ジザーニアへ
「へぇ。あの子が食あたり?」
「そのようです。」
「あの元気が取り柄の?」
「はい。またとある令嬢をを突き飛ばしたとされる娘を幽閉しておりましたところ、脱出したとの由にて。
あちらにもすでに情報が入っていると。」
「幽閉していた娘が脱走??もしそうなら・・・」
「何かございますか?」
「いや。面白いことになったね。」
「は・・・はぁ?」
くっくっくとのどを鳴らしながら男が笑っている。
長雨の間さまざまなことが分かってきた。
まず、影の実力者ことコルドベキア侯爵について。
彼は受爵したときは他の貴族と大差はなかった。
また、ジザーニアは彼の領地であることも併せてわかった。敵地に突っ込むというかなり危険な人探しとなることが予想された。
そして、ジザーニアへ立つ前日にようやくフェリックス国王との会談が実現した。
「うん。いいよ。ただし代わりに・・・」
「代わりに?」
「表立っては援軍を出さないけれどフィリアが危険になったら大軍を援軍として派遣するからね、それと双方の行き気を良くするためにフィリアのエリデーンとウィリアのヒルアとの間に道を作ること。」
「その点につきましては国王陛下や父たちとも協議の上お答えいたしたいと思います。」
「もうひとつ。この条約を成立させるためには君が僕の弟、フィリードリヒ・ベルンハルト・ウィルフロードと政略結婚をすることが条件だよ。」
「・・・」
「いいね?」
カテリーナはただ頷くしかなかった。
さっそくカテリーナは出された条件を加筆した手紙をレオポルドに渡すようにルーチェに事付けた。
あくる日。
「ルーチェ。これから行楽地に向かうんだし少しくらいは羽を休めたいところだわ。」
「ジザーニアには観光でまいられるわけではないでしょう?」
「そうだけど。」
「カテリーナ様…あれだけ大勢で行動するとなると怪しまれるのではありませんか?」
「シャーロットはいつもあんな感じよ?」
数十人のお付きのひとたちがシャーロットを取り巻いて本人がどこにいるか全く分からない。
かたやカテリーナはと言えばルーチェ以下2人の侍女と数名の護衛と言うさみしいというくらい少ない陣営である。
さすがは一国の王女と言わしめる図柄である。
(馬車はいくつあれば足りるのかしら?他にも着替えやらも運ぶというのに。)
思わず経費やら馬の数やらを計算し始めたカテリーナ。
おそらく大陸一番の大所帯であるのは間違いない。
すべての荷物を積み終え、フェリックスと別れの挨拶をしたカテリーナたち。
「お世話になりました。陛下。」
「いやいや。それよりも君を害しようとした者たちを目下捜索しているところだ。君たちが帰るころには捕まっているだろう。」
「よろしくお願いします。」
「見つかるといいね。」
「行ってまいります。」
「行ってらっしゃい。」
そう言って王宮を離れ、王都も離れ遠く南の行楽地ジザーニアへと向かった。




