食料工場と住居を建設
やがて夜のとばりがおり、明けの明星が輝き、一番鶏の声とともに日は昇り、翌朝のこと。
一番最初に建設するのは、食料工場、住居、それと道路と、農地だ。
農地で食料を生産し、それを食料工場で加工食品として、消費者のいる住居へ、という流通経路になる。
会社の名前も決まる。
『㈱渋沢総合商社 異世界支社』
米と麦だけでなく、野菜畑、それと果物を生産する果樹園、さらには畜産も行う予定。
牛肉、豚肉、鶏肉、さらには牛乳も鶏卵も、そして、うずらを育てて、うずらの卵も名産の一つにしよう。
栄一「それにしても、ここには人間はもとより、魔物すら見かけないとなると、何か別のものが出没しそうだな。
たとえば、先住民とか、蛮族とか、人食い人種、首狩り族、あるいは幽霊とか、ゾンビ、がいこつなんかが、でてきたりしてな。
普通の魔物は出てこないで、アンデッド系とか、出没したら…。」
アンデッドが出てくるかどうかは、わからないが、とにかく、ここに社員たちを住まわせることから始めないとな。
アンデッドが出てくる気配は、今のところは無いようだ。
町の建設と会社の経営の細かいことに関しては、二人の助手、ワトソンとエマに聞けばいいようだ。
ワトソン「まずは、区画を整備しなければなりませんね。
どの区画に住居を建てるか、食料工場を建てるか、どこからどこまでを農地にするか、という話です。」
エマ「町づくりのゲームの感覚で、操作を行っていけばいいんです。」
栄一「その手に持っている、妙なものは?」
エマ「これが、コントローラーというものです。このコントローラーで操作をすれば、すぐに区画が出来上がります。」
私はさっそくコントローラーを手に取り、まずはせっせと道路を敷いて区画を区切り、それから住居、食料工場、農地と、設置を行った。
ワトソン「町の建設が進めば、警察、消防、病院、学校といったものも、必要になってきますが、詳しい説明はまた後ほど…。」
では、後ほど聞くとしよう。
あとは、移民局のサムソンに頼んで、移民を連れてきてもらえば、定住させられるのだが、果たして、目処は立つのか。
サムソン「さっそく連れてきたぜ。これでな、とりあえずは、あんたの会社の働き手ぐらいは確保できるというものだ。」
人数は20人、いや30人にはなるな。これで、うちの社員と、その家族、住居に住まわせる人数と、食料工場の働き手は、まずは確保できたな。
こうして、異世界という未知の世界での会社経営と、町づくりの第一歩を、踏み出した。