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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第1部 第6章 捜索隊と森の乙女
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狙われた乙女

「・・・私の今の状況は四面楚歌ということね。」


そう、あの一件以来ヴィルフレート帝国の皇子とウィリアの王子以外の候補者は皆辞退したとレオポルドの手紙には書いてあった。


ハロルドはジュリアーノと共に小屋へと向かいカテリーナたちと落ち合っていた。


フリードリヒとはジュリアーノの発言以後すぐに分かれてどこへ行ったのか不明である。


後をつけていないことから察するに今日の襲撃はあきらめたようだ。


「・・・以前から崖っぷちではありましたけどね。


今だから言えるのですが、ちょうど社交界デビューの時から少しずつ外堀は埋められていたのですよ?


偶然が偶然を呼んであれよあれよという間に殿下が最有力候補となられたんですから。」


とハロルド。さすが、本邸と別邸を何度も行き来して見聞きし、いろいろな情報を手に入れていただけあったが、当時のカテリーナには一切知らせていなかった。ので、カテリーナは机をバンバン叩いて怒っている。


「なんで教えてくれなかったのよ~~~!!!」


「・・・いろいろと圧力がありまして。とくに国王陛下からは絶大でした。一貴族の三男にはとても耐えられるものではありませんでした。」


『昔のことをああだこうだと言ってももう遅いわよ。カテリーナ。』


女神ユリーナは普段カテリーナでも姿を見ることはないが今回は姿を見せて話している。


「そうでしょうね~~~。殿下が別邸に来た時点でほとんど決まったようなものでしたでしょうねぇ~~~!」


と怒り心頭なカテリーナ。


「それでカテリーナ様はいつまでこちらに?」


「春まではこちらにいようと思っているの。厳しい冬が私を守ってくれるようだわ。」


「春になったら戻るということですね。」


「そうね。今の国内外の情勢を確認してその後どのように行動するか判断しようと思っているの。」


「賢明ですね。制裁は終わりましたが、少しくすぶっているところがあるようです。」


「私が気になってしょうがないの。ハロルド。エレーナとフランツについてどう考えているのかしら?」


「特に何も。様子見です。」


「そりゃ、引き継ぎで忙しかったでしょうし。私が失踪するし、貴族への制裁はあるし大変だったでしょうね。」


「・・・何をおっしゃりたいのですか?」


「だってハロルドは今、ダーニャ家の長でしょ?婚約・結婚に関して許可をするのハロルドでしょ?」


「そうですよ。だから何を…」


「ハロルド兄上。カテリーナ様。それはまた別な機会にでもお話しましょう?」




一時いっとき、カテリーナと小屋で話した後ダーニャ兄妹は自領に戻って行った。




冬が近づき木々の紅葉が美しい。


まさかこんな日に限ってカテリーナにとって最悪な一日になることを誰が想像できただろうか。


それから数日後、アンナと一緒にまたしてもキノコやら木の実やらを拾いに出かけたカテリーナ。


探すのに夢中になっているうちに一人になっていた。が、カテリーナもアンナも気が付いていない。


「わぁ。こんなに沢山!お祖母様・・・あ・・・え・・・う・・・ウソ!!!」


あたりを見回してもアンナは見当たらない。


探したほうがいいかこのまま採取をしたほうがよいのだろうか悩んでいると、女神ユリーナから気になることを言われた。


『カテリーナ気をつけて。誘拐犯か暗殺犯が何人か周りにいるわよ。』


(ユリーナ様。お祖母様はどちらに?)


