コレクション
「またあえるとは。」
恭しくカテリーナに近づく男。
この男こそ、次代のヴィルフレート帝国皇帝マリユス皇子である。
たくさんの取り巻きたちとともにカテリーナに会いに来たらしい。
「会いたくてきた訳じゃないわ。」
横柄な態度をとるカテリーナ。
あちら側の出方をうかがっている。
「おやおや、ご挨拶だねぇ。」
「なによ!さらっておいて。用があるのは私でしょ?
なら私と一緒に来た二人の解放をして。彼女たちには関係ないはずよ。」
「いいだろう。今回は君をここまで連れてくることだから、用のない二人は帰そう。」
割とあっさり言ってのけた。
何かほかに企みがありそうである。
「そもそも何でコレクションしているのよ。」
気になることを聞いてみた。
まだ7才だったカテリーナを監禁した理由もそこにあるのかも知れないと思ったからだ。
「これは慣例でね、好みの女性を幼い頃から自分好みの女性に教育する制度があるんだ。
私は、もうじき正式に皇帝になる。」
「も・・・もう時期っていつよ。それ。」
カテリーナの全身から冷や汗が出てきた。
おそらくそれを待ってカテリーナを連れ去ったのだろう。
一度間者でフィリアに来ていたセザールが言っていた”時期尚早”という意味が今、ようやくわかった。
「早くてあと1月くらいだろうな。今のコレクションたちで一番気品高く気高いのは君だよ。
私が皇帝になった暁にはきっと皇后になっているだろう。」
「え・・・!!!」
「うれしいか?」
「馬鹿を言いなさい!!」
冷静さが少し無くなり、怒鳴るように言った。
そのときには兵士など主要な人物たちが皆ここに集まると話していた。
(手薄になったところをねらうつもりだったの??・も・・・もしかしてそれを見越して???
お父様侮れない。けれど、私がねらわれていることを察知できなかったなんて・・・し・・・しかも皇后に据えようとしているなんて。
嫌よ。そんなの。でも、お父様たちに救ってもらうほか無いというの?)
今自分が置かれている状況を整理しているカテリーナ。その間何を言われても無反応だったためマリユス皇子がさらに近寄ってきた。
「どうかしたのか?」
「あ・・・ははは。いいえ、いいえ。なにも。」
作り笑いをしたカテリーナに一応安心したらしく、元の位置に戻りにやけている。
「では、またくる。」
「もう来なくて良いわ。」
「侍女たちは呼べば来るからな。」
マリユス皇子一行は去っていった。
もちろん入り口の鍵は施錠して。
基本的にこの部屋で一人っきりである。
寂しいこと限りない。
寂しさ紛れにフルートを吹いてみようと思い立った。
曲はこまどりのささやき。
優雅に可憐に吹いているうちにすっと気持ちが晴れてくるのを感じた。
およそ20分後、吹き終わった。
すると、ドアの向こうから割れんばかりの拍手が聞こえてきた。
その話を聞いた、マリユス皇子から早速明日から毎日フルートを吹くよう言われたのであった。




