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Dual Chronicle Online Another Side ~異世界剣客の物語帳~  作者: 狐花にとら
0-1幕 ゲームスタート、王都への道のり
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8.手慣れた技とうさぎたち

いよいよ異世界剣客伝るろうにクレハ始まります(違)

「アシガルアタッーク!」


 妹の意気揚々とした突きによって緑色のウサギはアワレポリゴンと化しました。ナムサン。

 狩り始めて一時間と少しと言ったところでしょうか。ほどほどにレベルも上がり、それなりにスキルも育ってきました。

 まちまちと狩っている最中、時たまの攻撃が上手く回避できずに当たった事から、《回避》のスキルも取得しておきました。

 多少の慣れもあるお陰でしょうか、ポーションが必要になるほど減る事なく黙々と続けられましたね。


「そろそろひと休憩しましょうか、それから先に進みましょう」

「わかりましたわ、そうしましょう」


 あと妹の姫騎士RPも大分形になってきました、どうやらやや姫寄りのようです。

 乱雑に槍を振り回していて、また恰好が格好ですからね。そこまでまだお姫様っぽくは見えないのが玉に瑕。

 《裁縫》や《革細工》のスキル持ちがいれば衣服なども作って貰える……のでしょうけれど、まだこの時点だと素材も足り無さそうですね……。

 それと、一足先にルヴィアが戻った際に納品イベントが発生した様子。序盤の金策はこれで、ということでしょう。 

 武器を納めて、自然と出来た通り道を通ってこれまたいつの間にか名前の付いてしまった始まりの村の中へ。本当は《世束》というそうですが。


「そうでした、ステータスポイント振っておかないと」

「ずっと狩りっぱなしでしたもの、致し方ありませんわ」

「ジュリアはこのままSTR特化に振っていくの?」

「うーん……少し考え中ですわ。《火魔術》も多少使えそうですし、時々振ってもいいくらいかなとは……」

「見ている分にはあれはあれで楽そうだったもんね」


 実はこの妹、狩りの最中に《火魔術》の初期魔術である《ファイアバレット》をも使っていたのです。

 とはいえ、魔術攻撃力が付いていない槍ではあまり効果は出ず、グリーンラビットが半焼けになった程度でしたが。

 槍でも少しそちらにも補正が掛かれば今後も使えない事は無いのでしょうけれども……。現時点では実用には不向き、ですね。


 歩きながらステータスを少し振っておきました。忘れていましたが、スキルレベルが5上昇するごとにアビリティも習得するようです。

 まずは振り終えたステータスを確認しておきましょうか。自由に振れるポイントは50ほどありましたので、大分ステータス変わりますね……。


 クレハ Lv.4

 性別:女

 種族:人間

 属性:水

 特殊:


 VIT:32

 STR:68(+30)

 AGI:44(+10)

 DEX:44(+10)

 INT:32

 MND:32

 種族スキル:

 汎用スキル:《剣術》Lv.3 《刀術》Lv.4 《歩法》Lv.4 《居合術》Lv.2 《解体》Lv.5 《索敵》Lv.5 《採掘》Lv.1 《回避》Lv.5


 ポイントをややSTRに振ったお陰で別にクリティカルをしなくても、こちらの弱点属性でなければ一撃でいけそうですね。それはあとで確認するということで。

 武器の方は使っているので勝手に成長していますが、全くスキルを使っていなかった《居合術》は僅かにしか上がっていません。

 このちょっとだけ成長しているのは、戦闘中何度かそれっぽい振り方をしたからでしょうか。

 次に、最初に取得していてすっかり忘れていたアビリティの確認。ルヴィアが配信で見せたもの以外ですが……おや、これは……。


○刀術

薄月(はくげつ)

 威力:小

 目前の対象に攻撃する。


○居合術

・抜刀術《円の型》

 抜刀状態と納刀状態の切り替えが行われる。

 抜刀状態:《刀術》スキルアビリティの威力が上昇する。居合ゲージを回復する。

 納刀状態:《居合術》スキルレベルとDEXに応じ、相手の直接攻撃に対して防御・反撃を行い、居合ゲージを消費して成功率・クリティカル率を上昇させる。

 また、《居合術》および《索敵》のスキルレベルに応じて、反撃の射程が拡大する。


 習得済みの中にやっぱりありましたよね、居合! 

