No.04 不穏な動き
僕はアヴァロンの市街地から少し離れたところにある自宅に帰ってから家の地下にある書庫に向かった。そして明日のアカデミーの授業で使う資料になりうる本を取り出していた。
「しかしながら相変わらずここの本をアカデミーの図書館にしたらいいと思うんだけどなぁ」
「それは無理ね〜妹がアカデミーの学長やってるからっていってハイどうぞって資料を公開する訳にはいかないから」
「帰ってたなら言ってくださいよ。母さん」
ハルが本棚に向かい合っている間に母であるマナが立っていた。
「今さっき龍帝騎士団の仕事が終わってルナ君と帰ってきたのよ。それにしてもまたアリスに仕事頼まれたんでしょ」
「ええ頼まれました。それと今度、非番の日にアカデミーで群体制御術の授業をしてあげてくださいよ。毎回アリス先生に、授業を頼まれるのも迷惑なんですから」
「それよりも早く夕食にしましょう。それとルナ君がハルに話があるって言ってたから資料を早く自室に持ってて、リビングに来なさいよ」
そう言って母さんは書庫から出て行った。僕も資料を置くために自室に戻りその後直ぐにリビングに向かった。リビングでは父であるルナがチェス盤の置いてあるテーブルの前にある椅子に座っていた。
「ハル、まぁ椅子に座りなさい」
「はい。父さんそれでお話とはなんでしょうか」
「まずだが、龍帝様と、龍帝騎士団の数名の判断によりお前のランクをマスターランクへと昇格させることになった。これはその書類とカードだ。おめでとう。それとな、人間界にスラッシャーが数個出回っている」
「それは妙な上に厄介な話ですね。そもそもスラッシャーは僕みたいに能力を媒体無しに使えない者が使う物。そしてスラッシャーは人間には必要が無い物ですからね」
「それに危険だな。善良な人間が使うならまだしも悪人に使われでもすれば関係ない人間達が血や涙を流すことになりかねない。見つけ次第破壊してくれ」
「わかりました、目を光らせておきます。それよりも父さんだって今の様に龍の姿から人間の姿に変身出来るのに何故僕に」
「俺やマナなどの龍帝騎士団は何故スラッシャーが人間界に出回っているのか調べないといけないからな。それとミカゲとシンヤがお前を龍帝騎士団にスカウトしたいらしい」
「その話はお断りしておいて頂けますか。僕はフリーで行動したいので」
「わかった。そう伝えておくよ、それと久々に一局付き合ってくれないか」
「ええわかりました。ですが夕食が出来あがったようなので、夕食後に僕が手に入れたワインでも飲みながらにしましょうか」
僕はそうして夕食の席についた