表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第2部 第4章 海辺で人探し
68/195

崖っぷち

「なんてことだ。」


カテリーナが消えた後すぐに異変に気がついたハロルド、シャーロット、そして浜辺の人物がルーチェに事の次第を聞きだした。


ハロルドは急いで応援を呼びに宿を目指した。


ちょうどハロルドが宿に着いたころ、フリードリヒとフランツがエントランスに入ろうとしているところだった。


「攫われただと?」


「私どもの失態です。急ぎ追わねば。」


「それで、行先はわかっているのか?」


「連れ去られた方向はコルドベキア侯爵家の敷地の奥の断崖あたりと言うことです。」


「・・・お前に頼みがある。」


「なんでしょうか?私は今から追いかけなくてはなりませんが。」


「いいから、耳を貸せ!」


ハロルドは何やら耳打ちをされている。


ハロルドはその話を聞き、目を見開いてフリードリヒを凝視した。


「間に合いますか?」


「間に合わせるのが執事としての務めだろう!」


「わかりました。元執事として精いっぱい努めさせていただきます。」


「早く行け!!」


フリードリヒに背中を押され走り出した。


ハロルドが暮れなずむ海岸に消えかけたころ、フリードリヒはフランツと共に言われたとおり崖を目指した。


途中カテリーナと男を追いかけているルーチェと合流した。


「お嬢様は両腕を後ろ手で縛られて口元を布でふさがれ、おまけに腰にロープまで巻かれてしまわれました。」


さして常時と変わらず淡々と見てきたことを話すルーチェ。


落ち着いて見えるが涙をこらえているようにも見えた。


「それは今からどのくらい前のことだ?」


「ほんの10分程度のことでしたわ。今なら間に合うはずです。」


「それで、夜の捜索はどうだったのだ?」


「えぇ。カテリーナ様の思った通りでございました。」


「そいつは今どこにいる?!」


「宿に向かわれたようです。ベイリー卿がさらりとご誘導をなさいましたから。


お嬢様がさらわれてすぐシャーロット様は先に向かわれました。」


「殿下、早く向かわねば。」


それから20分ほど歩いた後、とっぷりと日が暮れてしまい、わずかな星と月の明かりでかろうじてここまでたどり着いた。


だが、左右に分かれた道に着いた時3人の足が止まった。


「左に進みましょう。」


迷った挙句、勘で左に行くとこにした3人。




「おやおや、余計な方もお見えとは。」


後ろからにやりと口元をゆがめ、不気味な声が聞こえたが急ぐ3人には全く届かない声であった。




「な・・・」


3人が行き着いた先は断崖絶壁であった。


「カテリーナも男もいない…」


「変ですよ?」


「シャーロット様が見当たりませんわ。私よりも先にカテリーナ様を追いかけて…」


「く・・・右側だったか…」


数十名の足音が近づいてくる。


3人は後ろを見た。


そこには松明を持った軍団が、辺りを照らしている。


照らされている先頭には見覚えある人物がいた。


「そうですよ。まさか、余計な方まで連れてきてしまったとは予想外でしたが。」


「お前は…」


「お久しぶりですね。殿下。」


「コルドベキア侯爵!!!」


フリードリヒが男の正体を言った。


「まぁ。」


ルーチェが意外性のない犯人と彼から自分の余計な方と言われたことに少し傷ついたようだったがとりあえず驚いた声を出した。


3人に猛然と近づく軍団に退路を断たれてしまった。


3人をがけギリギリまで追い詰めていく。


「計画は頓挫しましたが、事故死したことにしてしまおうと計画を立て直したのですよ。」


「やっていることの意味をわかっているのだろうな?」


「えぇ。それくらい存じておりますとも。」


にじり寄る男たち。


「わぁ!!」


後ろに下がったルーチェが足を踏み外しそうになった。


ガラガラと土ががけ下へと落ちていく。


下へ落ちたら岩礁があるため落ちたら間違いなくただでは済まない。


絶体絶命のピンチである。





「む・・・むぐぐぐっむ!!」


カテリーナが何かを言いたそうにしているが、口元を拘束されていてうまく言えない。


彼女が見ているものは付き明かりに照らされたシャーロットの姿であった。


『カテリーナ。シャーロットにかけるしかないわ。きっと大丈夫だから。』


そう励まして知の女神ユリーナはどこかへ消えてしまった。


(ユリーナ様の薄情者ぉ!!)


というカテリーナの心声は誰にも聞かれることなく心の中で反響している。


「早く放しな!」


シャーロットがカテリーナを連れ去った男とカテリーナに追いついた。


そこは、左側のがけよりも距離が長いが幅はあまりない細長い崖の上である。


まだ崖っぷちにも幅にも余裕があった。


「小娘一人でのこのことやってくるとは。」


「私も、甘く見られたものね。」


「・・・!!!」


カテリーナは恐怖のあまり声が出ない。


顔も引きつり身をちぢませているが、後ろ手に縛られているうえに腰にはロープが巻かれていた。


カテリーナをここまで連れてきた男ががっしりと体を掴んでおり身動きが一切とれない。


それを知ってかシャーロットはカテリーナに優しい声をかけた。


「大丈夫よ。カテリーナには手加減はしてあげるから。」


しかし、その言葉で男は逆上しまくし立てている。


「何をぬかすか!!手加減謎必要ない。人質はこちらにいるのだからな。」


「わからない人ね。カテリーナを放してくれたら危害を加えないわ。」


「そんなことすると思うか?」


「しないでしょうね。仕方がないわ。」


ふぅ。と息をもらした。


一歩進む。二人は一歩下がる。


「これ以上進むとこいつをここから落とすぞ!」


「これ以上悪事を重ねると痛い目見ますわよ?」


「やってみろ!!小娘!!!」


シャーロットを挑発した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