解放された令嬢
「よ・・・よ・・・よしよし・・・」
ぎこちなく自分の胸の中で泣きじゃくる少女をなだめている男が一人。
「ひっく・・・う・・・」
少女が顔をあげ涙を浮かべている。
「き・・・気が済むまで泣くといい。」
そう言って優しく抱きしめた。
なぜ、このような状況になったのかと言えば、ひとえに近くで気絶している男を縛り上げている水着の少女に端を発する。
泣いている彼女を助けに来たもののあろうことか、人質状態の彼女と気絶している男に向かって攻撃魔法をしかけたのだ。
その様子を少し離れたがけで間一髪難を逃れ、安堵していたところをふと目をやると大きな火の玉がスッと浮かんでいるではないか。
はっとした彼は急いで彼女の救援に向かったのである。
そこには、両腕に縛られた跡がある彼女が放心状態で倒れていた。
優しく抱き起こすと日がついたように胸にしがみつきながら泣きだしたのである。
「ところで、あの火の玉は一体?」
「私が作り出したものですわ。」
「ほう。ならばフィリアの王立学校の七不思議の一つ、伝説の魔女ですか?」
「どうでしょうか?」
「この男に変なことなどはされていないだろうな??」
「それはあり得ませんわ。私が瞬間移動で追いかけていましたから逃げるのに必死だったはずですし。」
男を縛り上げて、カテリーナのところへやってきたシャーロット。
乱れた髪を優しく撫でている。
「いままで、泣きたいことがあっても我慢してきたのだろうか?」
「かもしれませんわね。強がりなところがありますから。」
「そろそろ宿に戻りましょう。」
「そうですわね。あの方といろいろと積もる話もありますし。」
「フラン、こいつを連行しろ。」
と従者に命令した。
「わっはっは~見たか。わしの力を!!」
喜びに浸っている老人が一人。
それを茫然と眺めているルーチェとハロルド。
コルドベキア侯爵一味はすべて捕らえられ、どこかへ連行されるようだ。
彼らは結局陸軍駐屯地に送られた後で、王宮内のどこかで口を割るまで地下牢に入れられることとなった。
「さすがです。オクローサン様。」
「おぉ。やはりそう思うか?ハロルド。」
「えぇ。敵が皆恐れおののいておりました。」
「じゃろう。わしが鍛え上げた軍団はウィリア王国の最強軍団だからの。
そうじゃ、お嬢はどうした?」
「カテリーナ様は右側のがけのほうにいると思います。」
「そうか。では参ろうか。」
ひらりと馬にまたがると右側のがけへと一目散にかけて行ってしまった。
そんな老人を見送ったルーチェとハロルド。
「運よく助かりましたわ。カテリーナ様が無事であればよろしいのですが。」
「おそらく、無事でしょう。さぁ。我々も向かいましょう。」
そう言って、さりげなくルーチェの手を握った。
分かれ道あたりまで行くと、ルーチェがハロルドの手を振りほどきカテリーナのもとへ走って行った。
フリードリヒに抱かれたカテリーナたちと合流し、一同は宿へと向かった。




