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Dual Chronicle Online Another Side ~異世界剣客の物語帳~  作者: 狐花にとら
0-1幕 ゲームスタート、王都への道のり
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16.初めてのパーティプレイ

ようやくジュリア以外とパーティプレイ。

 木曜日、金曜日とレベル上げに費やしながら三番道路を邁進。ボス前まで辿り付きました。

 ……王都に繋がるという街道の前。今は何もありませんが、この先にボスがいるとこのこと。

 今日は土曜日で、休日なのを利用してここまで辿り付いたプレイヤーでボスを討伐しようということで、三番道路の最奥に人が集まっています。


「ボスはレイド形式。6人パーティで計8パーティで挑戦。二人でいけるかと思いましたが、レイドなら話が変わりますね」

「体力多いですと、現状2人では削り切ることは不可能に近いですものね。大人しくレイドパーティに参加するしかありませんわ……」


 がっくり、とジュリアが肩を落とします。ただのボスであれば、二人で挑んで検証していたのですが。

 レイド形式、しかも複数パーティが前提となると、それ相応にボスの体力も高めに設定されているということ。

 如何にプレイヤースキルがあったとしても、二人だけでそれを削り落とすのは様々なも問題もあって非常に難しいでしょう。

 戦闘しながらご飯を食べたり、数時間に渡って戦闘をしたりは流石に辛いです。昔のMMOではないのですからね……。

 それで掲示板で討伐レイドパーティの募集が行われ、私達も便乗してしまおうとやってきたわけでした。


「意外と人はいますが……おっと。ルヴィアもいますから、出来るだけ、出来るだけ」

「まだまだ私達の本領を発揮するべきところではありませんですものね。……にしても、集まったのがこの数でしたら……」

「少し足りないところも出てきますね。それならキャスターとヒーラーを募集しましょう、タンクは別パーティがやるようですから」


 実は少し前にルヴィアからお誘いを受けたのですが、私のスタンスとジュリアが大分マシになったとはいえRPがまだ剥がれる事から上手く辞退しました。

 それに、その。水曜日の件から掲示板で一躍名前がよく上がるようになってしまったので、配信しているルヴィアからはまだより一歩離れた位置に居たいのです。

 あまり目立ち過ぎるのも好きではないですから、もし参加するにしてももう数日様子見、というところでしょうか。

 

 とはいえ、ジュリアが時折RPが剥がれて素が出るのはそれはそれでネタとして面白いのですが。見ている此方も面白いですからね。

 昨日もその寸前まで綺麗にRPできていたと思えば、《ジャンプアタック》した際の掛け声みたいなもので素が出るという。

 とぉぉぉぉうなる掛け声に思わず吹き出し、対峙していたワイルドボアの突進を喰らいそうになりました。

 しかも着地して仕留めた後に、やりましたわお姉様! とRPに戻っているのですから、もうなんというか。

 危険なレアMobであるクレイジーワイルドボアがすぐ近くにいなかったから良かったのですが、戦闘中でなければ面白すぎて噴き出してしまいそうになるほどで。

 ああ、駄目ですね、思い出すだけでまた笑えて来ました。やめましょう、今はボス戦に控えて気を引き締めていきましょう。


「あの……」

「はい?」


 パーティを募集しようとした矢先、声を掛けられました。そちらの方に向けば、紺色の髪をロングにした猫の方と、金髪に茶色メッシュの狐さんがいました。

 私が返事をして振り向くだけで、二人の亜人少女プレイヤーは嬉しそうな声を上げました。……ええと、面識はないはずですが。

 ひょっとして私、何かしちゃいましたでしょうか。


「あの、えっと。私達でよろしければヒーラーとキャスター、やります!」


 言う前に募集する相手が来ました。とても嬉しい限り……ですが、他にも募集しているところはあるはずなのですが……

 改めて両人の目を見れば、まるで憧れの相手を見るかのように目を輝かせています。あー、ひょっとして……?


