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Dual Chronicle Online Another Side ~異世界剣客の物語帳~  作者: 狐花にとら
0-1幕 ゲームスタート、王都への道のり
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7.スタート!からの……

ようやくゲーム開始です。

 あれから一ヶ月と少し、クローズドベータテスト開始の日。一ヶ月に渡るベータテストの募集、そして抽選を経て待ちに待ったこの日がやってきました。

 年度末試験も上々の成績を出す事が出来ましたし、千夏も張り切っていたのか珍しくかなり上位の成績を叩き出していました。

 その後にあった卒業式を経て、エスカレーター式の学校のため私はそのまま大学に進みますので、春休みまでは期間はちょっとした特別講義のための通学になりますね。

 ちなみに私達のグループの最後の一人である橙乃……ミカンもちゃんとキャラ作成できましたし、事は運よく運んでますね。

 

 私達は早めの昼食を終えて開始の13時を待つようにVRにログインして待機。《DCO》がオープンされればすぐにログインが出来る状態となっています。

 昨日の内にアルファテスト版は正式バージョンであるクローズドベータテスト版へとバージョンアップされています。手が早いですが、待たなくていいのは助かります。

 公式ページを開けば……ああ、もう朱音が配信を始めるようですね。その前にベータテスト中一緒に行動する千夏のステータスを確認しておきましょうか。

 見せてくれたのは最初だけですが、今後どこまで強くなるのかも見ものですね。


 ジュリア Lv.1

 性別:女

 種族:人間

 属性:火

 特殊:

 VIT:22

 STR:30(+8)

 AGI:24(+2)

 DEX:22

 INT:22

 MND:22

 種族スキル:

 汎用スキル:《槍術》Lv.1 《跳躍》Lv.1 《火魔術》Lv1 《解体》Lv.1 《索敵》Lv.1 《伐採》Lv.1 《採取》Lv.1


 私よりもちょっとだけ攻撃寄りですね。ポイントは魔術も取っているところでしょう。

 どう扱うのか気になるところですが……《跳躍》ですか、どう活かすか気になりますが、おおよその予想が当たれば……多分、あの使い方をする気でしょう。

 スキルから見て予想するのであれば、火魔術で牽制しながら突撃する気でしょうかね、こればかりは実際のスタイルを観ないとわかりませんが。

 あと《伐採》と《採取》を取ったのは私が取れないものを取ってからってことでしょうね。納品イベントなんてのもありそうです。

 今後《錬金》や《木工》も取りそうですね……いえまあ、金策の一環として素材を集めて売るというのは常套手段ですからね、同時に、中間素材に加工して売るのも。

 Mobを倒してお金を稼ぐだけではないですから。こうやって経済は回るんですよ、きっと。


『まあいいか、どうせ言うつもりでしたし。誤解のないように先に言っておきますね、そのゲームでパーティを組んでいた5人のうち4人、九津堂のスタッフの娘です』


 朱音の配信が始まり、開けば早々にカミングアウトされました。

 まあそうですね、早いうちに説明がされてないとパーティを組んだ際に頭を傾げられるでしょう。何故友達が全員当たっているのか、と。

 確率として考えれば1500人の枠に6人全員と言うのは稀有ですからね。確率もなかなかおかしくなります。

 あとは適当に流しつつ、配信を眺めながら今のうちに幾つか整理を済ませまして。時間になれば……


「《デュアル・クロニクル・オンライン Ver.0》起動」

『デュアル・クロニクル・オンラインに接続します』


 さり気ない速さで時間少し前に起動をタッチし、最速でログイン。ふふふ、もう慣れたものですよ。

 視界の端っこに朱音の、いえ、ルヴィアの配信画面を動かしまして見やすくしておきます。さり気なく情報も入って来そうですし、聞きながらでも問題ないでしょう。

 ゲームスタートを選択すれば、先日のように画面が暗転。微妙に早かったようですね、カウントダウンがあるようです。

 