 納刀状態と抜刀状態で他のアビリティにも影響があるようです。先の成長度を見る限り、こちらを使わないと全く上がらないようですね。

 試しに納刀してみれば……あ、なるほど、視界のHPゲージ横に新しくゲージが現れました。これが居合ゲージですね。

 《居合術》を試すのも後でとして、これはひと休憩の後が楽しみになってきました。

 まずは武器修理とポーション購入、それからインベントリいっぱいのお肉を納品という名の換金です。


 

――◆――◆――◆――◆――◆――



 紫音さんの配信を聞きながら、一通り準備を済ませました。相変わらず仲がいいことです。

 ついでに一度ログアウトも含めて所要を5分で済ませてきました。母も朱音の配信を見ているようで、ニヤニヤとしてる様子。多分コレ、パーティとして参加する前にでも配信にちらりと映りでもしたら即刻私達を特定してきそうですね……。

 まず姉妹で大量の兎肉を売却、合わせて100近くあったのでそれなりの資金になりました。それから《干し肉》とポーションを数個購入し、武器を修理。

 所持金は15000エルからSP回復用の干し肉10枚、同じくポーションを9個と武器修理とで合計2000の出費で残りは13000エルです。

 次の街に着いたら防具を整える為の軍資金にしましょうか。本当は簡易で武器を修理できるアイテムが欲しかったのですが……そういう類はまだなさそうです。


「姉様、準備は終わりましたか?」

「ちょうどですね、そろそろ行きましょうか」


 妹の方も準備を終えたようです。それでは行きましょうか。

 再び一番道路へ。大分人も少なくなってきましたね、慣れてきて先に進む人が増えてきたのでしょう。

 見回せばプレイヤーもほどほどに少なく、それなりに納品クエストの進捗も進んでいます。そろそろ終わりそうでしょうかね。

 では残りの納品量を目安にちょっと狩っていきましょう。NPCではありますが住人ではあります、この後にやってくる人々のための街作りのお手伝いという気分でやっていきましょう。

 先の場所よりも進んだ一番道路の後半、丘の先にある属性の違う兎が飛び跳ねている場所で試しましょうか。

 

「では、僭越ながら私から……《ランスピアシング》!」


 私の先に出た妹が槍を構え、目前の黒兎を相手に槍を構えてアビリティを発動。

 鋭い突きを放つもののようで、ものの見事に黒兎は串刺しに。クリティカル音も出ましたね、ダメージもなかなかのオーバーキル。

 すぐに《解体》スキルを使いお肉と歯の剥ぎ取りを行います。


「どうです?」

「動きにはアシスト掛かりますわね。でもモーションを発動キーに設定する事も出来るから、それが一番早いですわね」

「なるほど……私は動作が変わりますからね、設定……あ、できますね?」

「私も忘れないうちに習慣付けでおかないといけませんね……」


 動きをキーとして出来るのであれば、そうですね……私は刀への触り方もキーと設定しましょうか。意外と細かく設定できるようです。

 意識するだけでも発動できるようですが、身体が勝手に動いて……なのもちょっと困りますからね。できるだけ初歩的な、使用が多いものは動作をキーにしましょう。

 

「では今度は私の番ですね、っと……」

「姉様、頑張ってください」


 近くの赤い兎へと狙いを定めて抜刀しながら駆け寄り。人差し指を軽く離す動作をキーに、《薄月》を発動。

 ヒュン、という風切り音と共に袈裟切りを繰り出し、赤兎を真っ二つにしました。非常に軽やかに、手応えも何か小枝でも斬ったような感覚で。

 現実でやるととても大変な事になるそれですが、バーチャルですから。赤いポリゴンの断面と粒子が散る程度で済みます。


「やっぱりステータス振るとこうも簡単に、ですか」

「これなら狩りやすいですわね。とはいえ、弱点属性相手だと気は抜けませんが……」

「あはは、まあ確かに……弱点属性を貰うとごっそり行きますからね……」

「今度は気を付けてくださいませ。ポーションも有限ですから……」

「わかってますって」


 先の狩りの最中、私の体力が大幅に減っていたのは不意打ちで風属性のウサギに不意打ちを貰ったからでして。

 普通に貰った体当たりよりも非常に痛く、属性相性を強く意識させるついで気を抜いてはならないという教訓を叩き込まれたばかりです。

 それでもちゃんと相手を選べばそこまで警戒することはなくなるのでしょうけれども、今回私達は二人一組、それを生かしていきましょうか。


「まあそこは……お互いでカバーしましょう。それでは背中、お願いしますね」

「ええ、はい」


 大分ジュリアのRPも安定してきたようですね。この先も本格的にやるつもりなら誰かしらに教わりに行ってもいい気はします。そう、例えば紫音さんにとか。

 それはさておいて、いよいよ居合術のお試しと行きましょうか。刀を鞘に納めて納刀状態になりつつ、適当に見つけた兎の近くへ。

 色は青。同属性ですね、減衰もないのでより正確にダメージも見れるでしょう。こちらを視認した兎がぴょん、ぴょんと近寄って来て、体当たりの動作を見せ……


 ひゅんっ。


 居合の範囲に飛び込んできた瞬間、抜き打ちの動作を身体が勝手に取ったと思えばすぱっと先程と同じように兎が真っ二つになりました。

 なるほどこれは便利、アビリティ説明にもありましたが、直接攻撃に対するオートカウンターですか。威力上昇の効果によって居合ゲージも微量に削れた程度で、まだまだいけそうですね。


