表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空白の事件簿  作者: 釣りキチ
第三節 過去と現代
14/16

file8.愚者

「過去に行って欲しいだって?無理に決まってんだろ」


至極真っ当なことを言った。人間が過去の世界に行くなどあってはならない。

それが世界の理であり、真理なのだから。


「…昔ね、この世界には時間を司る魔術を生み出した生き物がいたんだよ」

「そんな生き物いるわけ…」

「その生き物の名はイスの偉大なる種族。自らの技術で滅んだ哀れな生き物。自らが従属させていた生き物に滅ぼされた可哀想な生き物さ」


その青年はさも当然のように語る。

いるわけがない筈の生き物の名を語る。

いるわけがないのに、何故か自分の身体は恐怖し、鳥肌を立てている。


「そうか、君はただの人間だもんね。ただ少し知ってしまっただけの人間、それが君だもんね…」

「意味がわかんねえよ!突然過去に行けと言われて!俺はただあの時出会った生き物を知りたかっただけなのに!あの時死んだ少女に対しての償いのつもりだったのに!」


発狂し、捲したてる。意味不明なことを言う青年に対して捲したてる。


「そうか、仕方ない。強制的に送らせてもらおう。その結果がどうなろうと僕は知ったこっちゃない。あの憎たらしいブクブクと気色悪い音を立てる王の事なぞ知るか。そもそもアイツの落とし子のせいでこうなったのに…。自分の尻拭いは自分ですればいいのに…」


そうして綺麗な青い石を持った青年が近づいてくる。


「この石は君の助けになる筈だよ…。君が作る新たな世界、それに僕は興味がある。せいぜい、退屈させないでくれよ?」

「やめろ、やめてくれ…死にたくない…」

「大丈夫、死にはしないよ。ただ君を過去に送るだけさ」


そう言って青年は石を投げ付ける。そして、視界が白く染まる。


「君は過去で副王のなり損ないを殺すんだ。30年前の夜宮村で起こった事件を君が消すんだ。君が殺す男の、その愚者の名は…」


その言葉を聞く前の俺は、過去へと送られた。30年前の夜宮村に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