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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第2部 第3章 病と医者
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影の実力者

「なんでなのよ??」


「確かのあの食事には毒を入れたはず。」


「誰かがすり替えたとしか思えない。」


「「「誰???」」」


「どうしましょう。私たちが処罰を受けることになる…」


うろたえる者がいる中で人一倍物静かな人物が口を開いた。


「どうする??」


「作戦を変更するわよ!!」


「それよりもすり替えたということは・・・」


「私たちのことがばれてるということも頭に入れておかなくては。」


「さすがにあの料理には入れられないし。どうするの?」


「良く作戦を練ってから・・・ね。」


「「「次こそはかならず。」」」


ばたばたと入室した女性が一人、リーダー格の女性にひそひそと話し始めた。


その話を聞き驚きの顔をした。


「大変よ。私たちはこの一件から手を引けと。」


「え・・・計画が変わったようね。」




「くしゅっ・・・」


「大丈夫でございますか?」


「大丈夫よ。誰かが私のことを噂しているみたいね。」


ルーチェはすかさずフリードリヒからもらったショールを肩にかけた。


このショール、夏でも快適にはおることができる特注品である。


(よくまぁ。これだけの品を私に貢いだわね・・・)


と疑っていたところ、不意にご機嫌な声がカテリーナにのみ聞こえた。


『たっだいまぁ!!今年は多かったわぁ!!!』


(・・・)


『そっけないわねぇ。毎年のことじゃない。』


「ルーチェ、そろそろ時間かしら?」


知の女神ユリーナの主張を全く無視している。


『いじけちゃったのね。近年は私に願い事をする者たちが多くてこの時期だけ忙しいんだもの。』


(今から私の誕生パーティーを開いてくださるそうです。)


『じゃ、私は姿を現すとしますか。せっかくのパーティーですし。』


(女神様が現れたら皆が驚きますので自粛なさってください。)


『仕方ないわねぇ。じゃあ、上のほうからみてましょう。』


と言って声が聞こえなくなった。




ほどなく会場の広間へとやってきた面々。


すでに料理の準備も会場の準備も整い招待客が集まっていた。


「一客人である私の誕生パーティーにお集まりいただき感謝しつくせません。このような場を設けていただいた国王陛下に深く御礼申し上げます。」


フェリックスに深々とお辞儀をしたカテリーナ。フェリックスは数段高い位置にある薄い幕に覆われたいすに座ってにこにことしている。


そして、主役たるカテリーナは広間の中心にいる。


その言葉を聞いたフェリックスは立ち上がると、パーティーの開催を高らかに宣言した。


パーティーが始まって間もなくフリードリヒはカテリーナの目の前に行くとおもむろにひざまづき、カテリーナの右手をとった。


「どうか、私と結婚してください。」


フリードリヒはたくさんの招待客の前でカテリーナに正式な求婚をしたのだ。


するとギャラリーたちからわーわーヒューヒューというからかいの言葉が投げかけられた。


(これが、私へのプレゼント…???)


少し困惑しそうになったが、平常心で答えようとした。


その前にこほんと後方で咳払いをする人物がいた。


声のするほうへ目をやると40代くらいのぴしっとした服装の男性が目を光らせている。


その人物にみなが注目するとぴたりと静かになった。


(この方は・・・どなたかしら?)


「そのお気持ちだけは御受取いたしますわ。」


優しいまなざしをフリードリヒに向け言った。


するとひそひそと周りが憶測を言い始めた。


(今のはどういう意味なのか。)


(承諾なさった。)


(いや、断られたんだ。)


(まぁ。大胆なお方だわ。)


(あら。王子ではありませんか?)


そういう話でざわついている。


「その御答えはどのような意味ですかな?」


と咳払いした人物がカツカツと靴音を立てながら近づいてきた。


「まだ、そのお気持にはお答えすることはできませんけれど、べつな機会にでも正式にお答えいたします。と。」


「どちらでもない。とおっしゃるのですね。」


「えぇ。そのようにお答えしたつもりですわ。」


「ふむ。なるほど・・・懸命なお答えですな。」


「御褒め預かり光栄ですわ。」


「いや。よきものを見せてもらった。」


なにやら一物抱えたようなニヒルな笑みを浮かべている。


「少しお話をしてきてよろしいでしょうか?」


すくっと立ち上がったフリードリヒが振り返りその人物に声がけをしてカテリーナの手を握り会場を後にした。




二人は広間からつながる庭園へと足を進めた。


パーティーが始まったばかりで全くひとけがない。


初夏から夏へ向かう頃で、温かな風が二人を包んでいる。


「宜しいのかしら?私、主賓ですのに。」


「少しだけお話したいと思いまして。」


「何かしら?」


「あの人物は要注意です。あの男はこのウィリアを影で操っているコルドベキア侯爵です。」


「でしょうね。招待客の皆さまが静かになるくらいですもの。」


「おそらくここも見張りがいるでしょうから戻りましょう。」


「殿下。別な機会にでもまた。」


「えぇ。貴女が振り向いてくれるまで何度でも求婚いたします。」


「そうだと思いましたわ。」


「熱烈な愛情表現ですよ。」


そっと耳元で囁いた。




その後会場である広間に戻ったカテリーナは一曲だけのつもりだったのだが、諸事情あって始終フリードリヒと踊り続ける羽目になってしまった。


その頃、フランツ、エレーナ、ハロルド、シャーロットはそれぞれ食事に舌鼓を打ったりしている。


パーティーも宴もたけなわとなった頃招待客が中央に集まってきた。


「今宵は客人であるフィリアの令嬢の誕生パーティーに御参加いただき誠に御礼申し上げます。」


そう国王フェリックスが招待客に感謝を述べてカテリーナの誕生パーティーの幕が下りた。

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