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三題噺

冬、靴紐、三日月

作者: 深空 方

深くついた溜息は、白く凍りついた。

ふと気づけば、夜の闇に照らされていた道路は少し前から降り始めた大粒の雪によって覆い隠されている。

もう冬も半ばだ。

分厚い手袋で覆いつつも肌をつつくような寒さでかじかんだ手は、ポケットにしまわれている。傘は忘れてきてしまった。

白と黒で満たされた世界には私の足音だけが存在を許されていた。

目の前にある暗闇の壁は厚いようで、前に進む気を只々奪っていく。

鼻に一粒ほどの冷たさを感じた。いや、もう寒さに感覚を殺され、感じなかったかもしれない。でも。

「冷たい・・・」

天からのその悪戯は私の足を止めるには十分で、頭を下げ立ち尽くしてしまう。

落とされた視線の先には自由に解けた靴紐。

またも面倒くさくなってきた現実に、顔を上げ空に向かってもうひとつ大きな溜息をついた。

上げられた視線の先には弱々しく光る、三日月。

何者も寄せ付けず、でも、寂しげに在るそれは、私のようだった。

呆然と空を眺め続けた私は、足元に違和感を覚え我に戻る。

その違和感の元を解消しようと屈んだ私を押すように、闇の先から風の塊が突進してきた。

バランスを欠いた状態で体当たりを受けた私は当然尻もちをつく。

おしりはビショビショ。

もうやだ。


何で終電逃したんだろ・・・。

楽しんでもらえたら何よりです。

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