序章
0 ある日の朝にて…
(思い出せない…。)
少年はいつものように起きた…はずだった。(俺は誰だ...?)
あまりにも突然の事で少年は自分自身でも何が起きたか理解出来なかった。
(ここは何処だ…?)
そして、思った。
(俺は、記憶を失っているのか?)
事の重大さを理解したところで、
「お兄ちゃん、ご飯だよ!」
と声がした。
(お兄ちゃん?声が女の子みたいだから妹かなぁ?)
あれこれ考えても仕方がない。今日はひとまず、不自然だと思われないように振る舞おう。疲れているだけで、しばらくすれば記憶も戻るだろう。
「わかった!今行く!」
少年の部屋はニ階、一方妹がいるリビングは一階だったため、少年は階段を下りていった。
1 リビングにて…
「お兄ちゃん、おいしい?」
「うん。」
「良かった~。」
「お兄ちゃん、そろそろ学校に行かないと。」
「ああ、そうだね。ごちそうさま。」
妹の言葉から、もう学校に行かなくてはいけないらしい。
荷物をとりに、さっきいた部屋に戻った。
しばらくすると、家のインターホンがなった。
「お兄ちゃん、影将くんが来たよ!!」
影将くんって誰だ?と頭に疑問符を浮かばせながらも、
「わかった。今行く!」
と言い、急いで階段を降り、玄関に向かった。
どうやら妹の口振りからして、影将くんと言う人は友達でいつも俺と一緒に学校へ行くみたいだ。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい!」
玄関の扉を開いたその時、少年は想像をしなかったであろう運命が動き出したのであった…。
2 通学路にて
少年は玄関の扉を開けた。
すると、そこには影将くん?と思われる人が立っていた。
「おはよう、飛風!」
「おはよう、影将くん。」
「影将くん?いつも飛風、俺のこと、覇鳥って名字で呼んでなかった?」
「あ、あぁ、そうだね、覇鳥。」
「どうしたんだ?飛風。まぁ、いいや。早く学校行こうぜ。」
「そうだな。」
そして、2人はしばらく歩く。
「なぁ飛風、今日全然人とすれ違わないな。」
「そういえばそうだね。」
彼は人といつも、どのくらいすれ違っているのかを覚えていないため、適当な返事を返した。
しかし、人とすれ違わないことは単純な疑問から恐怖に変わるのであった。
3 学校にて(教室編)
「おはよう!って、誰もいねぇ…。」
「そ、そうだね…。」
時計の針は8時21分、を指していた。
飛風と覇鳥はしばらく無言でみんなが来るのを待っていた。
「なぁ飛風、今日、授業あるよな?」
「う、うん、今日は普通に授業あるでしょ。」
この時、時計の針は8時30分を指していた。
「8時25分に出欠確認始まるのに、先生含めて誰も来ないっておかしくねぇか?」
「そうだね…。」
不思議に思った二人は誰かいないか人を探しに教室を出た。
4 学校にて(校庭編)
二人は廊下を歩いている。
「飛風、今校庭が光らなかったか?」
「えっ、本当!?」
二人は校庭に目を向ける…。
「何だろう、あの青い光…。」
「飛風、行ってみようぜ。」
二人は校庭に向かった。
「ねぇ、覇鳥、青い光の中に何かあるよ。」
「本当だ、見てくる。」
覇鳥は青い光に入っていった。
その時、青い光は消え、覇鳥は吹きとばされた。
「な、なんだ!?」
そこには一人の少年が立っていた。
「我は遥か彼方の惑星からやって来た。」
「「………。は?」」
「選ばれた君たちよ…、今我の惑星の近くで宇宙戦争が起きている…。このままではこの世界が壊れてしまう…。だから、力を貸してもらうぞ。」
「何言ってるんだ?」
「よくわからないんだけど…。」
「3、2、1、0」
その声と共に飛風と覇鳥は宇宙へ飛ばされた…。
