元ダーニャ伯爵と令嬢
「ちょっと待って!!!」
「なんですかな?」
「お・・・おじ様!!」
「おやぁ?よく見たらお嬢ちゃんではないですかな?」
初老の男性がにこやかにさわやかにカテリーナの頭をなでている。
彼は、ハロルドやエレーナの父である元ダーニャ伯爵である。
今まで行方不明になっていたのだが・・・
「何故こちらに?」
と頭をなでられて恥ずかしそうに顔を赤くしながら尋ねた。
「医者と言うものは、いつ何時たりとも患者が・・・」
ここからは話が長くなりそうなので重要な部分だけをピックアップしておく。
国王陛下から病人が出たので至急来てほしいとの知らせを聞いた。それがおよそ1週間前。
旅先でその事を聞いて飛んできたという。
話を聞き終わってカテリーナが口を開いた。
「私がお尋ねしているのは何故、ウィリアにおられるのかということです。
それよりも頭を撫でるのを止めていただけませんか?私はもう16になりましたから。もう子供ではないのですよ。私も。」
と、上目遣いになりながら言った。
「おやおや。いくつになってもまだ子供だと思ってしまうのは年寄りの性でしょうな。
いろいろと事情があり今はウィリアで医学生を相手に医学を享受したり研究のため諸外国を歴訪したりしております。
愚息のしでかしたことでダーニャ家が危うくなったとか。
その時、カテリーナ様に御心配とご足労をおかけしたと風のうわさで聞いてこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。」
と深々と頭を下げた。
「良いのです。それは。お父様に口添えしただけですから。頭をあげてください。」
と、言葉少なに場の雰囲気を戻した。
「私は昨日食あたりになっただけですので患者は別のようですわ。」
ゆっくりとベッドから起き上がりつつカテリーナは進言する。
「そうですか。どれどれ・・・」
と診察をし始めた。
「うむ。大丈夫そうですな。ですが、お気お付けくださいませ。この時期の食あたりは危険ですぞ。」
少々意味深な発言をしつつカテリーナの部屋を後にした。
(国王陛下は一体誰の診察を頼んだのかしら???)
と腕を組みながら考え込んでいるカテリーナ。
(そして私の食事に毒を入れたのは誰なの???)
いろんな人物の顔が浮かんでは消え結局答えが出ることはなかった。
翌日、体調も良くなったところでカテリーナは今いる部屋を変えたいと朝食時の折、国王陛下に申し出た。
(今日の食事には毒なんて入ってないでしょうね…)
どきどきしながら周りの様子をうかがいつつ食事をとった。
ウィリアに来てからは国王であるフェリックスとフリードリヒと共に毎食、食堂にて食事をとっていた。
フリードリヒが王宮を離れてからは二人だけで食卓を囲んでいる。
「お気遣いありがとうございました。ところで、今いる部屋を変えたいと思っておりますが。宜しいでしょうか?」
「あぁ。好きなところを使うといい。」
「ありがとうございます。」
「他に何かあったらいつでも宰相にでも申しつけてくれ。」
早急に部屋を変えることとなった。




