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空の記録  作者:
2/2

夜明けの空

女の子が泣いている……。

場所は……、俺の全く知らない場所だ。

空は紅く、どこかで悲鳴が聞こえた。

そこで俺はここが夢であることに気づいた。

ただの夢か、俺の過去か……。

俺は女の子に近づいた。

どこかで見た事がある顔だ。

俺は自然と手が伸びた。触れるはずがないのに……、でもきっと何かが分かる気がして。

あと十センチ、あと……、九センチ。

そして……。


「おい起きろ、なのと今日は"にっしょく"が起こるらしいぞ?」


朝の目覚めは最悪だった。

せっかく楽しい夢を見ていたような気がするのに、こいつのせいで全て忘れてしまった。

やはり一度きつく言うべきか。

「なあなあ、聞いているのか?」

ちらり、と時計を見て時間を確認。現在午前3時、当然ながら外は真っ暗だし、太陽は沈んだままだ。

「まだ寝てるのか? よし、こうなったら必殺の――」

「バカ野郎」

「あいたっ」

俺は思いっきり頭を叩いてやった。殴らないのは俺の優しさ。

奴は頭を押さえ、痛みに耐えている、いい気味だ。

「き、君は罪も無き一般市民をいきなり殴り、それでいて謝りもしないのか!!」

「訂正しよう。貴様は罪有りまくりの一般では無い市民で、俺は殴ってないし謝る必要が無いから謝らないのだ。さらに付け足すなら寝起きの人間に必殺技を繰り出す人間も、朝の3時に叩き起こす人間も俺は許さない。分かったか?」

言いたい事は言えた。俺は布団を掴み、もう一度寝る準備に入った。

しかし、奴は引き下がらずに俺の布団にしがみつくと

「ちょっと待ってよ。話を聞いてよ、今日は"にっしょく"が起きるんだよ。」

何度も何度も、だから何だっていうんだ。

確かに日食はいつも見れる訳じゃない。こいつの話が本当ならとても珍しく見る価値だってあるだろう。

だけど、それは日が昇ってからだ。

それでなくても昨日は仕事のせいで寝る時間が遅くなり、すごく疲れているというのに。

それなのに……、それなのにこいつは……。

「貴様は俺に寝るな……、と?」

「え? いやあ、そこまでは言ってないけど……」

「ならば、俺に恨みでもあるというのか?」

「そ、そんなのあるわけないだろ」

「ならば……、何で起こした」

「へ?」

奴は本当に意味が分かっていないかのような表情を浮かべた。

俺が何故機嫌が悪いのか。何故そんな事を聞かれるのか。

いつものことだ。こいつに罪の意識と言うものが全然ないのは。

「俺はな、昨日貴様が本来やっているべきの書類の数々を代わりにやってやった。貴様の食事も、俺がやるべき事も……、だ。おかげさまで、俺はろくに眠る時間も取れず、たった3時間しかない休みを使って、やっと眠りについたわけだ。それなのに、貴様は狙ったかのように、俺が寝た直後に来るし、たかが日食で――、いや、それは良い。しかし、日食は太陽が昇らなければ見る事は出来ないし、わざわざこんな朝早く――、もとい、こんな夜に人を起こすな、と暗に俺は言っているのだ。理解したか?」