そして、校庭には一つのりんごが残されていた…。
5 とある道で
「あー、友達との約束に遅れちゃう!!」
そう言いながら、少女はある裏道を走っている。
と、その時、少女は曲がり角で…
「痛っ、あっ!すみません。周り見ないで走ってぶつかってしまって…」
「あぁ、気にしないでくれ。こっちこそごめんな。じゃあ。」
ぶつかった相手は少女よりも2、3歳年上の少年だった。
この時、少女は何も知らなかった、何が起ころうとしているのか…。
「あっ、これ、あの人が落としたハンカチだ。」
それは青いハンカチで、霧雲裂人と書かれていた。
6 地球の外で
「おい!今、どういう状況なのか説明しろよ!」と覇鳥が言う。
飛風と覇鳥は突如、学校の校庭に出現した少年の力によって、地球外へ飛ばされた。そして、宇宙空間を直線に進んでいるのであった。
「君たちに世界を救ってほしい。」
「さっきから何言ってるのかさっぱりわからないんだよ!」
「まぁまぁ、落ち着けって。覇鳥。」
落ち着けと言っている飛風だが、飛風自身も今起きていることに混乱しているのである。
「落ち着けるわけないだろ?宇宙戦争とか何言ってんだよ!」
「…。詳しいことはあとで話す。」
「ふざけんなよ!」
7 学校にて(りんご編)
「はぁ…寝坊して急いで階段走ったら転んで捻挫してしまった…。今日は不運な日だ。」
そんな不運な少年の名は霧雲裂人。彼は足を引きずりながら学校へ向かう。
「そういえば、今日は覇鳥に用事があるんだった。放課後、あいつの教室行くか。」
しばらくして学校に着いた彼は腕時計を見ながら呟く。
「8時42分か、完全に遅刻した…。」
その後、彼は学校に誰もいないことに気がついた。
「あれ?誰もいないなぁ。何故だ?」
そして、彼は校庭に置いてあるりんごに気がつく。
「なんだこれ?」
りんごを手にした彼は、しばらくその場に立ちつくしていた。
8 誰もいない六月十四日
裂人は校庭にあったりんごをカバンに入れ、校内を歩いている。いや、人がいないか探していると言った方が正しいだろうか。
(なんで誰もいないんだよ。)
今日は六月十四日、特別な日な訳でもない。
「帰るか。」
と裂人は呟いて、家に帰る。
帰り道も人に会わなかった裂人は、家に着くとベッドに寝転ぶ。
(何で誰もいないんだろうなぁ。)
と考えていると、
「ピンポン。」
と家のインターホンが鳴った。
(やっぱり、人に会わなかったのはたまたまか。)
「はーい!」
彼は玄関に向かった。
9 遥か遠くの戦争(始まり)
「着いたぞ。」
困惑する覇鳥と飛風。
「ここは君たちがいた地球から遥か遠くの星だ。ついてきてくれ。」
二人が少年についていくとそこには家があった。
「こんにちは!」
後ろからのその声に覇鳥と飛風は振り向くとそこには少女が立っていた。
「覇鳥さんと飛風さんですよね…?」
「「そうだけど…。」」
と同時に言う覇鳥と飛風。
「急に兄さんがあなたたち二人を地球からここにつれてきてしまい、すみません。」「戦争が起きているって君のお兄さん?に言われたんだけど、なにがなんだか訳がわからないから説明してくれない?」
「わかりました。お話します。よければ家にあがってもらえますか?」
覇鳥と飛風は家に案内されたのであった。
10 Inportant apple
裂人は玄関と扉を開いた。すると、
「霧雲裂人さんですよね…?私、雪星零華っていいます。」
「あっ、君はこの間道でぶつかった時の!」
「そうです!あの、このハンカチ、あなたのですよね?」
「俺のだ!わざわざ届けに来てくれたのか?」
「はい。ではこれで失礼します。」
と、その時、
ポツポツ、ポツポツ、ザーーー!
