ヂンセイ島
ギロチンの落下音と人間の首の切断音が同時に広場に響いた。
たった今落ちたばかりの男の頭は1度瞬きをしてそのまま血を流した。
ヂンセイ島、最東、ザスマン王国。巨大な活火山から海を挟んだ王都は歓喜に湧いている。
「次…」
裁判官の老人が近くの衛兵に指示をすると、別の衛兵か城の広間に首と腕を拘束された10歳ほどの少年を連れてきた。
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8つの国から為るヂンセイ島。
最も東に位置するザスマンと最も西にあるノーズ国は軍事力において長年拮抗していた。
強大な2国が東西で睨みをきかせるいわゆる「冷戦」は、位置関係から島の反対側への遠征はリスクしかなく、両国は遂に友好条約を締結。ヂンセイ島は大陸の国々に負けずとも劣らない繁栄を極めて行った。
しかし、突如として島の平和は終わりを告げる。
西のノーズにおいて催された両国の友好条約20周年式典。そこへ招かれたザスマン第3王女一行は宴の中何者かに惨殺された。
ザスマン王は憤激。すぐさまノーズ王に説明を求めるもノーズ王は断固として返答を拒否し、ザスマンの宣戦布告に応じた。
こうして100年にも及ぶ戦争が始まり、島の他の国々をも巻き込む大戦へと発展していった。
長年の平和がもたらした両国の強大な軍事力は戦争を長期間させ、一向に終戦の兆しの見えない状況に島民は絶望しつつも自国の、家族の平和を望み終わりの見えない戦禍を生きていた。
そんな中、突如として戦場に少年少女の兵が現れる。両国ともの軍研究所の産物とされるその子供たちは「神児」と呼ばれその圧倒的戦闘力や能力により戦争の主役となっていった。
ノーズはより質の高い強力な「神児」を研究を進める一方で、ザスマンはより多くの「神児」を戦場に派遣することに方針をとった。
これこそが勝敗の分かれ目。ザスマンは数々の戦場を数で圧倒。90年以上続いた戦争は僅か1年余りで終戦を迎えることとなった。
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