サンダー・シャドウ 雷影!
初めまして。サンソン琢磨と申します。以後よろしくお願い致します。
科学的検証などは、完全に無視して書きました。僕が小学生の頃にダイレクトに感じた、特撮変身ヒーローを目指しています。突っ込み所は多いでしょうが、細かい事はお気になさらずにお読みしてください。
日本の特撮変身ヒーローが大好きなゆえに、書きました。
サンダー・シャドウの歌
この世に 悪が ある限り
俺は 戦い 続けるのさ
そして、奴らは命を軽んじて破壊の限りを尽くしてゆく
そんなことは許さねぇ!
「サアァーンダアァッー!!」
輝け、サンダー!
響け、サンダー!
轟け、サンダー!
怒りの稲妻が悪を撃つ!
大地を走れ! 龍雷拳!!
大空を飛べ! 鳳雷斬!!
海原を行け! 鮫雷波!
サンダー! サンダー!
俺はサンダー・シャドウ!
この世に 命の ある限り
俺は 護り 続けるのさ
しかし、大切な命を次々と奪い取ってゆく奴らがいるんだ
そんなことは許さねぇ!
「バアァースタアァッー!」
唸れ、サンダー!
翔ろ、サンダー!
貫け、サンダー!
怒りの稲妻が悪を撃つ!
大地を走れ! 龍雷拳!
大空を飛べ! 鳳雷斬!
海原を行け! 鮫雷波!
サンダー! サンダー!
俺はサンダー・シャドウ!
牙を剥く 悪の ある限り
俺は 折り 続けるのさ
爪で切り裂き牙で噛み砕き悪の限りを続ける奴らがいるんだ
そんなことは許さねぇ!
「サアァーンダアァーッ!」
煌めけ、サンダー!
吼えろ、サンダー!
戦え、サンダー!
怒りの稲妻が悪を撃つ!
大地を走れ! 龍雷拳!!
大空を飛べ! 鳳雷斬!!
海原を行け! 鮫雷波!!
サンダー!サンダー!
サンダー!サンダー!
俺はサンダー・シャドウ!
(次からは本編が始まります)
1
長崎県長崎市桜町にある粕寺銀行桜町支店は、今、銀行強盗集団に乗っ取られていた。五人の強盗集団のメンバーがそれぞれライフルを構えて、銀行員たちと振込と引出に来ていた客たちを狙っている。
ドオンッ
銀行の白い床に、三〇ミリ前後の黒い穴が空いた。どうやら強盗集団は本気で、余計な動きをした者を撃ち殺すらしくて、今のは狙いをワザと外したらしい。ライフルの銃身にある物をジャカッと前後に素速く動かせて、銃弾を装填した。軽い金属音を立てて、空になった弾が落ちる。そして、緊張状態で静まり返る銀行内部に火薬の臭いが立ち込めてゆく。紺色のニットマスクをした大男が、皮のボストンバッグをカウンターの上にドカッと乗せたのちに、シャギー頭の若い女行員を碧い瞳で睨みつけた。
「ハリアップ、マニー!」
催促をして、若い女行員の高い鼻先にライフルの銃口を突きつける。女行員の名札には、峯岸由香利と表記。由香利の鼻を火薬の臭いがツーンと通過していった。由香利は顔をしかめて眉間に縦皺を寄せると、音が聞こえる程に唾を飲み込んで喉を鳴らす。心臓の鼓動が遠慮無しに大きく鳴って、それは由香利自身にも聞こえていた。滝のような脂汗を産まれて初めて流す。それは由香利だけではなく、他の行員たちにお客様たちも同じに違いない。と、いうふうに由香利の頭の中をよぎっていく。
「ハリアップ、ゴー!」
ああ…! また催促されてしまったじゃない、畜生…!――と、心で泣きながら由香利は震えた躰で踵を返して、金庫に向かって歩き始めた。大男が、黒いニットマスクをした長身の男に指示を出して由香利の後ろにつかせる。桜町支店の担当責任者も同行させて、金庫を開けさせにかかった。
まさに、その時。
眩い光りと共に太く青白い稲妻が銀行の自動ドアーの硝子を破壊して、カウンターに立っている強盗団の大男を狙って貫いたのだ! 銀行強盗集団の中でも百九〇を誇る、この大男の躰を稲妻がカウンターを破壊して歪曲すると、次は天井へと昇った。白い床へ垂直に大男が落下。既に意識を飛ばしていた。
「オアアアっ!!」
「マイ、ガッッ!!」
「オオオオッ!?」
残りの強盗団メンバーが驚き絶叫した。銀行員たちと客たちは、頭を肩に寸詰まらせて声を出せないくらいに驚きを見せている。
「とうっ!」
そこへ、青黒い影が片膝を突いて現れた!