と雨が降り出す。
「急に雨、降ってきたね…。少しあがって行きなよ。傘、ないでしょ?」
「…では、お言葉に甘えて…。」
~裂人の部屋~
「部屋、汚くてごめんね。お茶どうぞ。」
とお茶を出す。
「ありがとうございます。」
「突然悪いんだけどさ、今日、俺以外の人に会ったか?」
「会ってないです…。」
「君もか…俺も朝から誰一人、見かけてすらないんだよなぁ。だから学校から帰ってきて寝転がっていたら君が来たんだ。」
「私もです。学校に行ったら誰もいなくて帰っていたら途中で霧雲って言う家の表札見つけたんです。あなたが落としたハンカチに書いてあった名前と同じだし、ハンカチも持っているから返そうと思って。」
「そうだったのか!」
「みんな、どこに行ったのでしょう。」
「そういえば、学校の校庭にりんごが落ちてたんだよな…。」
と裂人はカバンからりんごを取り出す。
「りんご…ですか…?」
と零華がりんごに近づこうとした時、雪星のカバンの中が突然光り出す。
びっくりしながら零華はカバンの中身を全て出すと、光っている一枚の紙切れがあった。
[聖なる地に落ちたりんごを食べた者は時の流れを壊
そこから先は紙が千切れていて読めなかった。
「私、こんな紙をカバンに入れた覚えない…。」
「なんだろ、この紙切れ。」
裂人がそう言った時には紙切れは光っていなかった。
「雪星さん、これに書いてあるりんごって俺が今持ってるこれのことかな?」
「そうなんでしょうか…?」
「食べて見ようぜ!これ、洗って皮むいて切ってくる。」
~5分後~
「じゃあ、いただきます!」
「いただきます…。」
二人はりんごを食べきった。しかし、何も起きない。
「なんだ、ただのりんごか。」
「そうみたいですね。」
~7分後~
「何も起きませんね。」
「そうだな。雨はまだやまないし。」
と裂人が言ったすぐ後に地震が起きる。
いや、地震ではない。時が過去に巻き戻されていく。それに呑み込まれるかのように、二人は家の外に飛ばされた。そして、二人は気を失った。
11 遠くの星で
「では、お話します。以前、時の流れの状態を保つ木がありました。この星の皆は[時の木]と呼ばれていました。しかし、その[時の木]を根ごと引っこ抜いてその[時の木]を使って、時間を操り世界を壊そうと考えた人が隣の星に現れました。そして、[時の木]を護るこの星の人々と[時の木]を奪おうとする隣の星の人々の間で戦争が始まりました。敵はとても強く、私たちは負けそうになりました。その時、英雄が出てきて[時の木]に全能力を注いで[時の木]を[りんご]に変えて、この星の外へ飛ばしました。それと同時に英雄は消滅しました。敵はその事を知りこの星に攻撃するのをやめ、[りんご]を探しています。だから、今は休戦状態という訳です。そこで、覇鳥さんと飛風さんに敵が[りんご]を見つける前に倒して欲しいのです。」
「大体の内容はわかったけど…なんで俺たちが選ばれたの?」
と覇鳥が言ったそのとき、地震が起きる。
いや、地震ではない。時が過去に巻き戻されていく。それに呑み込まれるかのように、二人は家の外に飛ばされた。そして、二人は気を失った。
12 デリートされた世界
雪星零華は自分の家にいた。
「六月十日か、今日は何かあったっけ?」
と呟いている。
霧雲裂人も自分の家にいた。裂人の携帯には六月十日と表示されている。
「暇だからコンビニにでも行くか。」
と言い、家を出る。
覇鳥影将と飛風は公園でサッカーをしていた。
「明日は六月十一日だから、覇鳥の誕生日だよな?」
「覚えていてくれたのか!」
「明日、何かあげるよ。」
「おお、ありがとー!」
時は三日戻ってしまった。
13 選ばれた少年少女
A 覇鳥影将
俺は覇鳥影将。突然なのだが、本日、六月十二日は俺の誕生日。
昨日、友達の飛風と公園でサッカーをしていたのだが、その時、飛風に
「明日、何かあげるよ。」
と言われ、とても楽しみにしている。
なぜ、そこまで楽しみにしているのかって?
