再度自己紹介
「おやおや・・・」
向かい合って座る二人に割ってはいるように座る男。
「「なぜ父上が?」」
「こちらが聞きたい。なぜおまえたちがこんな辺鄙なところにいるのかを。」
「用事がございまして。」
「そうか。わしも、ちょうどハンスと酒盛りをしようと駐屯地まできておったのだ。
酒盛りをする前にハンスを呼びに来たハロルドとかいう男とともにやってきたというところだ。
そこに、クリスがいたのだから驚くこと久しからずといったところじゃな。
ベルン、クリス、久しいな。」
「「父上もお元気そうで何よりです。」」
決まり文句を淡々とハモるベフリードリヒとクリスという少年。
そう、彼がフェルディナンド・クリストフ・ウィルフロードである。
後ろから視線を感じた男が、階段近くにいた腫れぼったい目をしている少女をまじまじと見つめる。
「これはこれは・・・」
「あら、どなかとエリーアス様ではございませんか?」
やんわりと笑顔で会釈したカテリーナ。
その姿を見たエリーアスはフリードリヒともう一人の少年に目をやった。
「おまえたちが連れ込んだのか?」
「人聞きの悪いことをおっしゃらないでください。」
「そうだろうな。まぁ、冗談はさておき、賊どもを皆残らず捕まえたという訳か。」
「はい。」
そんな会話をしているうちに二人の少女は彼らの近くに行き、座っていた。
「カテリーナ。このお方は?」
カテリーナのそばにいたシャーロットはドレスの裾を軽く引きながら尋ねた。
尋ねられたカテリーナはすらすらと暗唱した文章をそらんじるように答えた。
「先の国王陛下エリーアス様よ。」
「さよう。わしとはお初にお目にかかるかな?お嬢さん。」
「わ・・・私はディーレ王国王女、シャーロット・コーリスと申します。」
ややうわずりながら簡単な自己紹介をしたシャーロット。
一方的とはいえ愛する男の父親に初めてあったので少々緊張気味のようである。
シャーロットが、ある程度の年齢になるまでは代行として執事のベイリーが挨拶に出ていたため一度もエリーアスに会うことなくこの日を迎えたらしい。
「懐かしいわ。そんなこともございましたわね。」
「そうそう。あまりにもクリスが無口で引っ込み思案でなかなか仲良くできなくてとうとう飽きた君がどこかへ消えたときは肝が冷えた思いがしたものだ。ところで、レオポルト殿はご健在かな?」
「はい。元気すぎるほどですわ。その証拠に先日妹が生まれましたもの。」
「ほう。それはまた元気な男だな。」
「そうでございましょう?」
ふふふと笑い、昔話に花が咲くカテリーナとエリーアス。
ハロルドとフランツはエレーナの容態確認と捕まえたボディーガードの見張りを交代でしている。
崖で捕まえた人物たちは、ハンスが近くの駐屯地で拘束したとの報告があった。
おそらく王都に入る前にこってりと絞られるいや、悪事を吐かされることになるだろう。
フリードリヒとフェルディナンドとシャーロットがロビーの隅で話をしている。
このロビーは至る所にランプや燭台があり昼間ほどではないが明るいところであった。
「で?なぜおまえがコルドベキア侯爵の所領の屋敷にいたのかと聞いているのだ。」
「僕は・・・悪くない!!」
それきりフリードリヒからの問答には答えなかった。
「それで、ディーレの王女様とはいつから?」
「まぁ、背格好は似ておられませんけれどこうしてみるとそっくりですわ。」
二人を見てシャーロットが笑う。
「確かにあれは弟だ。」
「私は陛下との約束は果たしましたし。後はあちらでどうにかなさるでしょう。」
「どういうことだ?」
「いいえ。何でもありませんわ。」
それきりシャーロットはフェルディナンドとの会話を楽しんだ。




