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オケアノスのお家!

本編完結したので、番外編です。

今回は『神なる龍は龍を嫌う 8』より、オケアノス君とのわちゃわちゃです!

 


「え〜っと? 確かこの雲海にダイブしたらいいんだっけ?」



 神界へ遊びに来た俺とリルは、以前オケアノスに教えてもらった家に行こうとしたのだが......この雲海に飛び込む勇気が持てなかった。



「どうなんでしょう。もし違っていたら、父様と私は仲良く下界へ腹打ちコースですよね」


「そうなんだよな。う〜ん......オケアノスく〜ん!」


「はいは〜い! ルナ君とリルちゃん、おひさ!」



 物は試しと雲海へ呼びかけてみると、水竜に乗ったオケアノスがこんにちはしてきた。



「よっ、久しぶり。遊びに来たぞ」


「お久しぶりです」


「うんうん! 相変わらず元気そうで何より! それじゃあ早速だけど、ウチ来る?......じゃなかった。今日、親居ないからさ......ウチ、来る?」



 アニメならヒロイン顔負けの可愛い顔をしているオケアノスは、その頬を赤く染め、モジモジしながら聞いてきた。



「「じゃあ帰ります」」


「待ってよぉぉぉお!!!!」



 無慈悲にも180度体の向きを変えた俺達に、オケアノスは半泣きの状態で行く手を塞いできた。

 どうせこのまま帰る気なんてないので、適当にオケアノスに合わせて事なきを得た。


 そして今、俺とリルは大きな水竜に乗って雲海を移動している。



「凄いなこれ。まるで生きているみたいだ」


「でしょでしょ? 僕の最高傑作の魔法だよ!」


「可愛いです。特にこのまん丸おめ目が可愛いです!」



 今乗っているこの水竜。一言に竜と言っても、その体は水で出来ている。


 昔、現実世界で『掴める水!』なんてフレーズで流行った、人工イクラの様な膜がある訳でもなく、完全な個体の感触を持っているんだ。


 面白いし興味深い。神のやることは良い刺激になる。



「ふっふっふ。やはりリルちゃんも女の子。可愛いものは好きかい?」


「はい! この魔法で狼さんを作ったりとか出来ますか?」


「出来るよ! ほら!」



 隣で並走している、翡翠色の水竜に乗っているオケアノスは、右手に水の塊を出しながら息を吹きかけた。

 すると水の塊はぐにゃぐにゃと形を変え、可愛い小さな狼が1匹と、大きくてカッコイイ狼2頭へと変身した。



「どう?」



 ドヤ顔で見せ付けるオケアノスに腹が立つでもなく、俺達は素直に感心した。



「「凄い......」」


「あら、思ってた反応と違ったな〜。あはは」



 若干照れくさそうにしたオケアノスは、雲海を駆ける水の狼達を、俺とリルが乗る水竜に着地させた。



「父様、凄いです! この子、モフモフな見た目をしているのに全然モフモフじゃありません!」


「確かに。というか触ろうとしたら嫌そうな顔をされるんだけど、俺、コイツらに何かしたっけ?」

 

「それは僕の仕業だよ。サプライズさ!」


「なんて心が汚れた神様なんだ! わ〜い! 死ね!」


 

 俺は右手で大量のイグニスアローを発動させると、オケアノスもそれに対抗し、全く同じ数の水の槍を生成した。


 そして双方の槍がぶつかるや否や、ジュウ......と音を立てて消滅した。



「今の水、もしかして冷却してたのか?」


「よく分かったね。今のはルナ君の魔法に合わせて、大体マイナス180度くらいに冷やしたものだね」


「それ、なんで凍らないんだ? って思ったが、お前の魔法だもんな......物理に当てはめる方がナンセンスか」


「あはは! まぁね! 神ってのは何でも出来ちゃうからさ。面白いでしょ?」


「あぁ。イグニスアローが水で相殺されるなんて初めて見たからな。面白かったよ」



 ここまで綺麗に打ち消す方法って、普通ならクロノスクラビスを使う他ないだろう。


 そうして15分ほど水竜ドライブを楽しんでいると、急に雲海の下へ潜り込んだ。

 きっともう、家が近いのだろう。



「さぁ、着いたよ! ここが僕のお家、アトランティスさ!」



 眼下に広がる美しい海の中に、1軒の超巨大な豪邸が浮いていた。



「「......はぇ〜」」


「どうどう? カッコイイ? 綺麗? 凄いでしょ!」


「凄すぎて言葉に出来んな......何階建てだよ、あれ」


「15階建てだね! 海の生物達が来る時もあるから、大きく創ったんだ!」



 いや、そういう次元の大きさか? なんかもう、マンションでブロック遊びをして出来た家......みたいな、実際のサイズで見ると脳がバグる大きさなんだが。


 ほら見ろ。リルが完璧にフリーズ......違う、気絶してる!?



