新しい家族
「例の下準備に忙しいのにお付き合いいただいて…。」
「親子なのに硬いなぁ。お土産を買うだなんて女性らしい発想だね。」
「日持ちするお菓子か品物がよいと思うの。」
「これがいいと思うよ。すみません!これをひと箱プレゼント用に包装してください!!!」
レオポルドが店員を呼んだ。
これは、アマレット(複数形アマレッティ)と言うフィリアの伝統的なお菓子で日持ちもする。
そこへ、ピンパル夫人が血相を変えてやってきた。
「ど・・・どうしたの???」
「ヴェロニカ様が産気づかれたとの報告です!!!」
「「え・・・!!!」」
店員に包装を急いでもらってウィリアの国王への土産を手早く買って本邸へと戻るカテリーナとレオポルド。
本邸の敷地内にある産所に急いでやってきた。
土産は、執事に渡してカテリーナの部屋に運んでもらうことにした。
そこには、マルティーノがカーラとルドゥーレ家のほとんどの使用人たちがすでに集まっていた。
「ただ待っているだけってつらいものなのね。」
「期待と不安ばかりだから居ても立っても居られないね。何度経験してもなれるものではないから。
イレーニアの時もマルティーノの時もそうだったよ。」
「まだ生まれないの?」
「もうまもなくかと…」
そう、ピンパル夫人が答えた。
おもむろにマルティーノがカテリーナに近づいてきた。
「マルティーノ?」
「・・・」
何も言わずただカテリーナのドレスのすそをぎゅっと握りしめている。
「カーラ。どうかしたの?」
「わからないわ。最近こんな感じなの。」
と答えた。
近くにいたルーチェが代わりにこう指摘した。
「赤ちゃん戻りではないかと。」
「もうすぐ、お兄ちゃんになるのだから。」
そう言ってマルティーノを抱きあげた。
ほどなく、聞き覚えのない声が聞こえてきた。
『ファーストネームの頭文字はTにせよ。』
という初老の男性の姿をした運命の神が現れ、ルドゥーレ家のその場にいた全員が聞いたとき、大きな産声がから聞こえた。
「玉のようなお嬢様がお生まれになられました。」
と、産所の中にいたヴェロニカ付きの侍女が外にいたカテリーナたちに伝えた。
その後、ヴェロニカが落ち着いてから部屋に入った。
「よく、頑張ったね。運命の神から頭文字はTだそうだ。」
「ありがとうございます。抱いてみますか?」
そう言われてレオポルドは生まれたばかりの娘をヴェロニカから受け取り抱き上げた。
「この子の名前はティツィアーナにしようか。」
「頭文字がTですもの。ティツィアーナね。いい名前だわ。」
「お母様。お疲れさまでした。どんな神様がこの子の守護になっていただけるのかしら?」
「えぇ、楽しみね。」
にっこりと笑った。
新たなる家族を迎え、カテリーナの心にはより平和を望む気持ちが強くなった。
(戦争なんてさせるものですか!この子たちの未来を守るのは私たち大人よ!!)
その思いが今後のカテリーナを奮起させるのは言うまでもなかった。
新緑が美しい5月初め、カテリーナはウィリアに旅立つこととなった。
別れのあいさつを言いにヴェロニカのもとを訪れた。
「お母様、ティツィアーナの守護神祭には十分間に合うと思います。」
「えぇ、気をつけてね。」
「では、行ってまいります。」
元気よく旅立った。