 さーん、にー、いーち。っと。

 暗転から光が差し、周囲の風景がぱっと描写されて行きます。はい、以前ログインした時と変わらない風景ですね。

 既に作成済みの私はキャラクターメイキングを飛ばしてログイン。以前と違うと言えば、多数のNPCが配置されて声が聞こえるところでしょうか。

 あとは、少し時間が経てば……キャラクターメイキングを終えて、無数のログインを示す光の柱が幾つも。その合間に改めてこのゲーム内でのアバターを動かして具合を確認。

 はい、リンクの具合もしっかりと確認しておきます。手を握ったりその場で跳ねたりと……はい、問題無さそうですね。


「お姉ちゃんっ!」

「おっとっ」


 周囲を見回していれば、先に妹の千夏……ジュリアに見つかったようです。容赦のない飛びつきを貰いました。

 私よりも背が高めに設定されている分、初期服の都合で、あんまりそうには見えませんがスタイルは良くなっている感じですね。

 これなら望んでいるロールプレイも出来る……でしょう、多分。目の前でぴょんこぴょんこと紅色のツインテールが飛び跳ねている時点で崩壊している気もしますが。


「セクシャルガード系の設定もそのまま適用されているみたいですね」

「あ、ほんとだ。多分これ基本設定なのかな。あと早速フレンドを送っておいて、と」


 ジュリアから送られたフレンドを認証してから、公式サイトの操作説明にあった通り、コンソールを意識して呼び出します。そうすれば、設定一覧が羅列された四角いボードが手元に現れました。

 胸に飛びつかれたのにそこまで胸へと触れられた感触はしませんでした。多分普段使いのVR設定がそのまま適用されていますね。

 一応確認をすれば痛覚設定なども弄れるようです。被虐癖なんてのはないので痛覚設定は若干弱めに、セクハラ対策である身体に触れられた時の感覚の設定も一応確認。

 フレンドに対してのみはセクシャルガードを緩めにしておきます。あ、個別設定なんてのもできるんですね。

 その他にも色々設定があるようです。出血表現の設定……は、これは元々耐性があるので断面程度に。狩人ゲーで慣れてますしね、このあたりは。


 一通り設定を弄っていれば、ログインが落ち着き始めた頃合いに合わせてルヴィアの方に動きがあったようです。

 こちらの方からも目が届く位置ですね、向かっておきましょう。


 どうやら朱音……ルヴィアのところに設定上、この世界に私達を招いた本人であるNPC、《綾鳴》さんが現れた様子ですね。早速注目を集める事になっているようで、フレンドの方は後で送ることにしておきましょう。

 実際ゲーム内で、近くで見ればよりその尻尾のもふもふ感が伝わってきます。

 拘りを感じるほどに揺れ動くその九つのもふもふ塊は、好きな人に対しては魅力的に映るものでしょう。現に橙乃……あ、いましたね、目が泳ぎつつ話よりも尻尾の方につられていますし。

 私も飛びついてみたい衝動を抑えながら、交わされる会話について耳を傾けておきます。


「ボクの名は《綾鳴》。この世界に責任を持つ神であり、君たち《来訪者》を異世界から喚んだ者だ。

 無事に召喚が成功したようでよかった。見届けたついでに、いくつか伝えておこうと思ってね」

「伝えておく……ですか?」

「うん。注意事項……ってほどでもないけどね。

 まず。君たちの存在はこの世界の住人も理解している。基本的には協力してくれるはずだ。……愛想を尽かされないように行動していれば、ね」


 まずは基本でしょう。というか神様ということは無礼を働けば祟られるじゃないですかやだー。

 基本的にこの世界のベースとなっている日本というのは、怪異や妖異、それに八百万の神々が住まう土地です。

 前二つはまだしも、三つめは怒りに触れたりすればとんでもない祟りの数々を引き起こす存在でもありますからね。多くの寺社に祀られる神々は、祀らないと祟るぞというものが多いですし。

 そういった人々がNPCがふらっと紛れ込んでいるかも知れないから、無礼を働かないように、愛想を尽かされないように、ということかもしれません。

 最も、世界を守るための抑止力として呼ばれた私達《来訪者》が土地や人々を荒らしていては元も子もないですからね。……またそれでも、道を外れるものも出てくるのが世の常です。こちらに関しては掲示板で情報を集めておくとしましょうか。


「そしてもう一つ。まずはここから北、王都へと向かってほしい。そこをボクの娘が治めているから、まずはその子……《紗那》に会ってもらいたいんだ」


〔ワールドマップが開放されました〕

〔目標が更新されました:王都へ向かえ〕


「とはいえ、町の外は魔物で溢れている。気をつけて進んで。王都で待っているよ」


 そう言い残して綾鳴さんは帰っていき……え、なんですかあれ。ひとっ飛びで針葉樹の上に飛び上がり、更にしなる針葉樹の反発を生かして飛び移るかのようにしてどこかに行ってしまいました。

