ドラン


―――ガニメデか。

読み終えた瞬間、そう確信した。


検証すべき点は多い。だが、この予言が指しているものは、まず間違いない。

ひとまず予言の内容を全て頭に入れ、俺はその部屋から素早く立ち去った。

残されている時間を少しでも無駄にしないように。


二人の侵入者は、一人は影のように、もう一人は追われながらも予言局を後にした。

しばらくの警戒態勢ののちその日の暮れには局内には日常が戻ってきていた。


****


予言局第2階層のとある一室。部屋に一人佇む少年はふと降りてきた予言を口ずさむ。

「偶然にも、彼の死とともに穴は開かれる。穴から恐怖の大王が降りてくる。」

誰にも聞かれることなくつぶやかれたその言葉は宙に消えそれが形を持つことは無かった。

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