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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第2部 第5章 ウィリア王都へ
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フィリアへの帰国

「でさ、これがそろそろ必要なんじゃない?」


ぽんと何かの箱を手渡した。


「これは・・・!!」


「後は君次第だよ。あぁ、あの一件は僕に任せてね。」


「はい。」


「リタのことだけど、無実であることがわかったし、釈放することにしたよ。宰相の子供たちもおとがめはしないつもりだよ。」


「寛大なご配慮痛み入ります。」


「うん。でも、問題があってね。彼らにはもう少し聞かないといけないことがあるんだ。」


何かを試すように弟たちを見つめている。


「そうそう、クリスもいくつか問題があったよね?」


「は・・・はぁ。」


「兄の名前を勝手に使ったり、国賓であるご令嬢を助けに行かなかったでしょ?」


どうだい、違うかい?というような見透かしたような目をしている。


「う・・・」


と虚を突かれたような愕然とした表情を浮かべている。図星だからであった。


「あと、ベルン。鬘ばれちゃったらしいね。」


「あ・・・」


「そろそろ外してごらんよ。」


「フィリアでは黒髪で通ってますので除隊するまでは・・・」


「そう。二足のわらじ・・・ね。いつまでもつやら。」


「それと、クリスにはもう少し話を聞かないといけないから部屋から出ることを禁ずる。


それとこれからクリス、ディーレの王女様と交渉にはいるよ。いいね?」


フェルディナンドに向けて言った言葉の意味は大きい。


その意味に気がついた複雑な顔をした。


「では。私はこれで。」


「じゃあ、僕の方が準備ができたら呼ぶからね。逃げたりしたらどうなるかわかっているよね?」


にっこりと下の弟たちに笑いかけた。


執務室に帰るフェリックスがフリードリヒの耳元でささやいた。


「がんばって彼女を手に入れるんだよ。」


自分より遙かに背の高い弟の肩を背伸びをしながらたたいた。


なかなか色よい返事をもらえない弟にエールを送る。そこはさっきとは違いほほえましい様子のように見える。


国王以外誰もいない執務室。


少しずつ秋の気配も出てきた庭園を窓越しにぼんやりと眺めながら遠くに思いをはせている。


「まさかウィルフロード家にまつわる忌まわしき呪いがここまで長きにわたるとは先祖も考えても見なかっただろうね。


もうすぐ、”運命の王女”もじき手にはいるわけだし。なんとしても手に入れなければ・・・


こっちが不利な条件でものむつもりなんだけどねぇ。どうもうまくいかないな。


なんで、奴らは彼女をねらったのか調べる必要がありそうだね。」


と感慨深げに言った。




「カテリーナ!!!この子をフィリアの王立学校を卒業するまで預かってほしいの。」


王宮の城門まで走って現れた女性。


ドレスは翻り髪は後ろになびいている。


後ろからたくさんの侍女や女官たちが追ってきていた。


中には荷物を持ったものもいてずいぶんと後ろの方にいる。


カテリーナの目の前にシャーロットと連れの少女が息を切らしてやってきた。


「あら。貴女は。」


「はい。ユイリーです。ナタリア・ユイリーと申します。」


ぺこりと頭を下げた。


「この子は元々我がコーリス家に預けられていた子なんだけれど今年、フィリアの王立学校の入学試験に合格したから近くに預かってくれるところをと思って。


本当は侍女なんてさせないつもりだったんだけど、この子が張り切っちゃって・・・


今回、この子と合流するまでに時間がかかっちゃってそれでいつもより少し遅れてきたの。」


「まぁ。それなら来てすぐに言ってほしかったわね。


それで、お父様や伯父様には伝えてあるかしら?


って、シャーロット。そろそろ王立学校、始業じゃないかしら?


早く行かなくっちゃいけないわね。」


「そう。そうなのよ。あ・・・えぇ。レオポルド様にはばっちり伝えてあるわ。」


Vサインをするシャーロット。ユイリーはにこにこと主を見ている。


「シャーロット。あれからどう?恋しい人との関係は。」


「もう!聞かなくてもわかるでしょ?」


ばしばしとカテリーナの背中をたたいている。


この状況から察するに、フェルディナンドとの関係は良好のようである。


「良かったわね。」


そういってシャーロットを抱きしめた。


後ろから追ってきた人物たちからユイリーの荷物を受け取り馬車に詰め込むとハロルド、エレーナ、そして侍女たち、そしてユイリーが馬車に乗り込んだ。


「では、長い間お世話になりました。陛下、王妃様。女官の皆様。健やかなる日々をお過ごしください。それでは、ごきげんよう。」


最後にカテリーナが馬車に乗り込む。その前にそのような別れの挨拶をした。


「あの男たちはいいのですか?」


ルーチェが訝しげに聞いた。


「別便で帰るらしいから。私たちは一刻も早くフィリアにつかないと!!」


カテリーナたちを乗せた馬車は急ピッチでフィリアへと向かった。


もちろんジュリアーノたちにあうことなど時間的に無理な話であった。


急いだ甲斐あってルドゥーレ家本邸についたのはウィリアをたって5日後であった。




カテリーナたちの出発から数日後、フリードリヒとフランツもフィリアへと旅立つときがきた。


手早く二人とも成人の議を終わらせた。


そして、兄の事件に対する処遇が出るだろうと思っていたのだが、まだ出ておらず決まり次第連絡すると言うことでフィリアへと向かうことにした。


フィリアから引き上げてくるときに大勢いた侍女たちをおいて二人だけで馬で行く予定だ。


「それでは。兄上。」


「いい返事を期待してるよ。」


「はい。」


そういってフェリックスは弟と従者を見送った。


その二人を後ろから一人のご令嬢と連れが後をつけていることなどこのとき誰も予想だにしていなかった。

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