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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第2部 第5章 ウィリア王都へ
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呪詛返し

「な・・・何をする!!」


近くには堅いもので殴られたらしい女性が一人倒れていた。


「みられてしまいましたね。」


そういって女性を抱きかかえた少年に否応なく剣を振るう。


「お・・・おまえは・・・」


「「おぉい!!」」


遠くから何者かの声が聞こえ、目の前にいた3人の姿が消えた。




カテリーナは夢心地であった。



顔のわからない男性、そこに寄り添うこちらも顔がわからない女性。


その二人に体を預けようと飛び込む自分。


けれども、そこには二人の姿形がなくただ延々と広がる柔らかな絨毯のような花畑にこの身を預けるだけ。


(きっとこれは・・・危険だわ。死者の国まできてしまったのね。)


この大陸にすむ人々は死ぬと死者の国に行くと古代リア王国より古くから信じてきた。


よき行いをすれば先祖や関係のある人物と幸せに暮らせ、悪い行いをすれば死の神から罰を与えられると。



『まだ早いのぅ。そうじゃなぁ・・・』


ぶつぶつ言う灰色のだぶだぶの服を着た老人が岩の上に座っている。


「何が早いのでしょうか?」


『我は死の神じゃ。そなたがまだこちらに来るのが早いと。そう申しておるのじゃよ。強制的に死者の国に連れて行かれてしもうたようじゃな。』


「あの呪文みたいなものですね。おぼろげながらですが覚えています。」


『うむ。まぁ、フィリーやアルデたちがなんとかするであろうの。しばしゆるりとしていかぬか?』


「そうですねぇ。これからどうすればいいのかじっくり考えるのもいいかもしれませんねぇ。」


『カテリーナよ。そなたは運命の王女と呼ばれるものを知っておるか?』


「いいえ。存じ上げませんわ。」


『そうか。運命の王女について調べていくとそなたの・・・』


死の神の会話がとぎれ、だんだんと痛みが出てくるのを感じた。




『カテリーナ。』


(い・・・たた・・・)


『とりあえず無事とはいかないみたいね。』


(でしょうね。この呪いをとかない限りは。)


『お母様たちを呼んであるから、たぶん大丈夫だと思うけど。』


(で、私はこれからどうすれば?)


『まずは人払いをして、あの男でも誰でもいいから1時間ごとに様子見をしてほしいと頼んで。』


(それで?)


『カテリーナが息をしていなかったらそのときは葬式をあげてといって。目を覚まして容態が安定したらともかく付きっきりでそばにいるようにと。』


(はぁ。)


『さすがに葬式はないと思うけど。念のためね。』


(わかりました。)


そう女神ユリーナに声をかけて瞳をあけた。



女神ユリーナに言われたとおりに指示を出したカテリーナ。


数分たっただろうか、神や女神たちがぞろぞろと集まってきたのがカテリーナに見えた。


『さて、呪詛返しをしようではないか!』


ときの声のような聞こえ、カテリーナは頭の痛みを忘れ再び眠りについてしまった。




それから1時間後。


「目が覚めましたか?」


「いたた・・・ど・・・どうにか。」


『呪詛返し成功ね!!!』


うれしそうにはしゃぐ女神が一柱。


『そうね。痛みを取って差し上げるわ。傷はたいしたことはなさそうだし。』


そっとカテリーナの傷口に手のひらをかざした。


『では。我が娘の申し子よ。息災であれ!!』


暖かな光に包まれたような感じを受け気がつくと守護神以外の神々の姿は消えていた。


「どうかなさいましたか?」


「何でもないのです。ところで私を襲った面々は?」


「3人いたそうですが2人は捕まえました。」


「後一人はまだ逃げていると?」


「おそらくは。」


「リタである可能性はあるのですか?」


「それはわかりません。何のために王宮に忍び込んだりするでしょうか?」


「私を殺すためとか?」


「まさか。」


「戯れ言ですわね。言葉が過ぎましたわ。」


『はいはーい。お二人さん!ちょっと私の話を聞いて!!』


女神ユリーナがテーブルあたりで手を挙げている。


カテリーナはフリードリヒに支えられながらいすに座った。


『カテリーナにかけられた呪いは強制的に死の国に魂を連れて行ってしまうの。


まぁ、簡単にいってしまえば死の呪いみたいなものね。


この呪いは危険であるため知る人ぞ知る呪詛。これを知っているのはおそらくこの世界で5人くらいいるかいないか。


これには弱点があって守護神がついていたり多くの神々からの加護を受けているものは助かるという呪いでもあるの。


そして、それをすると相手も半減かそのまま呪詛を受けることになるのよ。』


「私は、ユリーナ様がついていたからこそ助かったというわけですね。」


『そういうことかしら?お母様の力の賜という部分もあるのかも知れないわね。』


「誰がそんな大それたことを。」


身を乗り出すフリードリヒ。


女神ユリーナはそんな彼をほほえましくも難しい顔をしながら見つめていた。

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