空 笛 無敵の大学
舞台は無敵の魔術大学上空、対空課所属の先生とと元学生空賊のラブストーリー 悲恋
無敵の魔術大学と呼ばれるゲハイムニス魔術学院、対空課所属のアルデヒド女史はピィーーーッと鷹の声の様な音の後の領空侵入アラートを聴き、飛行術式と身体強化術式をかけながらもため息をつく。
「アルデヒド女史、最近奮わないようですがお疲れですか?」
「いいえ、少し悩み事があるだけ」
そう残し、同僚を地上に置き去りに空へ飛び立つ、しかし同僚にも言えない悩みが彼女を苛んでいた、その悩みとは。
「先生、今日もお綺麗ですね」
氷の散弾を炎で溶かして『侵入者』に肉薄する際に囁きかけられる。
「いい加減に空のデートはやめて欲しいのだけれども」
手刀をさけメイアルーアジコンパッソを放つも避けられる。
「陸では僕は大人気でね、騒がれてしまうから」
バク転の勢いを利用した蹴りを両手で受け、その勢いをうけて回転して踵落としを入れる。
「それはあなたが指名手配されているからよ、私はいつまでも待ってあげるから罪を償いなさい、さもなくば今日は仕留めるわ」
全ての攻撃が殺人級である2人の攻防は互いの超絶技巧によって紙一重でなされている、しかし幾度となく繰り返したロンドが終わることはない。
「いつになく積極的ですね先生、どうしたんですか?」
パンチを払い貫き手を打ち込むも蹴りで距離を離される。
「対空課を外されるわ、貴方を逃し続けたから……でも私は」
スーパーフライングボデーアターックを回避して高度を合わせる。
「分かってますよ先生……これは呪いです」
振りかぶったフックブロウは高度制御によってかわされ、後ろに回り込まれて囁かれる。
「……えっ」
放たれた裏拳からゴシャッと音がする、身体強化をかけていれば気絶こそすれど死ぬ事は無いはずだ。
「そんな! なんて事……」
彼は呪いを残して行った、彼は天空に散り、私は地上に堕とされた、あの空へもう一度飛び立ちたい、そう願いながらも二度と飛び立つ事は叶わなかった、私に出来るのは二つの鷹笛を胸に抱きながら空を眺める事くらいでした。