 今度は試しに抜刀してみます。また別の兎……と思えば、鹿ことディアホーンですね。ちらっとルヴィアの配信に出てきていたソレです。

 まだここで事故のように鹿に蹴られたり突かれたりで死に戻りしているのが見られる辺り、訓練用ソフトが配られたとはいえ本当に初めてという方も混じっているのでしょう。

 体格はそれなり、角はやや大きめ。振り回されると厄介そうですが、どうしたものでしょうか。とりあえずは抜刀状態でお相手を仕る。

 

「まずは近づきまして……っ、おっと」


 頭を少し下げて角を向けたと思えば、飛び跳ねるようにして軽く突進を仕掛けてきました。軽く横に避けてから、さらにもう一度後ろへと下がります。

 横目で配信を見ていたので、初見ではないのですが。なるほど、この動きは初見や不慣れだと避け辛い。ついでに兎の様に簡単には仕留められない辺りも含めて、ちゃんと最初の壁の役割ですね。

 冷静に観察していれば、案の定角を振り回してきました。動作をちゃんと見ていれば避けるのも容易いですね。問題はどういなすかですが……角を弾くのは銅製の刀では不安ですね、そのまま首を狙ってみましょうか。

 もう一度突進を誘いつつ、刀を握り、相手の動作を見極めるように。


 鹿がふたたびの突進。それに合わせて首筋目掛けて《薄月》を放つ。水平に放たれた刃は見事首に直撃しますが、深く斬りつけただけでまだ動いています。

 致命傷ではありますが、念のため動きを観察し続けつつ、今度は納刀したままに同じように攻撃を誘い、体勢を崩したところに追撃のもう一撃。

 鹿は倒れて動かなくなりました。とはいえ、鹿相手にはまだ攻撃に対してカウンターは発生しませんでした。

 やはり確率、若しくは少し格上ということでしょうか。もしくは、まだステータスが不足しているか……検証することはたくさんありますが、それはそれ。

 解体してもやはり角と皮、それとお肉ですね。気を付けて戦えばそこまで苦戦もしませんし、獲物に加えましょうか。


「……普段は抜刀、ゲージが溜まったら納刀、ですね」


 やはりそれが基本になる様子。要は体を意識して常に動かし続けているか、そうでないか。

 普段は抜刀状態でゲージを貯めつつ鹿を駆除し、ゲージが溜まりきる頃に或る程度の兎を釣って納刀し、居合によるカウンターで兎をまとめて狩る。

 そうでなくても納刀状態で適度に待っていれば、私を察知した兎が勝手に飛んできてお肉と経験値になってくれます。これが出来るのはここだけだと思いますが。

 ……若干、奇異の視線を感じなくもないです。いえ、冷静に考えて普通敵を纏めて釣る行動……トレインを行って成功と失敗のある居合で狩りとか考えませんから。

 手慣らしが出来、やり方が決まったところで妹が鹿を担ぎつつ話掛けてきました。


「姉様、鹿いけます?」

「全然問題ないですね、お爺様の剣や棒に比べれば全然反応できます」

「まだまだ初心者の多いここであれと比べるのはちょっと……流石に無理ゲー……」

「……ごもっとも」


 私達に護身術を叩き込んでくれたお爺様ですが、一応昔は武道では有名な方だったそうで。私達が教わった時でも色々と見えないんですよ。

 それを暴漢がしてくるかどうか、などと言われるとまた微妙な処ではありますが、そんな人に仕込まれたせいで或る程度は対処できるんですよね。

 まさか本当にその経験がこんなところで生きるとは……いえ、事前の情報が無ければ確実に貰ってはいましたとは思いますが。

 配信でルヴィアが見せたようなパリィはさすがに出来ませんけれどね……。刀や槍でやるには、武器の強度が心配でできませんし。

 さて、先程よりもペースも早く狩りが出来ますね。それでは残りの納品分、目標数を早々に稼いで奥に向かいましょう。

居合によるカウンターは完全に確率ですが、時折アーツが発動せずとも自力で反応してることがあります。

きっとおじいちゃんは東方不敗は王者の風よ。


さておき、次の話から火金を目途に投稿していきます。次話は火曜日ですね。

書き溜め次第では隔日投稿になりますので、ご了承くださいませ。

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Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜
相方、杜若スイセン氏によるDualChronicleOnlineのルヴィア側のストーリーです。よろしければこちらもどうぞ。
― 新着の感想 ―
[良い点] 誤字脱字等を見かけない丁寧さ。 [気になる点] 0.5割って表記にモヤモヤ感が残る。 自由ポイントをどう振ったのか?が不透明。 "お爺様の剣や棒"ッ!?(´◉◞౪◟◉`)それは、つまり? …
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