「じゃあ案内するね。そこの君、リビングにベッドをもってきて」


「はい、かしこまりました」


「さぁさぁ、着いて来るんだベイベェ!」


「あ......うん」



 思ったよりも主としてしっかりしているオケアノスに驚きながらも、俺はリルを抱っこし、意外と普通の広さのリビングにやって来た。


 部屋の隅に置いてあるベッドにリルを寝かせた俺は、オケアノスに呼ばれてソファに座った。



「さて、何して遊ぶ?」


「そう言えば何も決めてなかったな。何をしようか」


「じゃあここは1つ、野球拳でもする?」


「野郎の体を見てどうすんだよ」


「確かに......」



 相手がソルならまだしも、オケアノス相手に野球拳をやって楽しいのだろうか。それも、2人っきりで。


 絶対楽しくないよな。寧ろ虚しくなる未来も見える。



「普通さ、僕の見た目なら裸とか気にならないの? 自分で言っちゃうけど僕、結構可愛いよ?」


「確かにお前も可愛いが、ソルの方が可愛いからな」


「あ゛ふ゛っ゛......ひ、酷い......僕のジョークが......恐ろしい剣で斬られ......た............ガクッ」



 すまんの。俺はもう、この人だけって決めてるんだ。

 それ以外の人物に興味も持たなければ、関わろうとも思わない。



「でもどうするか。ただ遊びに来ただけなんだよな」


「じゃあさ、じゃあさ! フレイヤちゃんの所に行かない? ほら、僕の家は何にも無いクソつまらないゴミみたいな家かもしれないけどさ、フレイヤちゃんの所は色んな植物があるじゃん?」



 うわぁ、自分の家の話をしている時だけ表情が完全に死んでいたぞ。怖いな。

 でもここは、敢えて合わせてみるとしよう。何か面白い結果になればいいな。



「そうだな。ここは何も無くクソつまらないゴミみたいな家だから、フレイヤさんの所にでも行くか」


「えぇ!? フォローが無いどころか、ルナ君までそれ言っちゃうの!?!? あ〜あ、僕、ルナ君のこと嫌いになった! もう知〜らない!」



 ぷいっと顔を背けたオケアノスに対し、俺は一言も発さず、正面からず〜〜〜っと横顔を眺め続けた。

 すると2分が経ったくらいで、オケアノスに限界がやってきた。



「......ねぇ」


「俺のことは知らないんじゃなかったのか?」


「むぅ! 君は酷いね! そうやって変に冷たくしたり暖かくしたりして、何人の女の子を落としてきたの!?」


「ソル1人だけ」


「あっそ! 一途だね! どうぞお幸せに!」


「あぁ。俺はソルと、リル達と幸せになるよ」


「ムキー!!!! 言葉じゃ勝てない〜!!!!!」



 バカめ、俺とソルについての話をするなんざ、まともな攻撃にはならぬぞ。もっとこう、『式はいつ?』とか聞いてくれたら刺さるんだけどなぁ。


 今はもう、防御力がガチガチだからな。並のパンチじゃ揺るがないぞ。



「あ、そうだ! 人生ゲームしようよ」


「2人で?」


「......泣いていい?」


「あ〜、フレイヤさんの所に持って行こうと思ったのか」


「いや、2人でやろっかな〜って」


「寂しすぎるだろ。あれって、最低でも3人か4人は欲しいゲームだろ?」


「ん〜でも、僕の持ってる人生ゲームは普通のボードゲームじゃないよ? 遊戯の神が作ったゲームだから、ちゃんとその人生を味わえるんだ」


「何それ面白そう。やるか」


「やろうやろう! 野郎2人でやろうやろう!」


「アトランティスって寒いんだな。知らなかった」


「......ごめん」




 この時の俺はまだ知らない。オケアノスが持ってきた人生ゲームは、言葉通りの代物じゃないことに。


 なんて言ったってこの人生ゲームは......



「ハッピーエンドが無い......だとッ!?」



「はい、交通事故で死んで転生。王様から100万リテゲット!」



 エグい......エグすぎる。こんなの、ゲーム内のミニゲームに存在していいクオリティじゃない!

 一応、死ぬ5秒くらい前に視界が真っ暗になるのだが、もうそれがビックリするほど怖いんだ。だって、急に目の前が真っ暗になるんだぞ?


 しかもその上、刺されたりぶっ飛んだり、痛みは無くとも衝撃は感じるんだ。



「......ん......父様......」


「囚われのリルチャンが死にかけている! さぁどうするルナ君!」



 俺の持ち金は50万リテ。これなら40万出してイベントスキップ券を買うことも出来るが、その次のイベントではスキップが出来なくなるシステムだ。


 今回のイベントをスキップしたとしても、次のイベントでリルが死ぬ可能性もある。というかもう8回は死んでる。


 不味い、不味いぞ......でもここはやるしかない!!!



「勇者カード発動。リルを救出したのち、王国で幸せに暮らしてもらう」


「はいは〜い。じゃあルーレット回して」


「ほい......3だな」


「いち、に、さん......魔王進軍により王国の危機! このイベントで勇者カードを切れない場合、王国に居る人間は全員死ぬ!!!」


「終わった......これだから勇者スキップは......」


「ということでルナ君の王国は滅亡。リルちゃんも死んだね! じゃあ次は僕のターン、6だ! え〜っと? 孤児院の下水道に住むネズミから伝染病が蔓延。疫病カードを切れないと隣国含め、3つの国が滅亡............終わった......疫病カードなんて持ってないよ......」



 つらい。つらすぎる。何なんだこのゲームは!!!

 救いようがない展開しかないのか!? 誰か、誰かこの地獄から救ってくれ!!!!



「では途中参加します。種族は堕天使で」


「おぉ! リルちゃん、ファイト!」


「お前だけが頼りだ......リル」


「はい! では......7ですね。神々の戦争により、時間を操る女神が死亡。溢れ出した力が暴走し、プレイヤーは初期地点に戻る、と」




「「......地獄の再来だ......!」」




 そんなこんなで今日1日はオケアノスの家で遊び、また明日、フレイヤさんの家へ遊びに行くこととなった。

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