飛風は毎年、俺の誕生日にすごく驚くものをくれるのだ。始めて飛風に誕生日を祝われた時は腰をぬかすほど驚いた。だって、冷蔵庫をくれたんだぜ?その次の年はテレビ、その次の年はピアノ。飛風に誕生日を祝ってもらうのは今回で四回目になる。
さっき飛風から電話があり、
「一時間後に覇鳥の家に行く。」
と言われ、今、待っているのだが、一つ気になることがあるのだ。
今朝から時々、脳内に『助けて』と誰かに囁かれているような気がするのだ。そして、その声の正体が誰なのかを考えようとする度に、ある描写が浮かぶ。
それは、自分と飛風と知らない少年の三人で宇宙空間を直線に進んでいる状態。こんな描写が浮かんでしまっては気になって仕方ない。
お、今、インターホンが鳴ったな。飛風だ。
B 雪星零華
私は雪星零華。中学二年生。突然ですが変な夢を見ました。2,3歳年上の優しそうな男の人に道でぶつかる夢です。
その夢を断片的にしか覚えていないのですが、夢の中の私は何故か全速力で走っていました。そして曲がり角でその男の人とぶつかってしまったんです。その人は青いハンカチを落としていきました。そこで私の夢は途絶えて目が覚めました。
のですが、この続きのお話がありまして、目が覚めて自分の机を見ると、何と夢に出てきた青いハンカチが置いてあったのです。
夢で出てきたハンカチには確か名前が書いてありました。
でも、今、現実にあるハンカチには名前が書いてありません。
こんな不思議なお話に続きはあるのかな?
そんな事を考えてる私が今ここにいます。
C 霧雲裂人
俺は霧雲裂人。突然だが、ちょっと不思議な事がある。朝飯、昼飯、晩飯の事を考えると必ず『りんご』が脳内に浮かぶのだ。この現象はなんなのか俺にはわからないが、害は無いのでまぁ、いいとする。
そして、もう一つ気になることがある。俺には生まれてこのかた彼女がいたことはない。
だが、確かに断片的ではあるが俺の部屋で女の子と話していた記憶があるのだ。なんなのだろう、この記憶は…。
その女の子の特徴を述べておこう。
短髪。活発そう。明るい。優しい。そして…かわいい。
他にもたくさんあるのだが、これくらいにしておこう。
(こんな彼女がいたらいいのになぁ。)
D 飛風息吹
(思い出せない…。)
少年はいつものように起きたはずだった。(俺は誰だ...?)
あまりにも突然の事で少年は自分自身でも何が起きたか理解出来なかった。
(ここは何処だ…?)
そして、思った。
(俺は、記憶を失っているのか?)
事の重大さを理解した。
が、その時ある事に気がついた。
こんな現象、前にも経験してる…?
そして、直感だが、公園に行かなくてはいけないような気がした。
俺は誰だ?
との疑問が俺の脳内に響くが、何をすればいいのかわからないので、とりあえず直感を信じて公園に行くことにした。
玄関を出てドアを閉めるとき、微かに女の子の気配を感じた。
姉か妹かはわからないが家族の人だろう。しかし、何故かその人に近づいてはいけないような気がしたので直感を信じて公園に行くことにした。
公園へはすんなり行けた。何故だろう。道は覚えていた。身体が覚えていたのだろうか?
