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予言局一階層・大広間。
共同エリア。予言局の業務が行われるこの場所には、式典用の大広間をはじめ、大食堂や大浴場などが立ち並んでいる。
清掃員の一員として一斉点検に潜り込んだ俺は、集団からわずかに距離を取り、機をうかがっていた。
先ほど起きた騒ぎの余波が残る中、俺は着々と準備を進める。
「魔力を使ったバカが出たらしいぜ」
ざわつく周囲をよそに、俺は所定の位置へとたどり着いた。
部屋にいるのは俺を含めて二人だけ。作戦開始の条件は整っている。
深く息を吸い、ゆっくりと吐く。
――まだ、引き返すこともできる。
ここを出て帝国へ戻れば、明日からは今まで通り、学校に通い、何事もなかったように日常を送れる。
危険も、血も、死も、そこにはない。
だが。
覚悟は、もう決めた。
迷いはない。
死ぬのは怖い。それでも――
緊張とともに、感覚が研ぎ澄まされていく。
俺は、スイッチを押した。
屋敷の各所に仕掛けた魔道具が、一斉に起動する。
蓄えられていた様々な魔力が吐き出されていくのを、はっきりと感じ取った。
しかし、意を決したその瞬間、
―――向こうから扉は開かれた。




