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Dual Chronicle Online Another Side ~異世界剣客の物語帳~  作者: 狐花にとら
1-4章 いざ海を越えた先の島で/Volcanic Eruption

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178.類は友を引き寄せていた

今回はリアルパート。

 さて、お待ちかねの九月二十一日……週末の土曜日です。

 私と妹は一緒に……はい、本日はゲーム内ではなく、駅前へとやってきていました。


「んへへ、トトラちゃんだけでなくてキユリも来るって」

「チヨちゃんも割と近いところに住んでるからって……」


 本日はイチョウさんとトトラちゃんと約束したオフ会の日ですね。近いとはいえ電車を使って来るとのことで。

 合わせてその話を聞いたチヨちゃんとキユリちゃんも来る予定となっています。二人も割と近いところに住んでいたのだとか。

 そんなわけで、昨日のアタッカーパーティが全員集合といった体となりました。その他の皆は……ちょっと遠かったり、予定が合わなかったり、攻略に行ったり。


「明日は千夏、運動会なのに大丈夫?」

「大丈夫大丈夫、あたしの体力馬鹿っぷり知ってるでしょ」

「最近はゲームばっかりで動いてなかったから、ちょっとね」

「そんなこと言ったらお姉ちゃんもでしょ! まったくもー」

「まあ、あんまり心配してないけど。それよりも問題なのは、ゲームの感覚で動いちゃダメだよって」

「う゛っ」

「……図星みたいですね」


 そう、千夏の最近の動き。微妙にうっすらと翼を伸ばしているようにすら見える準備運動が増えてるんですよね。

 私はあまり影響が出ない程度に抑えてはいるのですが、微妙にリアルに行動の癖が出て来ているというか。

 これで競技中にその癖が出たりとか……あ、はい、しそうですね。というより元よりこの子、クラスメイト達にも"暴れ鳥"と言って通用するくらいは飛んだり跳ねたりしてました。

 むむむ、と呻く千夏を宥めたりとそんなことしていれば、と。


「あの、お待たせしました?」

「うへ、ほんとにあたしと同じくらいの身長なのだ」

「聞いていた通りの姿ですね、貴女が……」

「はい、ゲーム内ではイチョウと名乗っています。秋山杏子(あきやまきょうこ)と申します」

「うへーい、トトラこと八ヶ岳虎子(やつがとらこ)なのだー」


 まるで絵に描いたような和服美人のイチョウさんこと杏子さん、そして千夏と同じくらいの身長をしているトトラちゃんこと虎子ちゃんがやってきました。

 杏子さんはいかにも良家の生まれといった姿で、ゲーム内での銀髪ウェーブと違ってストレートポニーテールになっています。着物は銀杏柄ですけれど。

 ……あ、イチョウさんの本名を聞いて思い出しました。確かちょっと前、夏の弓道大会で全国ベスト8に入った方でしたっけ……以前ヘルプに行った折にちらりとだけ耳にしましたね。