ここから先は俺の友人(?)である覇鳥影将のお話に続いてゆく。
14 断片的な記憶
この4人の少年少女は選ばれた人間だ。だから、こいつらの『時』だけ無限にループさせれば私のシナリオはうまくいくはず。
とある地球とは遠くの星でこんな事を考えている異星人がいたのだった。その名前は幻信人。
選ばれた少年少女は六月十日から六月十四日を何度も繰り返すのだろうか。
少年少女の二度目のループが始まった。
15 幻覚少年
話が逸れるが、この少年のことを覚えているだろうか?とある機会にお話ししたかもしれない。だが、忘れている人が大多数だろう。そこで、もう一度少年のことを語ろう。
俺の名前は羽海和男。高校1年生。いきなりだが、つい先月、不思議な出来事があったので聞いて欲しい。
朝、いつも通りにベッドの上で目が覚めた。その日はなんだか身体が重く感じた。
朝起きて学校に行くまでの1時間弱、災難が立て続けに起きた。
階段で足を滑らせ転落。幸い捻挫で済んだ。
その後、制服に着替えようとしたらボタンが壊れ、タンスの角に小指をぶつけた。自分の部屋のドアを閉める際、指を挟み重症。
トイレに行けばトイレットペーパーが無く、歯を磨いていると歯茎を傷つけてしまい、ひどい出血。
色々な災難を乗り越え、自分話は家を出た。
その時、その時だ。見た。確かに見たのだ…。
ぼんやりと少年の姿を。
正直、怖かった。見間違いだと思って何度見ても確かにそこにぼんやりと少年がいるのだ。
恐る恐る話しかけてみた。
「おはようございます…。」
無反応。
何回か声をかけたが、やはり無反応。
気にせず、学校に行く事にした。
一時間目、数学。二時間目、数学。三時間目、数学。四時間目、数学。五時間目、数学。六時間目、数学。
だったらいいのにな、という僕の理想を裏切り全ての教科が文系科目の一日。
学校でも災難は続いた。いつもなら先生に当てられないのに、その日に限って全授業で先生に当てられたのだ。こういう時、僕は、必殺技である無言と苦笑いを発動するのだが、その時は何故か勝手に口が動いた。
驚きよりも気持ち悪さが先にきた。自分の脳が乗っ取られて、勝手に口が動かされているような気がした。
帰りのホームルームが終わり、いつも通りに帰宅。俺は部活に入っていない。帰宅部だ。
僕には友達がいない。よって帰り道はいつも一人だ。しかし、横から声がした。そっちを向いても誰もいない。
いや、いた。ぼんやりとした少年が。その時、僕は少年の姿が朝よりもはっきり見えるような気がした。
家に到着。勉強は嫌いだ。とても勉強は嫌いだ。だから勉強はせず、ベッドでゴロゴロしている。これもいつも通り。のはずだったのだが、まだ災難は続いた。ベッドの脚が壊れ、俺は強く脇腹を床にぶつけた。とても痛い…。
更に災難は続く。晩ご飯の際、箸の先が折れ、風呂では足を滑らせ頭をぶつけた。幸い、たんこぶができるくらいで済んだ。
そして、災難続きの一日は終わりを迎える。
23時。その日は早めに寝る事にした。ベッドに横になり、眼を閉じようとしたその時、ぼんやりと見えていた少年の姿が急にはっきり見えるようになった。これは幻覚だと信じて一日を過ごしていた俺にとっては悲劇だ。
殺される。そう思った。が、
「ありがとう。」
その少年はこう言って消えていった。
こうして、不思議で災難続きの一日は幕を閉じた。
後日談。
次の日学校に行くと、転入生が紹介された。
その転入生は、僕が前の日に一日中見ていた少年とそっくりだった。
16 幻覚が真実に
羽海が夢で見た少年。その名前は幻信人。先生は少年について何も語らず、少年は名前だけしか言わず、その日は終わった。
ここからは和男目線で話を進めよう。
「君、昨日僕の夢に出てきたよね。」
「うん。昨日はありがとう。」
信じられない言葉が返ってきた。昨日なありがとう!?謎。謎。謎。マジで謎。
「僕、異星人なんだ。悪ふざけ半分で昨日君に取り憑いてみたんだけど、僕は不幸体質だから君は散々な目にあってたね。(笑)」
