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Dual Chronicle Online Another Side ~異世界剣客の物語帳~  作者: 狐花にとら
1-5幕 求める刀は何処へ/Dungeon maker

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201/390

201.神殿のような雰囲気を持った鳥の巣

「だいぶ奥まで来たね。進度としてはどれくらいなんだい?」

「もうそろそろボスじゃの。後半のラインナップもすぐに慣れたのは流石じゃな」

「キツツキや鷹、ハヤブサとかまでいたのだな。これ今後ルナも使えるようになるのだ?」

「ありそうですね。雀とインコ以外にも使えるようになり始めていると聞きましたし」

「クリアしたら聞いてみましょー」


 攻略開始して二時間ほどダンジョンを彷徨いつつ攻略を進め、一度攻略したカエデさん曰く最深部近くにまで辿り着いた様子。

 前半は様々な雷属性鳥類が中心でしたが、後半になるにつれてダンジョン内の各地に散見する紫水晶で出来た《クリスタルゴーレム》が出現するようになりました。

 それとまあ……ぴょんぴょんとボール状の物体が飛び跳ねながら近づいているようで、硬く床を叩きながら歩く音も。おっとまたいましたか、倒しておきましょう。


「トトラちゃん、アレが三匹ほどとゴーレムです」

「おっと来たのだな。鳥はいるのだ?」

「えーっと……別グループで鷹とハヤブサが飛んでいるね、接敵してももう少し後だと思うよ」

「よォし、ゴーレムは任せろ。あいつらはトトラ、頼んだぞ」


 普段は戦わなくて済むのであればそうするのですが、今回はちょっと訳が違います。

 今まで雷属性特化のダンジョンが少なかったのもあって貴重な素材が数多いのと、今進めているギルドハウスに使えそうな素材が数多いのもありました。

 レベルも修練場程度に落ち着いたものなので流通こそ早いとは思いますが、性質上対処に慣れるまではちょっと掛かりそうですからね。

 ……まあ、ひょっとしたジュリアの休息地になるかも知れないので、あまり心配は要らないのかも知れませんが。その理由が……


「"スライム"三匹、射線に入ったのだ! 仕掛けるのだ!」

「いよォっしゃ! 行くぞォ!」


 雷属性が濃いのでもしかしてと思ったのですが、ここスライムが湧くんですよね。名称は《ボルトスライム》…このダンジョンがポルトにあるのとも掛けてませんか?

 柱の影から姿を見せたスライムに対してトトラちゃんは容赦なく《トリプル・ブリザードランス》叩き込み。その後ろからキユリちゃんとタラムさんが追撃。

 その後方を歩いていた六方体を組み合わせて作られたような《アメジストクリスタルゴーレム》に対してはカルパさんがヘイトスキルを仕掛け、続けて私とカエデちゃんが仕掛ける事で対処。

 レベル差もあるので殲滅自体は後続でやって来た鳥達も含めてほとんど一瞬であり、無事に戦利(ドロップ)品も確保。ふむふむ、《雷の水晶塊》が幾つかと《スライム液体・雷》ですね。


 《雷の水晶塊》はおそらく照明系家具の作成にほぼ必須だと思われるものであり、水晶内部にランタンのような光を蓄えているんですよね。

 ダンジョン探索の必需品にもなりそうな気もしますけれど、発光度合いもちょうどいいくらいなので照明周りが充実しそうな素材になりそうで。

 そうでなくても武器や装飾品としての需要も非常に高い物になるかと思います。雷属性武器の素材にもなりそうですからね、結構各方面からの需要も高そうです。


 もう一つのドロップ品である《スライム液体》ですが、こちらは他の場所でも見たことのある品になります。

 フレイムスライムやシャドウスライムも落とすものであり、このダンジョンであれば雷属性の液体というわけで錬金術素材として、または対属性防御の補強で重用される素材。

 こちらもしばらくは値が張りそうな気配がするので今のうちに確保しておこうという算段になり、ボス前まで手持ちポーションが許す限りは素材を集めておこうとなったわけです。

 後続がここまで辿り着くとしても明日か明後日くらいになりそうですから、今であればほとんど独占状態でもありますからね。

 戦利品の確認が終われば、ダンジョンの奥へと向けて再び歩き始めます。そろそろボスにも辿り着きそうなものですが。


「結構狩ったのだな。これだけあればギルドの基金にもしっかりとなりそうなのだ」

「ハイムさんに報せたら、大量に買い取る手筈を整えるとの事です。水晶塊もエルジュちゃんが」

「手回しが早いね。電灯……とまでは行かないけど、ランタン風の家具は結構欲しい人多いだろうからね」

「何なら、そのままランタンに加工できたりしてなァ。エルフや植物系のプレイヤー、松明持っているだけで燃えるってのはキツいだろうしな」

「そうなると需要としては特大なのじゃな、洞窟系にもかなりお呼ばれがありそうじゃ」


 そうなんですよね。エルフや植物系のプレイヤー、洞窟系のダンジョンであれば必需品の松明を持つと自分が燃えてしまいますので探索が厳しかったんですよね。

 タラムさんも進化するまではそれに関して四苦八苦していたようで、そうでなくても大半のエルフ種族は洞窟を避けて攻略をしていましたし。

 その代わり進化先に恵まれていたり、パーティに持ってもらったりで大きくは見られはしなかったのでしょうけれど……それでも根柢の解決策として欲しかったのは事実ですから。