『それがわかれば苦労しないわよ。』


冷静になってカテリーナは考えることにした。


ユリーナが守護神としてそばにいる間に限るが、相手を感知できる範囲はおよそ半径50メートルの範囲内である。


ということはアンナはすぐ近くにいないということである。


出来ればジュリアーノが近くにいてくれれば良かったのだが、生憎、彼もまた遠くに狩りに出かけたらしい。


最近、小麦畑にクマやイノシシが現れるようになってジュリアーノとベイリーは毎日山で彼らを追いかけている。


ちなみに羊たちはと言うと冬場はふもとの共同出資者が面倒を見てくれている。


ジュリアーノ達は冬でも迷いの森から離れず生活をしているため羊の面倒を半分見てくれる彼らの存在は重要だ。




(困ったわね…護身用の剣しか持ち合わせがないのよね・・・)


胸元に隠している剣を握りしめながらカテリーナは覚悟を決めた。




カテリーナが木の実の採取に夢中になっていると見せかけて敵が近づいてきたら当て身をくらわせて逃げるという作戦を立てた。


出来るだけ人を殺さないようにかつ、自信が逃げるだけの時間稼ぎをしようという作戦。


うまくいくかは襲ってくる人数と相手の腕しだいで決まる。


(あまり強い人がいませんように・・・)


とカテリーナは思いつつ、採取にいそしむふりをする。




(来た!)


と思ったとたん誰かが敵を倒したようで、背後からドサッという音が聞こえた。


カテリーナが後ろを振り向くとそこにいたのはベルンハルトだった。


どうやら昼寝の途中だったらしくねぼけていたようであった。


「うるさいんだよ!!」


「で・・・殿下ぁ?」


「やはり、そうでしたか。」


「ばれちゃいましたね。」


「どれだけ心配したことか。」


「どうしてここに?」


「陽だまりの温かい絶好の昼寝の場所だからな。」


「ひ・・・昼寝の場所・・・ね・・・。」


『まだいるわよ。』


「殿下!後ろ!!!」


と、言う言葉を皮切りにカテリーナを狙っていた者たちを二人で当て身で倒していった。


ベルンハルトは十数人を縛り上げて、仲間を呼び領主の館に連行していった。


狼藉を働いたものはそこの領主の館に連行されるのがフィリアの法律で決まっているのである。




フリードリヒと別れたカテリーナは小屋へと戻ってきた。


実は小屋からそんなに離れていないところにいたことを帰ってきてから知ったカテリーナ。


すでに、アンナもジュリアーノも帰宅していた。


帰ってくるなりすぐさま自室にこもったカテリーナ。


『あの男がいて命拾いしたじゃない。』


(そうですね。)


『それに、単純にカテリーナのことを心配してたみたいだし。』


(単純じゃないと思いますよ?)


『そういえば別邸にいたとき羨ましがってたじゃない。』


(そうでしたね。)


『どうかした?カテリーナ。』


(い・・・いえなんでもありません。)


『もしかして、かっこいいなんて思ったんじゃ?』


(ユリーナ様!!!)


『ほら、怒った。カテリーナってわかりやすいんだから。』


(からかわないで下さいよ。)


『はいはい。ようやくカテリーナも恋をしたかと思ってうれしいわ。』


(・・・)


『認めたくないんでしょ。』


(・・・)


『らちが明かないなぁ。』


(政略結婚はいやだなぁ)


『まだそんなことを言って。イレーニアも政略結婚でしょうが。』


(はぁ。私のわがままで決まっちゃったのよね…)


『責任取るって??』


(イレーニアが決めたことですから私はしっかり結婚するまではサポートしようかと思ってますよ?)


『じゃあ、カテリーナ。早く結婚しないとね。』


(何でですか?)


『フィリアでは結婚は年功序列でしょ?』


(そうですが。)


『じゃあ、カテリーナが結婚しなければずっとイレーニアは結婚できないってことでしょ?』


(そうなりますね。)


『カテリーナは結婚適齢期でしょ?』


(・・・ですね。)


『いい人だものね。彼。早いとこお嫁さんにしてください。って言っちゃえば?』


(な・・・!!!)


『まさかプロポーズ待ってるなんて言わないわよね?』


(フィリアでは女の人からプロポーズを言わないんですよ?)


『じゃぁ、待ってるんだ。』


(・・・)




これが、アンナが「御飯よ。」と言うまで続いた。

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