この子、笑ってるよ。最低だ。いや、それ以前に取り憑いていた?訳わからん。
「和男くんには不思議な力があるんだ。だから協力してほしいことがあるんだけど…。」
少年は上目遣いでそんなことを言った。男の上目遣いは気持ち悪いな。美少女の方が良いな。
「まぁ、不思議なこともあるんだな。良いよ。協力してあげる。何をすればいいの?」
僕の脳内はごっちゃごちゃだ。もうどうにでもなれ。そんな気持ちで協力要請を承諾した。
「ありがとう。まずはそうだな。……………………………俺の世界に来てもらおう。」
急に気弱な感じの少年は豹変した。そして、一瞬のうちに、僕はこの星を飛び立っていた。
17 別世界から呼ばれた少年
「これって運命なのかな?」
そんな少女の声を聞いて目を覚ました。
「なんだ、夢か。」
少年はここ最近、不思議な夢を見ている。
だが、それはいったいどんなものだったのか全く覚えていない。不思議な夢を見たということだけを覚えているのだ。
「5時か。まだ早いな。」
その日は日曜日。7日に一回訪れるどうってことのない日曜日。その日曜日の早朝だ。
「喉乾いたな。『天使の泪』でも買ってくるか。」
『天使の泪』とは少年がよく飲んでいるスポーツ飲料の名前だ。
いつも飲んでいるそのスポーツ飲料を買うため、家の近くにある自動販売機に向かった。中学生の時に運動部に入っていて、部活後の学校からの帰り道に、いつもその自動販売機で『天使の泪』を買って飲んでいた。初めは変わった名前だったから興味本意に買ったのだが、意外と美味しく気に入った。
それがいつしか日課となり、今は高校で帰宅部に入っている少年は、なんとなく毎日その『天使の泪』を飲んでいる。
その日もいつも通り飲み物を買うために自動販売機にお金を入れようとした。だが、その行動は失敗に終わった。
なぜなら…
「ここはどこだ?」
目の前は自動販売機ではなく、荒れた街が見える崖の上だった。
「あそこにいたぞ!」
日本刀のような刀?を持った6人くらいの集団が後ろから少年に襲いかかった。
少年はわけがわからなかった。そして悟った。
「俺の人生は終わったな。」
少年の脳裏には駅で見送った妹の姿がよぎった。
「フリーズインパクト!!!」
少年は最後にその声を聴いて気を失った。
その声は夢に出てきた少女の声とよく似ていた。
崖の上で時は凍った。
という夢を見た。
その日は二度目の飛風の六月十三日だった。ちなみに前日、六月十二日、飛風は覇鳥に誕生日を祝ってもらっていた。
18 羽海和男の『4人の少年少女の時のループ』解除作戦
和男は臆病だ。だが、正義感は強い。幻信人はとある『りんご』を手に入れるために4人の少年少女の『時』を無限ループさせている話を聞いた。和男はただでさえ、信人に騙されて異星に連れてこられたことにイラついていたあげく、人の『時』を操るなどと言う酷い話を聞いてしまったので、遂に激怒した。
そしてもう一つ。和男は自分自信に不思議な力-具体的には誰かが放った不思議な力を打ち消すもの-を持っている事をきいた。そこで、
和男はある作戦を決行する。
それは…
信人が4人の少年少女に放った不思議な力の打ち消し作戦。
しかし、ここで予想外の事が起きた。和男が不思議な力を放った瞬間、信人は消滅してしまったのだ。
異星に一人残された和男は、途方にくれた。
幻信人による、最後の不幸体質の呪い(と和男は名付けた)は一人残される絶望そのものだった。
19 4人の少年少女、記憶復活
A 飛風息吹 覇鳥影将
1回目の六月十日から六月十四の日々を全て思い出した。学校まで覇鳥しかおらず、校庭で異星人に違う星に飛ばされた事などを鮮明に。そして、二人はそれぞれ同じ事を思った。
「覇鳥に会わないと!」
「飛風に会わないと!」
会ったらまたなにか進展がある。そんな気がした。
そして、飛風にはもう一つ、『時』のループ以外の事で思い出したことがある。




