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27.しれっと聞かされる重要ワード

おさかなくわえた夜霧ちゃん。今回は短め回。

「にゃはー! いい品質の魚にゃ、一番いいやつにゃ!」

「喜んで頂けたようで何より」


 さて翌日。昨日よりも早い時間に起きれたので《夜霧》さんにお魚を届けに。

 ひょっとして夜間でないと会えないとか……などと思いましたが、そんな事もなく。フレンドメッセージで連絡を取り、城門前に行けば黒猫の姿で人通りを見ていました。

 受けたのが王都に着いた時の夜でしたから、おおよそ五日でしょうか。大分お待たせしてしまいましたね。

 魚を受け取った夜霧さんはとても上機嫌そうに吟味。とは言っても、《紗那》様のお付ならこれよりもいい魚を食べていそうなのですが……


「にゃにゃ、いいミミズを使ったのにゃあね。王都近辺の魚はいい餌をよく食べるにゃーから、舌が肥えてるのにゃ」

「《サク》さんにダンジョン内でもミミズが採れる事を教わらなければ、もうちょっと品質の低いものしか用意できませんでしたが……」

「低い物でも文句はあんまし言えなかったにゃあがね。漁に出る船も、沖に潜む奴のせいで近辺までしか出られないにゃあし」

「確かに四方浜でそんな話を聞いたような……」

「早いところなんとかしてあげたいにゃあが、にゃー達には現状どうにも難しいにゃ。おみゃー達が頑張れるかどうかにゃあね」

「頑張るしかないですわね」

「妹の方は素直でいいにゃあね」


 素直に頑張ると口にしたジュリアに、夜霧さんがにまーっと笑います。妹の方って言われてるのに関しては突っ込まないようにしましょうか。

 そういえば四方浜で船が出せない旨の話がありましたね。沖に魔物が棲んでいるからまともに漁が出来ないと……

 それを討伐するために王都から船を云々。現状では王都側は手一杯で手が回せないので、問題は討伐するための人員、あるいは船を作る伝手でしょうかね、これは。

 示唆している通り、しっかりとレベルを上げて来るべき時に備えて欲しい。ってことでもあるでしょう。


「まあしかしにゃ」


 それまでちょっと揶揄い気味だった夜霧さんの眼が変わり、まるでこちらを見定める様な―――初めて一番道路で出会った時のような眼差しを向けます。


「サクの手伝いまでしてるとはちょっと予想外にゃあね、あれはあれでしっかり人を見定めるにゃあから」

「そうなんですか?」

「にゃー、応龍ともあろう力のある種が、そう簡単に人に頼ると思うかにゃ?」

「確かに……弱っている、としても私達に頼るより自分でなんとかしてしまいそうですが……」

「ま、紗那から門を守るようにと言われているから、素直に守っているのだと思うのにゃん」


 となると、サクさんが私達を指示を出しているのは何かを試すため……なのでしょうか?

