No.11 始まりの夜
僕は今すごく疲れていた。時間を遡ること3時間前に僕は黒炎会が絡んでいた事件を解決したのだがその後に万魔殿に魔王に報告に行っていた。
「さすが龍騎士。停戦の英雄だな。こんなにも早く事件を解決してくれるとは。では早速事件解決を祝って飲み比べをしようではないか。グレムリン、酒とグラスをさっさと持ってこい」
「はっ了解しました」
グレムリンは魔王に命令を受け部屋を退室した。そしてグレムリンが戻ってきてグラスとワインが出され飲み比べが始まったのだが、魔王があっさりと酔ってしまい、絡み酒の様な状態になってしまいそれが今この様な状態になっていた。
「だからな、我は、戦争当時の事を思うとな自分が情けないと思うのだ。城内に黒炎会が入り込み、その言葉を鵜呑みにして貴国と戦争にまで発展させてしまった。本当に情けない」
そう言って魔王は僕にベタベタと肩に腕を置いて絡みついてくる。
「いえいえお気になさらないでください。人は誰しもが間違えるもの。それに騙した黒炎会が悪いのですから」
僕は腕を振り解きながら、魔王をフォローした。
「貴君はなんと心が広いのだろう。間違った我を許してくれるとは」
今度は泣きながら僕に抱きついてくる魔王に僕はうんざりしていたが、我慢した。仮にも相手は一国のトップなのだ。妙な行動をすればまた戦争になりかねない。昼間、襲撃してきた連中がいい例だ。まだどちらの国にも戦争がしたい馬鹿な連中もいるのだ。また何かに理由をつけて戦争を起こそうとするかもしれない。それにアヴァロンの方で聞いたスラッシャーの盗難事件もあった。そしてヘルヘイムでは、また黒炎会のスパイが潜り込んでいた。何か嫌な予感が僕の頭をよぎる。まぁ僕の考え過ぎであればいいのだが。僕はそう思いワインを口に含む。
「あれが龍騎士か。アイツの持っているカードを奪えば兄さんを助けられる」
1人の男が万魔殿の様子を近くの樹の上から伺っていた。
「ふー、これで片付いたか。随分と黒炎会の連中が増えたな。それにしても物騒な事になってるな。ハル元気にしてるかな。会うのが楽しみだよ」
アヴァロンの路地裏では、大弓を持った男が黒炎会の構成員を倒しながら不敵な笑みを浮かべていた。