「さっぱりです」

きっぱりと言い切られてしまった。

満面の笑みでバッサリ斬られてしまった俺は疲労感がピークに達してしまったようで、バタリと倒れてしまった。

眠る直前に見たアレは、天使の笑顔か、悪魔の頬笑みか……。


俺が目を覚ましたのは、月が真上に来ている時間だった。

辺りを見回すと、見慣れない物で溢れていた。

少なくとも俺の部屋では無い。

ゆっくりと警戒しながらベッドから降りる。ふと、横を見ると5〜6歳くらいの小さな女の子が椅子に座りながら眠っていた。

雰囲気からして、ここはこの子の部屋か。

俺はそっと抱き起こすと、ベッドの上に寝かしあげ、ゆっくりと音を立てぬようその場を離れた。

部屋を抜け出し、ここが何所か思案していると、すぐ隣の部屋から話し声が聞こえてきた。一人は毎日聞くあの馬鹿の声。もう一人は俺よりも年上の男の声だ。

「奴が…………か。まだ若いっての…………だねぇ」

「ふっふっふ、親っさ…………だけじゃな…………なんと…………」

盗み聞きは好きでは無いが、この場合致し方あるまい。

「それで計画は」

「順調順調、あとはあの子をあの城に監禁して」

「誰が誰を監禁するって」

迷わず俺は飛び出した。監禁されるのが俺だというのなら、こいつらには俺自慢の鉄拳制裁を喰らわせてやろうと固く心に誓いながら。

「それは当じぇ……ん。あ、あはははははは。君じゃないよ、ええと君といっしょの部屋にいた女の子の事だよ」

「なおさら悪いわ!!」

とりあえず5発殴ってやった。

「痛いよ」

「当たり前だ。あんなに小さい女の子を監禁しようとしたんだ。貴様じゃなければ殺していたぞ」

「じゃあ親っさん死んだね」

前を向くと、向い側に座っていたおっさんが、汗をだらだら流しながら視線を反らしていた。

「……貴様らは何を企んでいる。ここはどこだ。あの子は何なんだ。」

「言わなきゃダメか?」

「当然だ、バカ野郎!!」

奴はしょうがないとでも言いたげに首をすくめると、俺の質問に答え始めた。

「まずここは、う〜ん……、いうなればテロリストの隠れ家、かな。で僕らの企みは革命を起こす事。君が見つけた女の子は革命を起こすため絶対に必要な大切な子、ってとこかな」

他に質問はあるか? と聞かれ、俺は一つ気になった事を訊ねた。

「革命とは、何だ」

やっぱりそこか、とでも言いそうな顔になると奴はにやにやと笑いながら喋り始める。

「この世界を支配する魔王を倒す。それが革命だよ。きっと皆が思ってる。こんな支配された世界は嫌だって。だから僕らがその鎖を断ち切ろうって、自由で楽しい世界にしようってさ」

「本気で言ったいるのか」

「当然」

俺は腕を組み、奴が言ったことをゆっくりと考えた。

奴の話を聞く限り俺もあの子も必要性が全くないからだ。

兵士、と言うのであればまだ理解できるが、少なくともあの子は兵士として成り立たない。

まさか超能力があるとも思えないし。奴の考えがちっとも分らない。

それ以前に話が急展開過ぎて頭が付いていかない。朝、あのまま起きているべきだったと俺は今更ながら後悔した。

「君もあのお姫様も必要なピース。だから招待したんだよ。特に君は成功のカギを握っている」

俺の心を読んだかのように、奴は言葉を紡ぎだした。

「なら、俺と一緒に過ごした日々はこの日の為の幻想だったというのか」

つい、そんな事を聞いてしまった。

不安だった。俺が過ごしてきた日常はそんな事の為にあったのかと、お前は俺を利用していたのかと。しかし。

「違うよ」

奴は否定した。俺の不安を脱ぎ去るかのように笑顔で。

「君と出会ったのは偶然だし、本当は君を巻き込みたくはなかった。これは仕方がなくなんだよ。だから改めて言わせて、僕らを手伝って」

それだけの事で、俺の胸に溜まっていた何かは抜けていった。

なら、俺がこいつに返す言葉は一つしかない。

俺は満面の笑みを奴に向けて言い放った。

「ムリ」

俺を起こした罪は重い


彼等はゆっくりと離れていった。

一人は怪我が酷いのか、寝たまま空を眺めていた。

一人は雑念を振り切るかのように、戦場に駆けていった。

私は、一人の人間に近づい問うた。

「汝、              」

人間はゆっくりと頷いた。

あとが……き?

主人公のキャラいまだに決まらない。

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