「サンダー・シャドウ、見んん参っ!!」
突如として現れた青黒い忍び装束に身を包んだ者が立ち上がって、見栄を切り名乗ったのである。その忍び装束には、頭から胸と背中、肩、肘に下腕に手の甲、膝に臑に足の甲までに鎧で被われていた。顔には、横に走る赤く輝く細いゴーグル。そして、額には稲妻を象った鍬形飾りがあった。 サンダー・シャドウと名乗った人物が拳を縦に突き出して、頷きながら語り始める。
「罪も無き人々に銃を向けるとは、許すまじ! 雷神から授かった力を使い、お前らに全員、落雷してくれようぞ! 覚悟っっ!!」
強盗集団へと向けて、そう云うと力強く指を差したその時、金庫から黒いニットマスクの強盗がライフルで撃ってきた。が、しかし、当たる寸前のところでサンダー・シャドウの躰の表面に発生した薄い稲妻が銃弾を跳ね飛ばす。「ゆくぞ!」との掛け声と共にサンダー・シャドウは床を蹴って走り出した。こちらへと迫り来る得体の知れない完全武装の人物に恐怖をした、ニットマスクに色眼鏡をかけた筋肉質の男がライフルを構えて弾丸を撃つ。しかし、跳ね飛ばされた。間合いに入り込んだサンダー・シャドウは手刀で筋肉質の男のライフルを打ち払うと同時に、黒い拳を岩のような顔面に叩き込んだ。筋肉質の男、前歯を折って天井を仰いで倒れ込む。
サンダー・シャドウが次の四角い顔の強盗犯の位置へと移動していて、肘を割れた顎に撃ち込む。四角い顔の強盗犯の頭の中で、大変な事態が起きた。それは、脳 震 盪である! 脂汗を撒き散らして、グラングランと下顎と頭を互い違いに揺らしていきながら横に倒れ込む。ニットマスクの下に髭を蓄えた強盗犯の男がサンダー・シャドウの背後を狙って撃ったものの、弾き返された。サンダー・シャドウは踵を素速く返して、髭を蓄えた男の背後にいる数名のお客様たちと行員たちに叫びかける。
「危ないですので、離れていてください!」
髭の男が左右を見て焦りを露わにすると、やけっぱちに成ったのかライフルを構えて引き金に指をかけた。
その時。
「龍雷拳!!」
サンダー・シャドウが髭の男よりも速く拳を突き出して、青白く輝く稲妻を撃ち放ったのだ! その稲妻は龍の如くうねり、迫ってくる。そして、髭の男を壁に叩きつけた。次に踵を返すなりに、金庫室の前に立つ黒いニットマスクをした長身の男に指を差して宣言した。
「残るはお前ひとりだ!」
「フ…ファッキンっ!」
うろたえた長身の男が隣りにいる行員の由香利の首に、腕を巻きつけようかとした、その時。
「アウッ…ッチ!」
手首に刺さる激痛を覚えて、体勢を崩す。そして、隙を狙ったサンダー・シャドウが跳躍をして鋭い直線を描いて矢の如く金庫室へとめがけて飛翔していった。
「雷龍鎚!!」
サンダー・シャドウの肩が、長身の男の腹筋に突き刺さって胃液を逆流させるのだ。分厚い金庫の鉄扉にサンドイッチになり、更には後ろ頭を強打して意識を飛ばした長身の男は、銀行の白い床に倒れ込んだ。なんと、分厚い鉄扉に人型の窪みを残していた! サンダー・シャドウは躰を起こして銀行にいる行員たちとお客様たちとを見渡したのちに、「さらば、とうっ!!」と、叫んでその場を飛び去ってゆくのだった。
「ありがとーっ、サンダー・シャドウ!」
「有難うっ! 有難うございます! 我が銀行が救われましたっ!」
「サンダー・シャドウ! 有り難う!」
「サンダー・シャドウ!」
そんな直後に、けたたましくサイレンを鳴らして白黒ツートンの車数台と赤いハコスカが一台とがそれぞれ急停止して粕寺銀行桜町支店に並んで、警察官たちに刑事が数名姿を表して颯爽と中に入り込んできた。警察官たち皆は腰に手をやり、銃か警棒を直ぐにでも抜ける体勢をとる。そのメンバーの中で、真ん中を割って出てきた人物が赤褐色の三つ揃いスーツ姿の女刑事が前に立ち、周りを見渡して床に倒れ込んだ銀行強盗団へと目を配ってゆく。女刑事は腰に手を当てて毒づいた。
