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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第2部 第3章 病と医者
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ダーニャ伯爵の受難

「お早いお帰りですこと。」


「あぁ。体調を壊したとか…大丈夫そうだな。」


「見ての通りですわ。」


「急いで帰ってきたんだ。」


「まぁ。白々しい。予定通りきっちり2週間たってますわよ。」


「そこまで、避けなくても…」


「まだ、よく知らない殿方とは距離を置いて接するのがマナーなのではないかと思いまして。」


「1年間一緒に過ごしてきたではありませんか!!」


必死のフリードリヒの主張を無視して、侍女たちが立ちふさがる。


「ですから、出ていってください!」


3人の侍女とカテリーナでフリードリヒを追い出した。


(どうやって私の新しい部屋の場所を調べたのかしら?)


王妃様の件からしばらく国王フェリックスから足止めを食らい、ようやく解放されたのはフリードリヒやフランツが王都に帰都し国王に報告をした日の前日であった。


「ただいま。」


「わぁ。噂のハロルド様!!!」


とハロルドに飛びついた小さなレディ。


「わぁ!わぁ!!何時の間にお兄ちゃまったらこんな男前なお友達を???」


「や・・・やぁ。は・・・はじめまして。」


と目線を合わせるようにしゃがむ。


「はじめまして。先月から私たちお母ちゃまとお出かけしてたのー!!」


「そ・・・そうなんだね。」


「うん。お土産もあるよー。あっ、おねえちゃん!!」


「あー。抜け駆けは駄目なんだぞ。」


「お姉ちゃんが遅いんだよー!!」


「はじめまして。お噂はかねがね伺っていますわ。」


「どうして私ばかりが女性に囲まれるのでしょうね。兄君のほうが眉目秀麗であるし、フリードリヒ殿下のほうが身分的にも上だろうに。」


言われた少女が、ん~だけどねぇ。と返しつつ自慢げに話し始めた。


「お兄様はそりゃ、女性にはモテるよ。だけど、ハロルド様はウィリアの殿方にも引けを取らないくらいのカリスマ性っていうのかな?そういうものをみんな感じ取っているのかも。


フリードリヒ様のそばにいる女性が次々と亡くなるということが続いて以来そばに女性が寄り付くことがなくなったんですって。この話はお兄様の受け売りだけど。」


「ねぇ。ハロルド様~。私と遊んでよぉ!」


とハロルドの服を引っ張っている。


彼女はフランツの一番下の妹で、レナーテと言う今年3つになる愛らしい少女で、もう一人の少女は下から2番目の今年8つになるミリヤムと言う少し大人びた少女だ。


(まずい…カテリーナ様の危機???)


と思うも、居間からぞろぞろとあまたの少女たちに囲まれ、しどろもどろしている。


「どうかなさいましたの?」


「あ・・・ははは・・・なんでもありません・・・よ。」


「お兄様ったら3年間音沙汰なしで心配していたのにまたお出かけ。もう少し家族サービスをしてほしいわ。」


フランツのすぐ下の妹のヘルミーネに声をかけられた。


「ねぇ。トランプ。トランプしよー!!」


はしゃいでいるレナーテから駄々をこねられてしまう。


「わかったから。ね。一緒にトランプをしよう。」


やんわりと少女をなだめた。


(これは・・・単なる妹たちのお守???フランツ・・・私に何を…)


人知れずイラつきを抑えつつあまたの少女たちとトランプに興じるのであった。


フランツの帰宅後、ハロルドからの多大なる抗議があったのは言うまでもない。




「受験戦争真っただ中だもの。ユリーナ様はさぞやお忙しいことでしょう。」


花々の香りから新緑の香りに変わるころ、もうじきさまざまな学校で入試や進級試験があっている時期だ。


「さって・・・と。そろそろ時間ね。」


窓のない書庫から出てきた。


「今日はどんなメニューなのかしら?」


ふんふんと鼻歌交じりで厨房へとやってきた。


「料理長さん、今日のランチは何かしら?」


「今日はね・・・いつもの通りシークレットだ。」


「「「そうでーす!!」」」


陽気な3人の人物が声をそろえた。


彼らはここの専属料理人だ。


最近カテリーナは厨房に顔を出し始めた。


ここで過ごすうえである程度の人員や人となりなどを確認する意味もあるが、本来の目的は別である。


「楽しみだわ。」


「あと1時間ほどかかります。」


「わかったわ。そのころまた来るわ。」


「お待ちしております。」


(この中に私を害しようとした人物がいる…の???)


カテリーナはこの中に犯人がいると考えているようだ。


そのあとは何時ものように書庫へと向かっていると、少年が向かい側からは知ってくるのが見えた。


「ほんと!!噂通りの美女だ!!」


「どなたのことを?」


と、少年の目線に合わせつつややとぼけていると、少年がうんうんと頭を縦に振りながら自信たっぷりに断言した。


「これぞ、薄幸の美少女!!!」


「勘違いだわ。」


彼の発言を否定をする。すると、少年は大きめの声で話し始めた。


「だって、食事に毒を・・・」


そう言いかけたところでカテリーナは少年に近付くと口をふさいだ。


「それは、話してはいけないことよ。」


と耳打ちしつつ。


「むぐぐ・・・」


「わかったら話してあげるわ。」


一方的に言われ涙目で頷く少年。そっと口から手を離した。


すると少年はカテリーナを見上げてにこにことしている。


「それで、私に何か?」


「うん。これ。」


カテリーナに何かを手渡した。


「お礼だって。」


「まぁ。私、何かしたかしら?」


「王妃様。まだ部屋から出れないから代わりに。ほら、あそこ。」


と指差した先に二つの人影が見えた。


一人は女官の服装をしている若い女性。


他方は背筋を張って方にショールを掛けている透き通るような白い肌の女性で服装は上品勝つ豪奢であった。


(まぁまぁ。お美しい・・・あの方が王妃様・・・)


しばらく眺めていると少年がうれしそうに話してくれた。


「だいぶん良くなってきてるんだって。」


「そう。それで貴方はどなたかしら??」


「僕?僕はね…」


「探したぞ。どこほっつきあるいてるんだ!!」


「父さん!!」


「父上と呼べ。っと、カテリーナ様。なぜここへ?」


ゆったりと少年に近づいてくる人物が一人。


「あら、宰相殿。ということはこの子は御子息?」


「そうです。今日は用事で王宮に上がっていまして。」


「そうなの。ご用は済んだのかしら?」


「うん。帰りにお姉ちゃんに会いに行ったら、このお姉さんに渡してほしいものがあるって。」


「そうか。御迷惑をおかけしました。いくぞ。」


少年の背中に手を当てつつ城ののほうへ向かう。


「いえ。またお会いしましょうね。」


にこやかに言うと少年はカテリーナに向かって手を振ってくれた。


その場で渡されたものを確認してみた。


(これ・・・なんでしょうか・・・???)


少年から渡されたものは手紙のようだ。封蝋がしてあった。


(この紋章は・・・ウィリア王家の・・・??)


分厚い手紙のようなので、予定を変更して部屋へ戻ることにした。

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