file5.呪村
村に足を踏み入れる。
その瞬間、得体の知れないものが背中を駆け上がったような気がした。
その感覚に違和感を覚えつつ村を見渡す。人が見当たらない。
「すいません!何方かいらっしゃいませんか!?」
声を張り上げる。返答はない。
とりあえず村の外で見た男の言葉を頼りに村長の家に向かう。
少し歩いた先に周りの家より少々立派なものがあった。
恐らくこれが村長の家だろう。
「すいません、誰かいませんか?」
ノックしながら声をかける。
足音がする。どうやら人はいるようだ。
「…誰じゃ貴様。」
扉が開くと同時にそんな言葉が返って来た。女性のようだ
「私は上代雄介と申します。失踪事件の調査でここに来ました。」
「…アンタはもう逃げられないよ。」
「逃げられない?先ほど外の村人にも言われたんですがそれはどう言う…」
その言葉を遮られるように返答が返って来た。
「アンタはヨグ様の呪いにかかった。アンタの時間はもう止まった。お前はここで生きていくしかない。この村はね、遠い遠い昔から呪いがかかってんだよ。アンタはその呪いがかかった場所に足を踏み入れた。お前はもう終わりだよ。」
「待ってください!何ですかその呪いって!答えてください!」
「…それ以上の事が知りたいなら村の奥にある屋敷に行くがいいさ。そこで全てわかる。過去にこの村で何が起きたのか、アンタの追って来た事件も全てね。」
そう言われ、扉が閉じられる。俺の追って来た事件の真相。そして、あの化け物の正体。それが、全てわかる。
そして気になるのは過去に夜宮村を襲った謎の呪い。それが全ての元凶だとしたら。
二度と帰れないかもしれない。けど、俺には知らなくちゃいけないこともある。
俺は、そう考え屋敷へと足を向けた。