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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第2部 第7章 帝国からの魔の手
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脱走

「うむ。久しいなぁ!!!」


「公爵様。あれ以来でございますなぁ。」


「もう引退したわい。息子に後は譲ってもう公爵などではない。」


「そうでしたか。」


「うむ。それで、あれはどうなったかの?」


「できあがっております。」


店主は店の奥からごそごぞと捜し物をし始めた。


その間、ジュリアーノは暇そうに外を眺めていた。


本当に今、ヴィルフレートとフィリアが争っているのだろうかと。


そんなとき息を切らして一人の女性が飛び込んできた。


「ジュ・・・ジュリアーノ様!!」


「おぉ?イルダではないか?」


こんなところで出くわすとは夢にも思わないジュリアーノは驚きを隠せない。


イルダはすがるようにジュリアーノに近づいた。


「訳あって逃げております。」


「お主一人か?」


「お嬢様とルーチェ、それと預かり子もいます。」


「で、どこにいるのじゃ?」


「そ・・・外で逃げております!!」


ジュリアーノとイルダが急いで飛び出していった。


店主に別れも告げずに。


二人が飛び出した数分後カテリーナがその店に入ってきた。


「はぁ、はぁ。お・・・お祖父様は??」


「どうかなさいましたか?」


店主が驚きつつ話しかけてきた。


息を切らしたカテリーナに動揺を隠せない店主。


カテリーナははぁはぁといいながらこうつぶやいた。


「入れ違いだったのね。」


カテリーナは近くの商店でジュリアーノが楽器を買ったヴェルーゼという工房を探していた。


ようやく探し当てたところで、すでに店を出た後だったようだ。


ここ、ペレターヌの町まではおとなしくしていたが、カテリーナたちは機は熟したとばかりに脱走することにした。


現在、ルーチェはナタリアと一緒に別方向に逃げている。


一瞬の隙を突いてペレターヌの町の宿屋を抜け出した。


ここまでは順調だった。


宿屋の外にもたくさんの兵士たちがいたことは予想外だった。


イルダ、カテリーナそしてルーチェとナタリアはそれぞれ別ルートからヴェルーゼ工房直営の店を探して落ち合うことにしたのだ。


「どなたかお探しで?」


「私の祖父、ジュリアーノ・ルドゥーレを捜しています。」


「そうですか。ジュリアーノ様のお孫さんでしたか。しばらく前にこちらにおられましたよ。


申し訳ございませんが、こちらをジュリアーノ様にお渡しいただけませんでしょうか?」


店員がフルートを手渡した。


思わずカテリーナは受け取った。


美しく光る管楽器を握りしめジュリアーノとイルダがどこに行ったのか思案し、少し息を落ち着かせてから店を出た。


すると、店を背にするように走り去っていくジュリアーノとイルダの後ろ姿を見つけた。


「イルダは無事みたいね。」


ジュリアーノとイルダをおって走っていると横道から男たちが行く手をふさいだ。

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