2 決勝前夜
GM:それでは、皆さんは明日が決勝戦という急展開の方を迎えているわけなんですが(笑)。現在、あなた達の所属する部活「ワグナー高校バトブレ部」の部長である蔵前ほのかさんの父親の蔵前浩三さんの経営するプラモ喫茶「モックアップ」にて決勝前の最終調整もかねてシミュレーターをプレイしています。周囲は宇宙空間、辺りでは敵味方のミーレスが爆散する閃光輝く中、仮想空間に投影された自身のプラモを元とした機体を駆って要塞の攻略戦に参加しています。
ナユタ:その要塞液体金属纏ってるやばい要塞だったりしません?(笑)。
GM:ただの小惑星を利用した要塞なので安心してください(笑)。それでは皆さんが要塞内部に侵入して進軍していくのを食い止めるように敵のミーレス(※1)「ヴィクラマ」が複数機で襲い掛かってきます。これに関しては皆さんの機体イメージを明確にするためのアレなのでお好きなように蹴散らしてもらえれば(笑)。
ナユタ:じゃあ、「阿南、阿重田、左方からくるぞっ!」と警告して。
GM:では、それと同時に阿南と阿重田の機体のアラートが鳴ってですね、ヒートアックスを振りかぶったヴィクラマが迫ってきます。
アジュウタ:その斧が振り下ろされる瞬間に阿南のハイルングの後ろからアシュラの無数の腕がそれを受け止めて「阿南、今だ!」と。
アナン:では、動きの止まったヴィクラマを光を纏った刀で切り裂いて、「ナイス! 阿重田」
GM:それなら、切り裂かれたヴィクラマは上半身と下半身で断ち切られ爆散して、その爆風の中から無数の腕を展開したハイルングのシルエットが現れます。
ナユタ:「流石だな」と言いながらワイヤーによる高機動で他のヴィクラマをかく乱して背後を取り。「余りにも、遅すぎるな」とサブマシンガンを浴びせます。
GM:背後から攻撃を受けたヴィクラマはバックパックに被弾してそこから誘爆していって。そういう風にして敵を殲滅すると。ボスに当たる大型の機体の方が出現して、ハイルングに向かって4本のビームサーベルを突き立てようとしてきて。
アナン:「阿重田、もっと腕増やして!」
アジュウタ:「えぇっ、無理無理無理無理っ」と言いながら今ある腕でサーベルを持っている手をつかみます。
アナン:「よし、それで十分!」と言って、右側の二本の腕を切断します。
GM:では、均衡を失ってそちらに押し返されるようになって態勢を崩して。
アナン:「阿重田あとはよろしく!」
アジュウタ:「嘘だろぉ」とぼやきながらもフリーになった側の腕で敵を引き寄せて、すべての腕で敵を押しつぶします。
GM:すると敵の大型機がどんどんとひしゃげながら押しつぶされて爆発して、その爆風が晴れると全員のモニターにミッションクリアの文字とクリアタイムが表示されます。
その後、プシューという音と共にコックピットを模したゲーム筐体が開放され視界が開けて、見慣れたモックアップの店内が確認できます。その店内に此方へ向かってくる一人の赤みががった茶髪の快活そうな少女を見つけます。
GM:「終わったわね、みんなお疲れ様、映像見せてもらっていたけど、流石ね高難易度ミッションをあんなに短時間でクリアするなんて」と言いながらコーヒーを淹れてあなた達に渡してくれます。
ナユタ:それを受け取りながらドカリと筐体の椅子へと腰かけて「だが、まだ甘い所があった」
GM:「那由多は相変わらず厳しいわね、決勝前だから慎重になるのもわかるけど、根を詰めすぎて万全の態勢で明日に望めないなんてのは御免よ」
ナユタ:「なに、この程度のことで疲れるような俺達じゃないさ、だろう?」と二人に何話か経た並みの信頼感を持ちながら言います(笑)。
アジュウタ:「そうですよ部長。俺達が今までどれだけの激戦を潜り抜けてきたと思ってるんですか」
アナン:「そうだよほのかちゃん、私たちだって初めのころとは違うんだからこれくらい平気だよ」
GM:「確かに、最初のころのあなた達は、チームワークもてんでバラバラでどうなることかと思ったけれど、今となってはこんなに立派に成長してくれて、部長である私も鼻が高いわ」
アジュウタ:「任せしといてくださいよ部長、明日の表彰台には必ず部長を登らせて見せますよ」
アナン:「本当に、ほのかちゃんと皆のおかげここまで来れて、私……」と言いながら今にも泣きそうになってます。
GM「ちょっと、やめなさいよ澪夏、涙は優勝した時にとっときなさい」
アナン:「うん、そうだよね。それで、この後どうしようか? ほのかちゃんの言う通り無理してもダメだしもう帰っちゃう? それともまだ続ける?」
アジュウタ:「なら、最後にもう一度やっていこうぜ」
ナユタ:「仕方ないな、お前たちが不安だというなら俺も付き合おう」
アジュウタ:「なら、那由多次は殲滅数のスコアは負けねぇぞ」
GM「またやるのあんたたち? 仕方ないわねぇ」と言いながらも準備の方はしてくれて、あなた達が再び筐体に向かったというところでこのシーンを終了します。
※1 ミーレス
この世界のロボットの種別の一つ。ガーディアンを量産化したもの。ガーディアンと比べると性能は劣るが誰にでも扱えるため軍などで広く運用されている。