「はい、とても嬉しい申し出ですが……その、どうして?」

「お二人のあのデュエル見てました! すごくかっこよかったですから、そのっ、私達でお役に立てるならっ、ぜひっ!」

「あう、えっと、私はお料理おいしかった、ので……」

「なるほど……それは、ええと……ありがとうございます」


 ああやっぱり。狐の子の方はデュエルを見て、猫の子の方は私の料理がとても美味しかったから、なようでした。

 前者は判りますが、後者はちょっと……確かに思い出せば、猫の子がラビットステーキを買って行った記憶があります。

 積み重ねが縁を引っ張って来るとも言いますか。何かしてしまった結果で募集する手間も省けました。


「それでは、パーティ招待をお送りしますね」

「はい! よろしくおねがいします!」


 狐さんと猫さんにパーティ招待を送れば、すぐに受託されてパーティリストに名前が追加されます。

 お二人の名前は金髪の狐少女さんのほうがカエデさん、紺色ロングの猫少女さんがルナさん。レベルは……私達より3つ少ない14ですね。

 二人とも背丈が小さいですが、さすがにミカンほど背丈は小さくありません。私の胸くらいの位置に頭が来る程度になります。

 カエデさんはデュエルを見ていたとのことで、そうであれば私達の動きも説明するまでもないでしょう。

 おそらくルナさんも同じでしょうか。二人でパーティに入れた事を喜んでいる辺り、お友達なのでしょうから。


「私からもよろしくお願いしますわね」

「わー……ジュリアさん間近で見るとカッコイイですー……」

「うふふ、もっと見てよくってよ」


 ジュリアは容姿を褒められてドヤ顔でお姫様ムーブをしています……というかこれお嬢様ですね? まあ今更突っ込みませんが。

 まだ少し作戦会議まで時間があるようですから、今のうちに二人のそれぞれの役割を聞いておきましょうか。


「えっと、カエデさんとルナさん、でいいでしょうか?」

「はい! すみません、名前言いそびれちゃって……」

「いえ、いいんですよ。それで、どちらがどちらを……?」

「私カエデがヒーラーとバッファーをします!」

「あっ、私……ルナが、えっと、キャスターをやります。雷属性の魔術を取ってるから……」


 雷属性とはまた珍しい。確か、魔術の飛ぶ速度が最速な分その扱いが難しいと聞きましたが、どこまで扱えるのでしょうか。

 それはまあ、実戦で見るとしましょう。少なくともフレンドリーファイアはパーティを組んでいる内であればありませんからね。


「私達のスタイルは知っているかと思いますが、私が刀術メインで必要であればタンクの役割も出来ます」

「わたくしは槍術を中心に、火属性の魔術攻撃を絡めながら遊撃ですわね。メインアタッカーはお姉様になるかと」

「わかりました! じゃあ私はバフをメインにしつつ、体力が減ったらヒールでいいですか?」

「はい、それでお願いします。ヒールはボスの行動次第ですが、私もジュリアも初撃以降は避けられる自信はあるので」

「とっても、頼もしい……。じゃあ、私は、当てないように魔術で支援、するから……」

「ルナさんもその方向でお願いします。極力後方に攻撃が行かないようにしますので」


 意外と役割に関する話が通じやすいですね。それなりにパーティプレイの経験があるのでしょうか?

