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神官見習いの日常  作者: 伊代
一章
2/26

一ノ一.降誕祭一

同シリーズの第二部になります。

一部を読まれていなくても差し支えのないよう、心がけて執筆させて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 わたしは成瀬里緒、一九歳。

 ついこの前まで、ぽっちゃり体型のニートでした。あ、ぽっちゃりなのは現在進行形です。


 ある日、いつものように乙女ゲームに夢中になっていたわたしの前に、異世界から美形の王子サマが現れました。

 彼に呼び出されたアルディアという国で、呪いを解くためにあれやこれやの体験をしているうち、ニートを卒業して人生を楽しむ決心がつきました。


 現在は、異世界を中心にした生活を送りながら、生と死を司る神ウトゥヌを祀る神殿で神官見習いとして働いています。


 その辺りの経緯は前編をごらん頂ければ幸いです☆



******



 ウトゥヌ神殿では、数日後に年に一度の大イベントである降誕祭を迎える。

 そのため、てんやわんやの大忙しで準備が進められている。


 とは言え、新入りのわたしに出来ることはあまりなく、足手まといにならないようにするのが精一杯。

 わたしに唯一与えられたのが、神の好物であるとされる【キヤル】なるお菓子を袋に詰める作業。祭りの当日にはそれを参拝者に配布する担当にもなった。


 小さな手のひらサイズの紙袋に詰められた飴玉に似た甘い砂糖菓子を、神殿の入り口で並ぶ人々に「神のご加護がありますように」と声を掛けながら配るらしい。



「おはようございます、神官長」

「ああ。おはよう、リオ。手際が良くなってきたね」

「ほんとですよね! 初めてリオと会った時は、凄い子が来ちゃったなって思ったもの」

「うぅ。それを言わないで……」


 向かいの席で同じ作業している同室の神官見習い、オルリアがクスクスと笑う。

 最初は、飴玉を取りこぼして床にぶちまけたり、紙袋を破いてしまったりと酷い有様だった。まったく、不器用にも程があるね!


「いやいや、リオの成長には目を見張るものがありますよ。これからが楽しみです」

「神官長―――ありがとうございます、頑張ります!」


 にこにこと立ち去る神官長は白髪のおじいさん。常ににこやかで皆から慕われる存在だ。

 わたしもここに来て、すぐに彼のことが好きになった。




「リオ、見て! ファレス様よ!」

「……あ、ホントだー、きゃーすてきー(棒読み)」


 作業の手を止めてオルリアが黄色い声を上げた相手の「ファレス様」は、金に近い薄茶色の髪とブルーグレーの瞳を持つ、絶世の美男子だ。

 隣国アルディアの第二王子で、今はウトゥヌ神殿に勉強をしにやってきた賓客という立場らしい。


―――というのは建前。

 実は、わたしに異様な執着を見せ、神殿にまで着いて来たぽっちゃり好きのお肉ラブな変態である。


「きゃー! コッチ見たわよ! ニコって!!」

「きゃー、すてきー(棒読み)」


 オルリアの気持ちは良く分かる。彼は黙って立っていれば紛れもないイケメン貴公子。

 日本人だって、他国の王子が来日すればミーハーに騒いだりするから、同じ感覚だろうな。

 まぁ残念な中身を知ってしまったら―――って知らない方が幸せだね。

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