No.06 呪詛
僕は、アカデミーの講堂で今日行う授業の準備をしていた。
「ハル君、そろそろ始められるかな。もうそろそろで生徒来るけど」
アリス先生が講堂の扉を開けて笑顔で尋ねてきた。
「もういいですよ時間が惜しいですからね。生徒達が来たらここに行くように言っておいてください」
僕はそう言って懐中時計を見ながら返事をした。
数分後には、アカデミーの全生徒が講堂に集まっていた。
「礼」
全生徒が頭を下げて礼をしたのを見て僕は生徒達を座らせた。
「おはようございます皆さん。講師のハルと言います。今日は古術について基本的な理論と戦闘法を教えたいと思います。ではまず皆さんに質問します。古術は大きく分けて何個かありますが皆さんは分かりますか」
講堂が、ざわつき始めた。そんななか1人の男子生徒が手を挙げた。
「じゃあ、グレン君説明してくれる」
「古術は大きく分けて2つに分かれてます。まず呪詛です。これは主に道具などに術を掛けて相手に術を掛けるものです。もう1つは魔術や呪術です。こちらは、術者が直接、呪文を唱えて相手に仕掛けるものです」
グレン君は、大まかに説明してくれた。
「うん、まぁだいたいそんな感じです。では、まず呪詛について説明していきます。呪詛は先程グレン君が言った通り道具などを媒介にして相手に術を掛けます。これのメリットは、予め道具には術さえ仕掛けてあればいつどのタイミングでも、自動で術は発動します。例えばですが僕の持っているこの剣は呪詛が仕掛けられています」
そう言って僕は、教卓の上にある剣が収められている鞘を手に取り、鞘から引き抜いた。すると紅く発光して剣から炎が発生した
「今のは、この剣に、炎が発生するように術者を掛けておいた物です。このように呪詛は、自分が使用する武器にも、掛ける事が出来て術で武器を強化することが出来ます。ですがデメリットもあります。まず術者のタイミングで術を発動出来ません。次に条件さえ満たされれば、発動してしまいます。リーナさんこの剣を引き抜いてみてください」
僕は、リーナに剣を渡して引き抜かせた。すると先程と同じように炎が発生した。
「このようになるので、呪詛は、複数掛けして使用する事をお勧めします。では呪詛について基本的なことを説明してきましたが、質問はありますか」
「あります。呪詛の複数掛けは、術者がかなりの負担を負います。故に術は余程の魔力持ちでないと長持ちしないと思います」
「うん、セリカさんいい質問ですね。確かに常時その術を発動していては術者は倒れてしまいます。昔僕も恥ずかしい話ですが、倒れる寸前までいきました」
その言葉で講堂の皆が笑い出した。
「ですが、僕はある方法で解決しました。それは呪詛の発動条件に自分自身に呪詛を掛けることで解決しました」
「自分自身に呪詛ですか?」
「そうです。術者自身に呪詛を掛ける事にしました。これは鍵の様な物です。僕は特定の言葉を発する、剣の柄に触れる、敵を目視するなどのいずれかを発動の条件にして鍵の役割を担わせてそれのせいどれかで解除されると同時に別の呪詛が発動出来るようにしました。自分自身が触媒でありそれを発動させるものなので、術者にはあまり、負担が掛かりません」
「なるほど、そういう工夫があるのですね。ありがとうございます」
セリカは一礼して席に着いた。僕は懐中時計を見て、皆に1度休憩をとらせた。