 あとはそれもあり人間種族が攻略に置いてド安定過ぎたのもあるでしょうね。こちらはその分進化先がエクストラしかないんですけれど。


「……お、見えて来たのう。あれがボス部屋じゃな」

「地図で見れば途中で下に下り、地下道からまた上に登っていく形になっているね。ちょっと不思議な形だ」

「ボス部屋というよりは神殿出口っぽさもあるのだな。で、あれがボスなのだな?」

「くあーっ、見る度に厄介だった記憶しか思い出さないのじゃ……覚悟するんじやぞー」


 カエデさんが指差した先に、水晶で造り上げられた大きな鷹の像。台座の上に鎮座しているようですが、こちらが視界に入った途端に目が光りました。

 ボス部屋のような四方形の部屋へ入れば、硬さを一切感じさせない柔らかな動きで翼を広げて飛翔して空中からこちらを眺めていますね。

 ……とりあえず鑑定をしてみましょう。ルナちゃんもどこかで見ていると思いますが。


ボルトクリスタルホーク Lv.60

属性:雷

状態:


 レベルもそれなり。戦っても十分な手応えがありそうですね。それにこうして相手が浮いている形式も初めて、色々試し甲斐がありそうです。

 これまではあんまり飛んでいるボスはいませんでしたが、今後はこういったボスが増えて来るということになるという示唆かも知れませんし。

 カルパさんが先頭に立ち、空で羽搏き続けるボスを睨んでいます。ここに来てから動きが速すぎる相手が多くて、ゴーレムくらいしかまともに戦える相手がいませんでしたからね。

 結果的にキャスターや遠隔武器持ちが多く集まったのはルナちゃんの采配……と、主な挑戦者のターゲット層に近かったのでしょうけれど。


「それではボス戦、頑張ってみましょうか」



――◇――◇――◇――◇――◇――



「……うん、流石。みんな強かった」

「はっはっはァ! 低空まで降りてくればこっちのモンだなァ!」

「撃ち落とせば後は楽勝だったのだな。クレハもだけどカルパの火力が高すぎたのもあるのだ」

「わしとルナの時は高火力がいなかったからのうー」


 ボス戦が終われば、奥の部屋……マスタールームの方からルナちゃんが出てきました。

 ボス自体はキャスター三人とタラムさんの遠隔攻撃で集中砲火を受ければ墜落して低空飛行に切り替わり、そこを私とカルパさんで集中砲火。

 少しすればまた高空へ戻るので、また集中攻撃で撃ち落し……の繰り返しであっさりと撃破。トトラちゃんとカエデちゃんの言う通り、低空飛行時に大ダメージが与えられたからでしょうね。

 厄介な行動と言えば、高空にいる時は各種の雷鳥を飛ばしてくる攻撃。そして低空の折は突進しながらの落雷攻撃くらいでしょうか?