 レベルを上げていればいずれあんなことの真似ができるんでしょうか。方向からして……おそらく北へ向かって飛んでいきましたね。

 現在の位置を割り出してみましょう、と早速解禁されたばかりのマップコマンドを使い閲覧。なるほど、今の位置はだいたい関東の南側、横須賀のあたりですかね。

 そこから北……というより、目的地が明言されているとこの地図にも表記されるようで、江戸の中心部あたりが点滅しいます。やはりここが王都になりますか。

 だいたい北東ですか。出発の前に……っと。


「お姉ちゃん、まずは……ごほん、武器をですわね。姉様」

「あはは、ちょっとくすぐったい。そうだね、武器を貰わないと」

「もう、これからしばらくこんな感じなのですから慣れて頂きたいものですわ」

「善処はします、でも剥がれないようにしてよ?」

「わかっておりますとも」


 妹が早速RPを始めましたし、ベータ特典として貰えていた武器の交換チケットを使いに行きましょうか。

 武器屋は…あそこですね。ルヴィアに多少人の目が向いていたり、少なからず後を歩いている人がいるのでわかりやすいですね。

 そちらへと向かい、アイテムインベントリに入っていた《初心者武器引換券》を使用します。一応どの武器でも交換できるようですが……私達は最初に決めているので。


○銅打刀

 品質:E

 ATK +1


 はじまりの街で手に入る粗悪な量産品の刀。攻撃力も低く、もろい。早めに次の武器に乗り換えよう。


 ……あー、銅ですか。いえ、木刀でなかったことを幸いに思いますか。

 店主さんからはすまねえな、みたいな顔をされましたが、初期武器なのでしょうし仕方ありません。とりあえず装備しましょうか。

 腰元に一瞬でポリゴンが形成され、刀が現れます。交換を終えた妹の方も、銅の刃が付いた槍が手元に現れ、それを握った後背中へ。

 振り回すのは町中ではよくないですね、では早速、街の外へと行ってみましょうか。


「わ、賑わってますね」

「これだけ人が動いているのを実際に見ると壮観ですわね……」


 既に一番道路という仮称が付けられてしまった街の外、そして次の街へと繋がる唯一の道には多くのプレイヤーが兎狩りを楽しんでいます。

 まるで某キノコのゲームの狩り場1。むしろ黎明期のその場所を知っているのは私達だけかもですが。

 それはさておき、ルヴィアの後追いという形になっていますが、どうやらここは属性持ちの兎しか沸いてこない様子。自分の弱点属性の把握、選んだ武器の取り回しと習熟、実戦闘で不足していたスキルの習得などが目的のようですね。

 私は風属性の、妹は水属性の敵に対して気を付けなければいけないのでしょう。ではまずはエネミーデータの確認を。


 グリーンラビット Lv.1

 属性:風


 ……特に所持スキルとか残り体力とか出るわけではないのですね。属性の確認だけでしょうか。

 幸い、妹がいれば弱点属性のカバーは出来ますから、緑が出たら優先的に始末して貰いましょう。

 まずは武器を抜いて、手持ちの感触を確認。……重量感は……なるほど、実物に比べてそこまで感じませんし、これなら取り回しも楽ですね。

 

「姉様、先にいきます」

「ええ、よくってよ」

「……叫びませんわよ?」

「ふふ、早くいってらっしゃい」


 その返しに思わず吹き出しそうになる妹を他所に、手近な青色のウサギへと接近して適当に縦斬り。

 妹の方も槍を構え、狙い定めて緑色のウサギを一突き。別に二人で合わせて蹴りを放ったりはしません。

 どうやらお互いに一撃必殺だった様子。不意打ちのクリティカル判定だったようなのもありますが、妹の方は弱点まで乗っているのでそれは、まあ、はい。

 すぐには死体は消えない様子。断面は赤のポリゴンで塗り潰されており、赤い粒子が散っています。

 ドロップ品は……直接拾わないと駄目ですか。一応つついてポリゴン化してるかチェック……しても指は通り抜けたりはしませんが、死亡確認。

 唐突に起き上がって襲ってきたりしたら困りますからね。騙されませんよ。


「……《解体》はありますから、と」

「お肉!お肉だよ!お姉ちゃん!」

「RPをお忘れなく」

「こほん、あーあーあー、お肉ですわね」


 お肉が取れたことにきゃっきゃとはしゃぐ妹を抑えます。しばらくはこれを調理したりして食料にしたり売ってお金にしたり、にするのでしょう。

 ついでに経験値稼ぎと……スキルレベルを上げるのにも。それではさくさくと狩っていきましょうか。

 とりあえずは……武器が壊れかけるか、レベルがいくらか上がるまでですか。まったりと身体を慣らしていきましょう。

ジュリアのロールプレイは今後も定期的に剥がれます。まだやり始めだからね、悲しいね……

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Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜
相方、杜若スイセン氏によるDualChronicleOnlineのルヴィア側のストーリーです。よろしければこちらもどうぞ。
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