 クエストを進めないとわかりませんが、そもそも私達だけがそのクエストを受けて進めているようなものですからね。

 ある種、ルヴィアだけが進められている《唯装》や《精霊》関連のイベントと同じ匂いがします。

 ……それにしても、やっぱり性格は違えどサクさんにも似た容姿なのが気になります。思い切って聞いてしまうべきでしょうか。

 そう思いながらまじまじと見ていれば、じとーっとした目を向けられてしまいます。


「何にゃ。そんなににゃーがサクや紗那と似ているのが気になるのかにゃー?」

「……えっ、あぁ、はい、そうです、が……どうしてそれを?」

「おみゃー達以外の《来訪者》から、よく紗那と顔が似てる理由を聞かれるのにゃあよ。ま、適当にあしらっているにゃーが……」


 そこで一度言葉を切り、周囲をくるりと見回してから背を向けて尻尾をくねらせ、ついてこい、と言ったジェスチャー。

 立派な城門の脇、人目のあまりなさそうなところに案内されれば、再び口を開きます。


「おみゃー達なら大丈夫そうにゃあね。紗那やサク、そしてにゃーは《サナ》という……双界の守護者たちのひとりにゃ」

「守護者……というと、世界を守る的な……?」

「にゃんにゃん。当たらずとも遠からず、その世界の担当となる地域の守護者、にゃあね」


 なんだか唐突に世界観の一端に触れるような事になったような……

 しかしこれはこれで私にとっては役得。言葉を続ける夜霧さんに耳を傾けていきます。


「例えば紗那はこの《関東》の地の担当にゃあね。サクは《蝦夷》で、《綾鳴》のかーさまは《関西》にゃ」

「綾鳴さんもなんですか?」

「にゃ。そのへんの選定基準はにゃーたちもよくわかってないにゃ。ただ、意識的にその地を守るようになる……みたいにゃ」

「自分たちにもよくわかってないんですか……」

「その地に縛られるようなことはなくて、あちこちをふらついてるのも少なくないにゃあからね。ただ……同じサナであれば、顔を見たらにゃんとにゃーくわかるにゃ」

「なるほど……だから似通っているように見えるんですね」

「ま、そーゆーことにゃね」


 それが多分きっと、他の人から見ると似ているように見える……というものなのでしょうか。

 しかし、その地域ごとによる守護者ですか……となると少なくともこの昼界であれば九人はいるわけで……


「となると夜霧さんはどの地域の守護者なのでしょう?」

「よくぞ聞いてくれたにゃ。まあここからがややっこしいところなのにゃあが……にゃあ達は一地域、二人で一つなのにゃあよ」

「二人で一つ……?」

「にゃ。すごーくわかりやすく言ってしまえば、この《関東》の守護者は表の紗那と裏のにゃあの二人なのにゃ」

「表と裏……ああ、だから紗那さんと夜霧さんって似ているようで真逆の……」

「にゃ。紗那をベースとして、その表とは逆……にゃあはその裏の顔を持つのにゃ。だから他地域と比べて、同じ地域の表裏の《サナ》は双子のようにも見えるのにゃ」

「……結構複雑ですわね」

「ま、その裏の実例が今のところにゃーしか逢ったことないからだろうにゃあ。そのうちこの関係性も見慣れてくるのにゃ」

「は、はぁ……」


 話を纏めると、サクさん達顔の似た方々が双界の各地域を守る《サナ》という存在で、その存在は表裏二つ。

 表側が表裏が無く純粋な紗那さんであれば、裏側が謀を巡らせあくどさのある夜霧さん……と。

 それが各地域に存在してその地域を守っているけれど、彼女達は決して定住しているわけではない……ということでしょうか。

 しれっと結構根の深い設定に触れてしまった気分です。この表裏の《サナ》に関して各地域誰が担当なのか埋め合わせていくのも面白そうですね。


 そうなると、サクさんの裏側……というのが、本人は訳ありの双子だと濁した《ツィルニトラ》さんになるのでしょうか。

 確かに彼女も細部や種族を除けば顔はサクさんそっくりでしたし、《転移門》が開けばそのうち逢うことになりそうですね。


「あっ、にゃーが喋ったことはいずれ《夜草神社》の奪還に向かう時が来るにゃ。その時までは秘密にゃーよ」

「あ、あはは。そうなると本当に時期の早い話だったんですね……」

「にゃはは、多分そろそろ最初の《御触書》が終わるにゃあからね。サクを手伝うのなら知っておいた方がいいと思うからにゃ」


 それだけ言えば、私達が渡した魚の入った籠を背負ってぴょん、とひと飛びで城壁の上に乗り……姿を消してしまいました。

 多分食べに行きましたね。それとも最初に言っていたように、本当にあちこちに足を運んでいるからまたどこかを見に行ったのか……


 ともかく、ルヴィアの配信を見ていても長丁場に及んだ《酒蔵地下の不思議迷宮》のゴールも近いのがわかります。

 表裏があると言ってましたけれど、しっかりとこうした情報を仕入れているとこを見るとしっかりと紗那さんの参謀、もしくは補佐として夜霧さんは動いているのでしょうね。

 また今度、クエストとは関係なくお魚でも持って行ってあげましょう。幸い、釣りをする時間には困りませんから。

顔が同じについての答え合わせというか、理由はそういうことになります。

昼界だけでも諸地域九つと表裏で18人サナはいます。多いね。

さらに夜界にもいるので更に倍ドンです。個性的な面々がたくさんなので今後の登場にもご期待をば。


さて、10/27のジャンル別VRゲーム日間ランキングにて24位の座を頂きました。

これもひとえに読みに来てくださる皆様方のお陰です。ほんとうに、ありがとうございます。

「魔剣精霊のアーカイブ」コラボ回始まってからブクマ数も倍近く増えてます。この礼はいつか杜若スイセン氏にPS4を贈りつけることで礼をしたいと思っています。ぜってぇF○14で泣かす。

ルヴィアの動向について全部あちら基準なので、時々挟むルヴィアちゃんやコラボ話が気になる方はページ下部の方にリンクがあるのでそちらからどうぞ。


では、いつもの定型文になりますが、よろしければ下の方にあるブックマークと評価ボタンをぽちっとして、ついでにちょちょっと感想を頂ければ作者はとても喜びます。皆様の応援が日々のとても強い原動力になっております、よろしくお願いしますね。

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Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜
相方、杜若スイセン氏によるDualChronicleOnlineのルヴィア側のストーリーです。よろしければこちらもどうぞ。
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