No.15 相棒との再会
僕はとカイは依頼主の伯爵邸を訪れていた。伯爵邸はあちこちが金色でイヤらしく輝いている。そしてこの装飾は全て本物の金で出来ているらしい。因みにこの伯爵は税金を1部横領しているらしい。更に部下を使って盗みまで働いているというのだから、救いようがない。
「ハルさんカイさん、絶対に下手人を捕らえて下さいね」
伯爵が偉そうに言ってきたので、カイは不快そうな顔をしながら周りの装飾品を見ていた。
「お任せください」
僕は一応返事だけはしておく。
それを言い終えた時には伯爵は奥の部屋へと去っていた。
「チッなんで俺らがあんなウザい奴のために働かないといけないのかね」
「まぁ落ち着けってカイ。アイツの犯罪の証拠は掴んでるから、どうせあと少ししたらアイツの落胆した顔が見れるんだから」
僕は機嫌の悪いカイを宥めて自分たちに用意された待機室に入った。
「カイ、さっき昼食をとった店覚えてるか」
「覚えてるけどそれがどうかしたのか」
「僕達の隣に座っていた男、アイツが恐らく世の中を騒がせている義賊だ。そして奴もスラッシャー持ちだ。気をつけろ」
「本当かどうしてわかった」
懐疑的な目で僕の方を見てくるカイにわかった理由を説明した。
「僕は店を出る直前で龍の眼を使った。龍の眼は透視を使ってスラッシャーを確認した。そして服のポケットに隠していた犯行計画書を確認した」
「成る程、じゃあ警戒した方がいいな」
カイはスラッシャーを取り出して点検をしていた。けど僕はまだそれ以外にも知っている。店を出る時に聞いた声は間違いなく僕が知っている男だった。アイツが義賊だというならば間違いなく今日も盗みを成功させるはずだ。なら僕は僕が出来る事をするまでだ。
「悪いけど、カイ、少し仮眠させてくれ」
僕はカイに許可をもらってソファで仮眠をとった。そして犯行予定時刻の10分前には龍の眼を発動させた。僕はカイに伯爵邸の中を任せて僕は伯爵邸の屋根の上に上がった。其処にはもう既に男が1人立っていた。
「久しぶりだねロビン。まさか君がコソ泥に身を堕としているとは思っていなかったよ」
「黙れハル。コソ泥なんて汚い呼び方はやめてくれないか」
「まさかあの戦争で相棒だった奴が犯罪者風情になっていたらそう呼びたくもなるよ」
「さてとそろそろ仕事をしないといけないから其処を避けてくれないか。目的は一緒だろ。ここの伯爵の悪事を暴く。そして俺は此処にある財産を孤児院に寄付する予定なんだ」
「断るよ。犯罪者の君と一緒にしないでくれないかな。それに君に協力したら僕まで犯罪者になってしまうじゃないか」
「どうしても避ける気はないみたいだな」
僕はかつての相棒と睨み会った。そして直後にロビンは刃のついた弓で斬りかかって来た。
「アーマーアクティブ」
僕は速攻で鎧を纏って双剣で斬り返した。しかし双剣を弓で抑えた。弓の刃と双剣の力が拮抗した。そして次の瞬間にはお互いに矢と氷の針を飛ばしお互いの顔を掠めた。
「相変わらず面倒な能力だね龍の眼って」
「そっちの射撃能力も面倒だなぁ」
「まぁいいや。今日は元相棒に免じて退かせてもらうよ。けれどもしまた会ったなら次はお前に死んでもらってでも道を譲ってもらう」
ロビンは1枚のカードを取り出してスラッシャーにリードした。
『スモッグ』
辺り一面に煙が発生してその煙が晴れた頃にはロビンは居なかった。
術説明
龍の眼
ハルが使える固有の身体強化の術であり、透視や未来予知、感覚をより鋭敏にする事が出来る