 事前の打ち合わせがさくさくと進んで終わる頃には、今回のリーダーであるブランさんからパーティリーダーに招集が掛かりました。

 一応リーダーでありますからね。二人をジュリアに任せて私はそちらへと向かいます。



――◇――◇――◇――◇――◇――



 打ち合わせを終えて戻ってきました。

 集まった四十と幾らかは、それぞれルヴィアとブランさんをリーダーにして二分割し、二グループ交代で倒しに掛かるとのこと。

 私はブランさんの側だそうで、自由に立ち回っていいようにDPSの多いアタッカーパーティの役割を担う事になりました。

 私の知るメンバーはルヴィア側の方に行ってしまったようですね。それならば気楽に戦えそうです。

 グループでの打ち合わせを終えて、あとは予め組んでおいたパーティ内での打ち合わせ……なのですが、もう行く前に済ませてしまっているんですよね。

 なんて考えながらジュリア達のところへと戻りました。戻ったのですが……


「……何してるんですか」

「何って、こうして教えて上げていますのよ?」

「のじゃ?」

「……理由説明。たぶん、分からない」


 カエデさんはいつの間にかのじゃ口調に。ルナさんは……丁寧語を交えて少したどたどしい口調になっていますね。

 ちょっとだけ話し込んでいる、と思いきや全くもう。ロールプレイを伝染させてますね、これは。


「カエデさん、ちょっと経緯を説明できますか?」

「あ、はい。えっとですね、ジュリアさんの口調がどうみても作っておるなーって思って聞いてみたのじゃ。それで釣られて……」

「お二人も少し口調を変えてみた、というところですか」

「御明察じゃ。なかなか似合ってるであろー?」


 二人とも楽しそうにきゃっきゃと言い合っていますが……楽しそうなのでいいとしましょうか。

 支障が出なければいいだけですから、支障が出なければ。ジュリアみたいに突然崩して笑かさなければいいのです。

 もっとも。そのジュリアのお陰で私達に対する緊張も解れたのか、先程に比べてフランクに接してくれるようになっていますね。

 ここだけは褒めてあげてもいいかもしれません。さて、それでは本題。


「それじゃ、聞いてきた作戦を伝えますね」

「よろしく頼むのじゃ!」


 元気のいいことです。とはいっても、割と単純な作戦ですからね。

 口にしてしまえば四方を囲んで棒で叩く……という、まあ、ありきたりな方法ではあるのですが。

 メインとなるタンク含んだをボスの前に配置し、四方向からアタッカー三名とヒーラー一名を含んだパーティにより火力を集中させてダメージを与える作戦です。

 途中でルヴィアが指揮するグループとスイッチ……交代するそうなので、そのタイミングだけ間違えなければ大丈夫でしょう。

 私達は背面の担当です。方向指定が取りやす……いえ、これは以前のゲームの話。今回は関係はないとは思いますけれど、多分……。


「初のレイド戦ですから、ある程度実験もしたいそうです。ですから、後退のタイミングを間違えないように」

「わかりましたわ。確かにグループ単位でのスイッチは試しておいた方がいいと思いますわね」

「今回はどうかわからぬのじゃが、今後は一パーティ丸々を壊滅させる大技をボスが持っている可能性も否定できないのじゃ」

「ここで、試すのは、英断だと思う……今回は弱そう、だし」


 カエデさんの言う通り、その可能性があるとするなら今のうちに大規模なスイッチが有効かどうかの反応を確かめるのは通りでしょう。

 そうすれば、タンクで固めたパーティがその予兆を見せた時に敵の脅威認識……ヘイトを受け持ってそのパーティ単位の大規模攻撃を受け留める、という手段も取れますし。

 今回はパーティではなくグループ単位なので、敵の思考パターンの変化も見るつもりなのでしょう。流石、有名トッププレイヤーであるブランさんと言いますか……。


「ああ、そうでしたお姉様。既に私達は試し狩りでお二人の戦い方は確かめておりますので」

「それなら私は実戦で。どうせ私の戦い方も伝えたのだと思いますし」

「一度私達の動きは見ていますものね。少なくとも連携は合わせやすかったとだけ」


 二人の戦術は聞いていたとおり、ルナさんが魔術攻撃をしつつダメージ負ったらカエデさんが回復、時折火属性魔術で攻撃、と言った模様のようです。

 狐人で火属性魔術を扱うあたり、やっぱり狙ってやっているのでは……? そんな疑惑に駆られながらも、今回は回復役に専念してもらうとしましょう。

 ルナさんの雷属性魔術の扱いも流石と言うほどに命中率が良く、走るワイルドボア相手に命中率が八割以上とのこと。実際何発放ったのか判りませんが、それだけ当たれば十分と言えます。


「頼りにしていますよ、二人とも」

「「はーい!」」


 こちらもこちらで口調を付けて遊んでいただけではなかったようで。そのついでにあとで焼けと言わんばかりにドロップしたであろうワイルドボアの肉を押し付けてきました。

 カエデさんとルナさんも渡されるのを見て、眼を輝かせているので本当の目的はそれだったのでしょう……本当、抜かりないですね。

 いえ、いいんですよ。こちらとしても王都に辿り付けばレシピがさらに増えるわけで、調理のスキルレベルも上げておきたいですから……。

 そんなこんなの雑談と短い打ち合わせをしていれば、戦闘開始準備の報せが届きました。では、DCOのレイドバトルを体験していきましょう。

本編にも出てきたキャラクターがようやく顔を見せてくれました。

キャラクターを作った担当が違ったりするので本編側と監修しあってたりしてます。


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Dual Chronicle Online 〜魔剣精霊のアーカイブ〜
相方、杜若スイセン氏によるDualChronicleOnlineのルヴィア側のストーリーです。よろしければこちらもどうぞ。
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