夜の捜索
「本当にいたの?」
「確かにいたのよ。間違いないわ。」
「どこか別なところに移動しちゃったんじゃないの?」
「そんなはずは・・・」
あれからもう1週間が過ぎようとしていた。
しかし、待てど暮らせどその人物は現れなかった。
秘密の場所から少し離れたヤシの木のあたりでじっと見張りを続けている。
宿は近くのリゾートホテルのような高級感のある宿を1カ月の予定で滞在している。
ほぼ貸し切り状態で。
宿はこのビーチから歩いて5分ほどのところにある。
(これだけの人数がいれば警戒するわよね。)
シャーロットの取り巻きは常時の半分程度にしているものの少々多すぎる。
門の周囲には大勢の見張りが居て近づくことはできない。
そして、近隣住民などに話を聞いたものの、誰一人として硬い口を閉ざしていてらちがあかなかった。
そもそも侵入者がいるのに放置しているコルドベキア侯爵家のほうがどうかしてるのだが。
静まり返った砂浜。有名な観光地と言うのにさみしいこと限りがない。
およそ2時間ごとの3交代で見張りを続けているのだが、夏らしい日差しで熱中症にかかったものも出始めた。
シャーロットがその人物とあっていたのは昼間ということで、昼間にしか見張りをしていない。
そうしてこの日も日が暮れていく。
このまま見張り続けても意味がないかもしれないそうカテリーナは思い始めた。
(ん???ちょっと考えても見たら昼間しか捜索してないわね。)
おもむろに立ち上がるとシャーロットの部屋を訪れて一つ提案をした。
「ものは相談なんだけれど、夜に一度捜索したほうがいいかもしれないわね。」
「なぜかしら?」
「今までは昼間にしか捜索してこなかったでしょ。行動パターンが変わったのかもしれないわね。」
「そうかもしれないわ。このままだと、侍女も衛士もみんな熱中症になってしまうわ。今のところ無事なのは侍女はユイリーとメルヒャンだけ。
最年長で執事のベイリーはいたって元気なんだけど、衛士は全員が熱中症にかかっちゃったみたい…」
ディーレ王国はウィリア王国の北に位置し、標高も高いところにあるため夏涼しく冬凍えるほど寒いので、急な暑さには弱いのだ。
「こっちも衛士の大半とエレーナが体調を崩してしまったわ。」
「早く見つけないと。」
「私も本当にここにあの方が今もお住まいなのか疑わしくなってきたわ。」
「シャーロット…」
「行きましょう。夕方ごろから出発よ!」
はたして、探している人物は見つかるのだろうか。
不安は尽きないがこの方法しか残ってはいない。
カテリーナとシャーロットはハロルドとルーチェを連れて秘密の場所まで行くことにした。
「あ・・・」
「カテリーナ…」
「いたわね。思った通りだわ。」
一人座り込んで結う人一番星を見つめている人物がいる。
近くには何人ものボディーガードがいた。
「さて・・・どうやって確かめるか…だわ。って。シャーロットなんで水着なの??しかもボールまで。」
「これで、様子を見に行くに決まっているじゃない。ボールが飛んでしまったので取りに来たということで近づけるでしょ?」
「この時間帯にそんなことで遊ぶ人なんていないわよ。危ないからやめなさい!」
「ハロルド。一緒に来るのよ。私の従者として潜入するわよ。」
そう言ってハロルドの腕を引っ張って浜辺のほうに進んでいってしまった。
(・・・また殿下とフランツは別行動ね。)
捜索し始めてから一度もフリードリヒとフランツは捜索に参加せず宿には寝に来ているだけといった様子で顔でさえ合わせていなかった。
(何をあの二人は考えているのかしら。そ・・・それよりも大丈夫なのかしら。シャーロット。)
ぐいぐいと浜辺ににじり寄って様子を見ようとしたカテリーナを後ろから口をふさぎ、両腕を拘束されてしまった。すかさず目線を後ろに回した。
「ようやく見つけましたよ。」
そういうと腰にもロープを巻きつけ、カテリーナをどこかへと連れ去ってしまった。
ルーチェはカテリーナが動いた後もとどまり続け、カテリーナが連れ去られた一部始終を見ていたが、とっさのことで身動きが取れずシャーロットとハロルドが戻るまで待つほかなかった。