 通りで弓の扱いに長けているはずですし、その狙いも綺麗なわけです。ゲーム内での射方は優雅さや弓道の型からはちょっとかけ離れてはいますけれど。

 虎子ちゃんは……千夏が鳥ならこっちはチビ虎といった印象。とはいえ、眠たそうに欠伸をしていますけれど。


「はわ……もう皆さん集まってました」

「うう、緊張します……」

「多分……そっちがキユリちゃんで、その木陰に隠れているのがチヨちゃんですね?」

「はわわわ、見破られました! はい、キユリこと森谷(もりや)いばらです!」

「あぅ……風間千代女(かざまちよめ)、チヨです」


 続けてちょっと離れたところから見ていた二人の姿も目に入ります。はい、挙動からして一度で判りました。

 ガチガチに緊張している子がキユリちゃんこといばらちゃん。半分木に隠れながらこちらを見ている子がチヨちゃんこと千代女ちゃんですね。

 というか、こちらの風間千代女の名前も聞いたことありますね。確かこちらは剣道大会において個人の部で全国大会でかなり上まで残っていた子だったはずです。

 最初であった時の逃げっぷりは一体何だったのか。ちょっと気になりはしますけれど……まあ、これに関しては彼女なりの事情があるのでしょう。

 ……おかしいですね、私のお連れは武道の達人が多いんですけれど。なんででしょう。


「とりあえずみんな集まったのだな!」

「それじゃあ定番ですが、ちょっとカフェにでも行きますか」

「賛成です。折角リアルで逢ったので、ちゃんとクレハさん……深冬さんのお話を聞いてみたいですから」

「はう! いばらも賛成です、皆さんのお話を聞きたいです」

「えっへん。じゃああたし達が知ってるいいとこ行こう!」


 皆が集まったところで、千夏が先導して先んじて見つけておいたとかいうカフェへ。

 ……うん、行き先についてはちょっと黙っていましょう。私達がよく遊びに行っていた、ある意味では常連に近い場所なんですけれど。

 さて、前もって聞いていた虎子ちゃんはまだしも、やっぱりその先導する千夏(チビッコ鳥)に視線が集まります。それはそうですよね。


「……え? ううん、と、こっちがクレハさんなら……あなたがジュリアさん?」

「うん? そうだよ?」

「えっ……良い感じよく出来た女騎士姿だっと思ってたけど……」

「あたしもびっくりしたのだな。実際会うまでは嘘だーって思ってたのだ」

「ちっちゃい……」

「あれだけ振り回してていばらとおんなじくらい……」

「う、うぐぐ。これでも牛乳はしっかり飲んでるのに!」


 やっぱりみんな気にしますよね。ゲーム内では私と並べるくらいの身長にはなっていますが、実身長は朱音(ルヴィア)並みですからね。

 逆に年が近い虎子ちゃんといばらちゃんも千夏と同じくらいの身長なのが気になりますけど、こっちは元々ですから。

 ……妖精を近いって言っていいのかはちょっと疑問ですけどね。それはさておいて。


「ここだよ!」

「わぁ、結構高そうなお店ですー」

「ここでしたか。ここなら味は保証しますよ、ちょっとこの間有名になった店舗ですけれど」

「虎子知ってるのだ」

「いばらも小耳に挟みましたっ」

「え、えぅ……どういうお店なんですか?」

「先々週くらいにあか……ルヴィア達がオフに使ったという店舗ですね」


 駅前から少し離れたところにある老舗の喫茶店に入り、窓際席は埋まっているので適度に奥側のテーブル席へ。

 中は少し賑わっていますが、それは先程の会話で出たとおり。伝説ともなった朱音の駅前事件が起きる前に訪れていた喫茶店ですから。

 なので、朱音のファンからすればちょっとした聖地のひとつになっているとかなんとか……窓際席なんてその所為で埋まっているようなもの。

 この店舗、私達にとってはVRを使い始める前は皆でよく集まって勉強会をしていたりしていましたっけ。

 大学からも近いのでもちろん顔見知りもアルバイトしてたりするんですが……今の時間はいないようですね。

 一通り注文が終わってから、落ち着いて改めての会話が始まります。


「というわけで、改めまして。クレハこと龍ヶ崎深冬です」

「ジュリアこと龍ヶ崎千夏だよ。ロールプレイのためにあっちでは身長変えてるけどね」

「深冬さんは初期の姿に部分的に似ていますねー。進化してからがらっと印象が変わってしまってましたけれど……」

「進化の時に、髪色を含めてがらっと変えましたからね。そういう杏子さんもかなり離れた姿になっていますし」

「ふふー、実家が稲荷神社ですのでー。ちょっと色々と弄りましてー」

「それで最初は狐獣人だったのだな!」


 まあまず最初は格好の話になりますよね。私も進化の折にそこそこ弄ったり変えたりしたので、以前とは結構変わっていますけれど。

 杏子さんに関しては、実家が神社となると……ううん、故金(あのこ)について考えるとなるほど、そういうこと?