 やはりダンジョン内で出て来た雷鳥は魔術ともなる……ということは、ルナちゃんの魔術はこの方向で進化していくのでしょう。楽しみですね。


「うん、良いデータが取れた。参考に、今後色々弄ってみる」

「レベルはこれくらいの方がいいでしょうね。他のダンジョンでは見ない変わり種の魔物やボスが相手なら、低すぎずといった感じでしょうし」

「そうだね、弓で狙うにはちょっとキツいけど、今後を考えるならこれくらいの難度が丁度いいかな」

「近接武器組も何だかんだ対処法があるのはいいなァ。ただまァ、大柄武器持ちはちと雀がやり辛ェか」

「ホーミングの効果的な使い方の練習にもなるのだな。目が慣れたらスナイプで当てる練習にもなるのだ」

「ほうほう、わしが聞いても参考になる意見が結構あるのう。やはり来て貰って正解じゃな」


 さて攻略が終われば本来の目的、ダンジョンの品評会と改善点などの洗い出しになります。

 とは言ってもそう困ったことはありませんでしたし、強いて言えばクリスタルゴーレムをもう少し早めに出現させると奥に誘い込む事が出来そう、ということくらいでしょう。

 序盤で雷雀がわんさかいるのは、これくらい出来ないのと先には進めないぞ的な意味合いもあるのでしょうが。おいしい魔物は少し早めに出すのはいいかも。

 もっとも、やり方さえ伝えればあとは皆見様見真似で判断して慣れてくれることでしょう。私のやり方? あれは真似しようとしている人すらいませんでしたが。


 して、ボスを倒してから気になっていたもの二つについて聞いてみましょう。


「……道中にわんさかいた雷鳥達ってもしかして」

「うん。もちろん私の固有魔術《雷鳥魔典》で呼び出せる鳥達。実は、《ウェイブホーク()》《エレキペッカー(啄木鳥)》《イエローファルケン()》は私も使える」

「習得すればするほど増えておるんじゃよな。今は……《エレクトロレイヴン()》の設置場所に困っておるんじゃったか?」

「扱いがランス系だから、下手に一杯配置すると、死人が盛り沢山になる」

「後で出す場所については精査してみましょうか」

「クレハ、助かる。良い場所があったら、教えてほしい」


 あ、やっぱり出て来ているのはルナさんの《唯装》、《雷霆の魔術書》で使える固有魔術が出元でしたか。

 現在六種類ほどの習得で、先程挙げた四種の他にも《ボルトパロット(インコ)》と《サンダースパロウ()》がおり、どれも対応した魔術の特性を持っていましたからね。

 聞いた感じであればおそらく鷹はホーミング、啄木鳥はアロー、隼はエッジ系でしょうか。インコはプロード系でしたし、雀はバレットでしたから……多分冠詞が共通なのかも。

 また今度実演しているところを見せて貰いましょう。このダンジョンでおおよその挙動は判ってしまいましたが、使い手がいるとどう変わるのかも見てみたいですし。


 それともう一つ。ボスの水晶鷹を倒してからずっと気になっていたんですよね。これ見よがしに奥に通じる扉のようなものが開きましたし、何なら出口とするには景色が違いすぎますからね。

 見えるものとしては峠の様にも見えますが。それにしてはちょっと新たなダンジョンの入り口のようにも見えますけれど……高難易度を身体が求める身としては気になるのですが。


「ところで……」

「もうひとつ聞きたい事……言わなくても分かる。ここから奥のこと」

「あー、それじゃなー? 今は入れないのじゃ、出る事は出来るのじゃが」

「出る事は出来る……ちょっと出てみても?」

「構わない。先には進めなくなっている」


 タラムさん達は神経を使う魔物が多かったのもあってちょっとリラックスしたいようですね。なので、私だけで扉の向こうへ行ってみましょう。

 石造りの神殿の外はやはり見える分は峠のようになっているようで。どこかの山の麓のようであり、神殿入り口があったところから結構離れているようですね。

 さて、この場所の名称は、と……鑑定をしてみればこの場所の名称は《雷鳴峠》という場所のようですね。確かにふと上を眺めれば雷雲に覆われているようで。

 雷の音を聞き過ぎてちょっと麻痺していましたが、この峠全域で雷が鳴り響いているようで……あ、見える中で雷が落ちましたね、いずれ攻略する時に厄介なギミックになりそうです。

 神殿の敷地から出て山道に入ろうとすれば、この先に進めない旨のポップが出てきました。アクションゲームあるあるの見えない壁があって、実際に進めなくなっているようで。


「……絶対ここ、後で厄介なダンジョンになるのだ。絶対トトラは行きたくないのだ」

「おや、もう休憩はいいんですか?」

「ギルドチャットが来てたのだ。結構重要な話でもあるから、一応クレハにも相談しておくのだ」

「おっと……本当ですね。ええっと……」

「ジュリアがこのまままこっちに来るから、トトラ達はこのまま一緒に北方を目指して動き始めるのだ」

「あ、やっと解放されたんですね。後で覗きに行ってみるとしましょうか」

「クレハはこのまま戻るのだ?」

「ええ、もう少し……と、おやイチョウさんから」


 ふらっとやって来たトトラちゃんからギルドチャットの話を聞いてざっと目を通せば、ようやくアマジナさんから解放されたジュリアがこっちに来るとの事。

 昨日話していたとおり、竜を捜すために北方へ向けて動き始めるようですね。もののついでソロでここを突破してここまで来るのだとか。

 トトラちゃんはまた違った目的はあるようですが、それはそれ。そろそろ推しと一緒に戦うということもさせてみてあげたいですからね。


 私はもう少しルナちゃんにアドバイスをしてから、なんて思っていれば、私宛にもイチョウさんから書き込みが来ていました。

 その内容は……私がある意味待ちわびた内容。律儀に場所まで指定しているところを見るに、こちらからも接触したかったのが判っているようで。


「……イチョウさんが、しかも故金ちゃんから直接伝えてほしいとなれば」

「概ね察したのだ。トトラ達は応援しているのだ」


 明日、イチョウさんの唯装ダンジョンである《故金神社》に来るようにという報せが届いていました。

 しかもそれはあの神社の《迷守》であり綾鳴様直接の使い魔である小狐、故金ちゃんから直々のメッセージ。

 つまりそれは、また大きなイベントが起こるという事であり……おそらく、日程的にも彼女がそこに訪れるということでもあるのでしょう。


「これはちょっと早々に合流して、色々と準備をしておかないといけませんね」

クレハ「ダンジョン内、雷魔術の音が凄くて雷鳴の音なのか魔術の音なのか判別がつかなくて……」

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