「糞っ垂れが…! またあの雷野郎か」
別の刑事が女刑事の元に状況を報告しにくる。
「朝倉警部補、サンダー・シャドウが荒らしたそうです」
「ああ。間違いなしだな。今度こそ裏を取って捕まえてやる…!」
「し、しかし彼は表では犯罪者逮捕に協力する市民ですが?」
「ふんっ! 器物破損罪で逮捕してやるさ」
そう鼻息を鳴らした朝倉警部補と呼ばれた女刑事が、眼鏡を胸ポケットから取り出して顔にかけた。
朝倉しづゑ。三二歳、独身。長崎県警察署強行課に所属する警部補。
2
話は、先の銀行強盗事件よりも二月ほど前へと遡る。
市川英樹、十七歳。長崎県立黒船高等学校の二年生。彼は、ある日、雷雨の激しい放課後に傘を忘れたものだから、急いで家路へと向かっていた最中に、突然、まるで地球を貫くかのような巨大な雷から直撃を受けてしまう。それは、もう、迷いの無い落雷だった。雨に濡れたアスファルトを残りの雷が駆け巡り、そして電信柱に当たるやいなや根元から破壊して倒したのである。 その時の落雷した音は、周囲数百メートルにも渡って大太鼓を全力で連打したかのような衝撃音と、それに伴う衝撃波とを響き渡らせた。そして、知っての通り、雷の直撃現場であるアスファルトには実に目測半径二メートルを越える巨大なクレーターが出来上がっていたのだ。
段々と粒の大きさを増して降ってくる雨に、降水量もプラスされてきた。雨音が激しい打撃を繰り返す。クレーターのできた現場から遠くの所に、新たな落雷があり、その後に音の鳴り響きを長崎市民に聞かせる。はたして市川英樹は無事なのであろうか! 第一、強烈な落雷を受けて生きているのだろうか! すると、アスファルトのクレーターの縁を掴む片手が出てきた。次には残りの片手が縁を掴む。そして、刈り上げた黒髪。意志の強い眉毛。何事にも屈しない輝きを放つ瞳が現れた。なんと、市川英樹は生きていたのである!
英樹はゆっくりと身を起こして立ち上がると、己の躰の状態を確かめる。信じられないことに、無傷であった。少し制服が所々に破けているだけで、あとは全くと云ってよいほどに無傷。英樹自身、このような状況に置かれて驚愕していた。
「なんだ…、これは…?
なんだ…、この躰の芯から湧き上がってくる得体の知れない力は…? 俺は、俺は、一体どうなってしまったんだ…?」
英樹は、己の両手に虫の走り回るような感触を覚えたので確かめて見ると、そこには、静電気が腕に巻きついてゆく動きを見た。視界を横切って走る小さな稲妻も確認した。
「おお…、何だ…この力は」
なんだか、ひとつ、叫んでみたくなって早々と決意した英樹は、拳を天高く突き上げたのだ。そう、それは、天から降ってきた稲妻を突き返すかの如く力強く真っ直ぐに。
「サアァァーーンダアァーーーっ!!!」
そして、彼の雄叫びと共に巨大な落雷。それは確実に英樹を直撃した! まるで、青白く輝く龍が降臨したかの如く! 次に、眩いばかりの白い光りの半球状に膨らんで弾け飛んだその中からは、やがて、神々しい輝きと共に青黒い忍び装束に甲冑を身に纏った戦士が姿を現したのだ。額には、稲妻を象った鍬形飾りを付けていた。そして、ここに、正義の使者が誕生したのである!
その名は、雷影っ!
またの名を
サンダー・シャドウっ!!
『サンダー・シャドウ 雷影!』完結!
いかがでしたでしょうか。
このような話しが万人ウケするとは思ってはいません。それはそれで良しです。僕は頭の中では、だいたいというか、しょっちゅうこんなこと考えています。
読んでいただきまして、ありがとうございました。