 狐だった理由もちょっと判った気がします。今はまた私同様に変わってしまったので、原型が……ちょっと残ってますか。


「そういう虎子さんは……まあ、ルプストの影響でしたか」

「もっちろんなのだ! 出来れば一目お会いしたかったのだー」

「あはは、折角ですから呼ぼうとは思ったんですが……」

「お姉ちゃんの別の知り合いに捕まっちゃったんだよね。魔銃が使いたいから教えてほしい、って」

「あの人は強情ですからね……ルプストとフリューはもう一人と関係がありますから、仕方ないのですけれど」

「またメンバーが増えるのだな?」

「そうかも知れません。もっとも、気分屋ですからわかりませんけれど……」


 忘れがちですけれど、虎子ちゃんは秋華(ルプスト)の熱烈なファンですからね。

 本当に逢わせてあげたかったのですが、例の知り合いが先約を入れてしまっていたりで。今度ゲーム内で合わせてあげることで埋め合わせとしましょう。

 もっとも、その時はとても賑やかなのと、とても静かな子の両極端が同席するわけですけれども……エアリーに入るかどうかはまた別として。


「千代女ちゃんといばらちゃんは……格好からして中学生でしょうか?」

「いえ! 去年まではそうでしたけど、ちゃんと高校生ですっ」

「私も同じです。身長や格好で誤解されやすいですよね……」

「そうなると年齢的には一番下なんですねー、カルパさん達は社会人だって言ってましたしー」


 未だに緊張しているのか、ちょっとだけ隅で小さくなっている千代女ちゃんといばらちゃん。

 千夏よりは背がありますが、それでも小さいと言いますか。今聞いた年相応と言えばそうなんですけれど。

 二人共、容姿としてはゲーム中とはちょっと似ても似つかないくらい違いますね。挙動でしか分からないので、最初に見抜いた杏子さんは流石といいますか。

 千代女ちゃんはメカクレ気味なくらい髪の長い子で、ずっと切っていないのではというほど。それでいて手入れも綺麗にされていて乱れもないですね。

 これを結い上げたのがゲーム中での姿なのでしょうけど、顔の輪郭などもちょこちょこと弄ってありますね、これは……

 いばらちゃんは少しだけある三つ編みだけが名残ですが、こちらは逆にゲーム中では長くしている形。スタイルを結構弄っているので、違う印象を受けるといったところです。

 ……はい、弄り方からして年相応といったところでしょう。誰に憧れたのかはまた分からないところですけれど。


「自己紹介も終わったところでー」

「色々聞いてみたい事を聞いてみましょうの時間なのだな!」


 一通りの自己紹介も終わったところで、ある種当然といった話題が始まりました。

 さて誰から何を聞いたものか……うーん、結構今まででも色々聞いていますからね……


「はいはーい、じゃあ私からですー! クレハさんがたまーに見せるあの顔って、リアルでもやるんですー?」

「うぇっ!?」

「あの顔地味に怖いかどうか人によって分かれるのだな……」

「うん、やる。というか美味しい場面や何か判った瞬間とか、だいたいやってるよアレ」

「はぇ……じゃあじゃあ、あの顔をしたときに根掘り葉掘り聞くと事情が判ったりするんです?」

「その場だとお姉ちゃんあんまり教えてくれないからなぁ。あとで教えてあげますーって言って」

「あ、当たり前ですっ。あれが一番楽しみですし、繋がらないと意味ないですから!」


 まさか一発目から私を狙い撃たれるとは。そういうことをしている私も私なので何とも言えませんけど!

 それでも大抵はあの後皆に教えているんですけれど、最近入ったばかりの千代女ちゃんやいばらちゃんは流石に知りませんか。

 うーん……一度ちゃんと判った事の内容は教えておくべきでしょうね。あんまり引っ張るのも良くないでしょうし。

 やっぱり見られているものは見られているんですね……抑えるようにはしているんですけれど、またしばらくしたら一件ありそうですし……


「次は虎子から聞くのだな! 千夏はどうして姫騎士プレイしようと思ったのだ?」

「ふふん、それは当然。やってみたかったから!」

「はわ、ストレート過ぎる返答が来ました……」

「千夏は真っ直ぐ過ぎますからね。動きにもそれが出ていますし」

「とてもあの戦い方を見ていてストレートには……」

「いえー? 結構ストレートですよー?」

「攻撃一辺倒で動きも割と直線的ですからね。猛攻に入ると搦め手を使っているように見えて、その実最適化した攻撃を繰り出してるだけですから」

「へっへーん」


 なんだか自慢げな千夏ですけれど、その後しっかり欠点を指摘されていますからね?

 とはいえ、あの猛攻をいなし切れるかどうかとなるとこれまた別の問題になってきますから。朱音なら全部とは言えずとも、ある程度は見切れるんじゃないでしょうか。

 トップ勢でも対応は出来るでしょうけれど、余程慣れないと全部見切るのは辛そうですね。対人慣れしているかどうかもありそうです。


「虎子ちゃんと杏子さんの戦闘スタイルは以前聞いたとして……千代女ちゃんは不意打ち気味な動きが多いよね」

「はい、深冬さんからお聞きになってるかもですけど。他の方と動きを合わせる練習をしていると、自然と不意打ちを狙いやすくなって」

「私もその方がいいと思いますー、クレハさんも意外と搦め手苦手ですからねー」

「お姉ちゃんも意外と小細工するより正面から切り抜ける方が得意だからね、千代女ちゃんの動きは一番合ってるよ」

「え、えへへ……そう言われると嬉しいような、恥ずかしいような……」

「千代女さんにも意識を向けられる事で、よりお姉ちゃんの足技が見れそうだね」

「あ、師匠様も言ってました。深冬さんは意識を外した途端不意打ちの足技が飛んでくるって」

「深冬さんの足癖の悪さは折り紙付きですからねー」

「また弄られ……うぅ」


 そしてまた弄られてる気がします。特に杏子さんとはよく一緒にいる所為で、披露する機会が多いですからね。

 昨日の下山中も結構ゴーレムやスライムを蹴り落としてましたから。涼さんを抱えていたため手が塞がっていたからというのもありますけれど。


「それじゃあどんどん聞いていくのだー!」

クレハ「……物凄く根掘り葉掘りと……!」

ジュリア「普段は根掘り葉掘りする側ですのにねぇ」

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